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異色の刑事小説!シリーズ第2作「浜中刑事の迷走と幸運」

小島正樹さんの人気警察小説
「浜中刑事」シリーズ第2作
「浜中刑事の迷走と幸運」を読んだ。
大好きなシリーズだ。

浜中刑事は捜査一課に呼ばれたことを
とても残念に思っている。

浜中刑事の夢は、田舎の派出署の
お巡りさんになって、田舎で
起きる何気ない小さな事件や、住民の
困りごとを解決して、あわよくば
地元の可愛い女の子と結婚して平凡な
お巡りさん人生を貫くことだ。

それなのにある日からとんでもない
「強運」に恵まれ、巡査でありながら
次々と手柄をあげ、とうとう捜査一課に呼ばれてしまった。

あまりにも田舎のお巡りさんを夢見て
仕事中に妄想に浸ってしまい、相棒の夏木刑事に
「おい、また妄想か」と突っ込まれる始末。

班長の美田園は、浜中の「強運」という武器を
最大限に活かすため、優秀で刑事らしい夏木を
相棒に選び、事件が起こると二人を常に
「遊撃班」として自由に捜査させている。

今作は長編。

友人の代わりに罪を背負い、保護観察処分となった
里優馬は、家族に迷惑をかけた負い目から、
フリースクール・与古谷学園に入所した。
案内書は美辞麗句で飾り立て、希望に満ち溢れた
学園のように装った与古谷学園は、実は入所
した少年少女たちを監禁し虐待する、まるで
収容所のような場所だった。

生徒たちを日々痛めつける教師たち。
特に関水という教師は、弱々しい生徒に
目をつけ、半殺しの目に合わせていた。

いつか生徒の誰かが死んでしまうと確信した
優馬は、関水を殺害しようと考え、ある日
決行する・・・・。

鉄柵で囲まれた学園内で男性の変死体が発見された。
その異様な佇まいに学園を訪れた浜中刑事たちは、
学園には隠された闇があると感じた。

鉄格子が嵌められた狭い部屋で、生徒たちは
口々に学園を褒め称える。
まるで示し合わせたような返答に、浜中たちは
不信感を抱くが、生徒に犯行は不可能だと判断する。

変死体の身元は教師の関水と判明。
そして、凶器は学園のはるか外にある街路樹の
上方に刺さっていた。
いったいどうやって凶器をこんな場所に隠したのか?

浜中と夏木は、学園の闇と変死体の謎に迫ってゆく。

シリーズ1作目と同様に倒叙形式のミステリー。
犯人はすでに登場しているが・・・。

学園に隠された陰謀を捜査してゆく過程、
凶器にまつわるとんでもトリック。
そして、浜中の持つ「強運」はどこで発動
されるのか?

多くの謎が提示され、ミステリーファンを
唸らせる衝撃的展開に眼を瞠る!

さらに心に傷を持った少年少女たちを見守る
浜中・夏木刑事たちの優しさも描かれる
読み応え満載の警察ミステリー。

『浜中刑事の妄想と檄運』小島正樹 南雲堂

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