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笑いが止まらない笑劇展開!「お梅は呪いたい」

藤崎翔さんは元お笑い芸人、「神様の裏の顔」
(角川文庫)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞。
このデビュー作が面白過ぎて、以降藤崎さんの
作品はほぼ読んでいる。
最近の話題作は「逆転美人」(双葉文庫)

藤崎さんの作品は、元お笑い芸人ということもあり、
ユーモアと謎解きの絶妙なバランスはお見事!

「お梅は呪いたい」は、500年の眠りから覚めた
呪いの人形・お梅の物語。

古民家の解体中に発見されたのは、不気味な日本人形だった。
自称ユーチューバーを名乗る男性に興味本位で引き取られる。

不気味な日本人形、それはかつて戦国大名を滅亡させた
呪いの人形・お梅だった。

500年の時が経過し、再び目覚めたお梅はまずこの
「ゆふちゅふばあ」の男を呪い殺すことに・・・・。
彼を呪い殺すため夜中に動きだしたお梅。
しかしお梅の強力な呪力は全く利かず、逆に
夜中に撮影されていたお梅の心霊動画がバズってしまい、
それまでパッとしなかった男の動画は一躍
何万回という再生回数を稼いでしまうのだった・・・。

その後もお梅は失恋し落ち込んでいた女性、
引きこもりの男性、老人に子どもなど
多くの人たちを呪おうとするが、お梅の
呪いは全く利かず、お梅を手にした
人たちはなぜか皆が幸せになってしまう・・・。

呪いが利かず焦るお梅。
現代の機器に驚くお梅!
500年前と全く違う令和の人・物・習慣。
そのすべてに翻弄されるお梅が面白過ぎる!!

「呪いの人形」「呪い」と絶対に恐ろしいホラー
だろうと想像してページを捲るのだが、
一向にその兆しがない。

この「呪い=怖い」というセオリーを覆す
「逆転の発想」に衝撃を受ける。
さらに、絶妙なタイミングで醸し出される
ユーモラスな展開に笑いが止まらない。

お梅の「呪い殺す」が空回りしている
その様子がいつの間にか愛らしく感じて
しまうから不思議だ・・・。

お梅はこの先、狙い通りに現代人を
呪い殺せるのか!?
お梅の努力は続く・・・。

抱腹絶倒の「お梅」ワールドが楽しめる!

『お梅は呪いたい』藤崎翔 祥伝社文庫

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