見出し画像

戦慄の展開!「最恐の幽霊屋敷」

最近、大島清昭さんのホラー小説にはまっている。
きっかけは、タイトルにひかれて手に取った
「地羊鬼の孤独」(光文社)を読んでからだ。
市内で全裸遺体の入った棺が次々と発見された。
その遺体は内臓が模型に変えられるという
無惨なものだった・・・。
本格的警察小説にホラー・ミステリーをミックス。
そしてロジックを駆使した推理とどんでん返し、
二重三重の謎解き!ホラーミステリーの恐ろしさ・面白さを
全て詰め込み、まさかのラストに「ありえない!」と
思わず叫んでしまう!鳥肌物の凄い作品だったのだ。

そして、最新作「最恐の幽霊屋敷」(角川書店)を読んだ。

大家が最初から「最恐の幽霊屋敷」という触れ込みで
借り手を募集している賃貸物件がある。
しかし、その屋敷では、除霊に行った
霊能者が何人も死んでいるという事実があった。
幽霊を信じない探偵・獏田夢久は、
屋敷で相次ぐ不審死の調査を依頼された・・・。

結婚を間近に控えたカップルは、男性の父親が所有する
一戸建てに住むことになった。
広大な敷地に建つ、古いけれど丁寧に手入れされた
屋敷。女性の方は少し尻込みしたが、将来のことを
考えて住居を決めてくれた婚約者に感謝し、この
屋敷に住むことを決心した。

ところが、二人が住み始めてしばらくたった頃から
不思議な現象が起こるようになった。
女性が一人で屋敷にいるとき、奥の座敷で何かが
動いたように見える。
2階への階段を駆けがあがるような音がする。
そして、夜中に玄関のチャイムが鳴る。
婚約者に相談しても「気のせい」と言われるばかり。
女性は夜中に玄関のチャイムが鳴ったとき、意を決して
声をかけようと玄関を見に行った。
その時、曇りガラスの向こうに人影を発見する。
そして声をかけた。するとドアの向こうから返事が
返ってきた。しかしその声は人間の声とは思えない。

恐怖を感じた女性は婚約者を問い詰めた。
そして彼は言った。
「奥の座敷で叔母さんが頭を殴られて死んだ」
その話を聞き、納得がいった女性だったが、
女性の妹がこの屋敷を訪れたとき、この家には
何かあると不気味な事を言った。
さらに不安になった女性は、近所に住む主婦に
屋敷にまつわる話を聞いて驚愕する。
婚約者の叔母が殺されてから、関係する人たちの
多くが亡くなっていたのだ・・・。
そして数年後、最恐の幽霊屋敷の情報を
掴んだテレビのオカルト番組が撮影スタッフを
その屋敷に送り込んだが、次々と惨劇に見舞われる。

物語に挿入されるオカルトライターが集めた怪談の数々と
最恐の幽霊屋敷に現れる怪異現象は奇妙な重なりを見せる。
いったいどう繋がっているのか?
そして、屋敷を訪れた霊能者たちはなぜ皆死んでしまったのか?

この「最恐の幽霊屋敷」の正体が徐々に明らかに
なる謎解きの過程と、想像を絶する怪異現象で
戦慄の展開が続く・・・。

とんでもなく怖いホラー小説だと感じた。
幽霊屋敷に滞在した人たちは、誰もが何か得体の知れない
ものに支配され、我を失い、狂気に奔る。
その場面は眼を覆いたくなるほどに恐ろしい。

『最恐の幽霊屋敷』大島清昭 角川書店

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?