見出し画像

平凡な日常が脅かされる!?「隣人を疑うなかれ」

アパートに住んで結構な年月が経過した。
しかし、懇意になった人はいない。
すれ違って日常の挨拶を交わすだけ。
皆、そんなものではないだろうか?
隣人がどんな人なのか?ほとんど知らないと思う。

でも、もしマンションの住人が連続殺人犯だったら!?

小崎涼太は、事件ライターだ。
最近、小崎の住む周辺で若い女性が
殺されるという、連続殺人事件が起きていた。

ある日、小崎のアパートの隣人で、
漫画家のアシスタントをしている、
土屋という女性と懇意になった。

小崎が住むアパートの隣のマンションには
彼の姉・晶が夫と二人で住んでいた。
晶は漫画家で、土屋を姉に紹介し、
二人は共通の話題で大いに盛り上がった。

その土屋から、山中で遺体で発見された
女子高生が、深夜姉の住むマンションに
入って行ったのを見たと言ってきた。
目撃談として、警察へ行った方が良いのかどうか
相談された。小崎は行くべきとアドバイスしたが、
同じ女子高生かどうか自信がないとのことだった。

小崎の姉の住むマンションに警察官が
住んでいることがわかり、まずその警察官に
相談してみようと姉が言った。

ところが、その土屋がある日を境に行方不明に
なってしまった・・・。

涼太と晶は、土屋が連続殺人の犠牲になったのでは
ないかと疑いを持つ。

まさか!このマンションに殺人犯が住んでいるのか?
二人は、マンションの住人について調べ始めるが、
その矢先、姉の晶が帰宅途中に黒づくめの怪しい男に
狙われる!

マンションに住んでいるのは、ごく平凡な人たちだ。
警察官の美しい妻、我が子を気遣うシングルマザー、
人の好さそうなマンションの管理人。
晶とその夫・・・。
彼らはお互いのことをことをどれほど知っているのか?

事件を調べる過程で、二人は徐々に住人のプライベート
に迫って行く。
やがて、意外な形で連続殺人犯にたどり着くが、
そこからさらに残酷で恐ろしい過去と秘密が暴かれてゆく!

同じマンションに住んでも、たまにしか顔をあわさない
住人たちのプライベートに、晶がどんどん踏み込んでゆく。
そうとう勇気がいると思うが、住人の中に殺人犯がいるとなれば、
誰かがそれを見つけなければ!強い信念が真相解明に繋がった。
晶の持つ正義感と勇気ある行動力が清々しかった。

そして、この小説は殺人犯解明で終わりではない。
クライマックスの劇的な真相に「ガツン」とやられる。

連続殺人という残酷なミステリーだが、
最後に救いがあるのがとても印象に残った。

『隣人を疑うなかれ』織守きょうや 幻冬舎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?