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第1章 第21話 いざっ、イタチの穴ぐらへ〜14日目〜

ヤムーは改めて感じていた。
本当に後戻りできない恐ろしい大冒険だと、、、

ヤムーとラリーはタッチの仲間達が暮らすという、橋のたもとの穴ぐらを目指して歩き出した。
「ボッツ、あとは君に任せたよ!」とヤムーは安心した表情で言った。「ああ!」ボッツも任せろとばかり自信に満ちた返事をした。

ヤムーもラリーも、もちろん剣を持参した。
穴ぐらまでの道のりで何が待ち構えているかもわからないし、イタチ達に攻撃されないとも限らないからだ。小動物の運命だろうか?いつだって油断すれば、生と死は隣り合わせなのである。

ふたりは川をひたすらに南へ進む、春の光がふたりの身体を包んだ。風はまだ冷んやりしていて、緊張感の背中を押した。

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川沿いの木や草の間をすり抜けてゆく、ラリーはヤムーの背中に続いていく。
1時間歩いた頃、「ラリー、ほらっ見て見て!」とヤムーは無邪気に声をかけた。ラリーは慌てて、言われた川の中を覗き込んでみると。
真っ赤なザリガニが川の底からハサミを振って笑っている。ヤムーもラリーもザリガニを見るのは初めてではなかったが、まぁとても立派なザリガニだった。ふたりも大きく手を振り返した。
ふたりは何かザリガニにチカラをもらった気がして、足取りがすこし軽くなった。

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歩き始めて5時間ほどたった。
空がかすみ、空が夜の準備を始めた頃だった。 
目的の橋にたどり着いた。

ふたりは少し遠めの草陰から橋のたもとを覗き込んだ。
確かに橋のたもとにひとりイタチが剣を持って立っていたのだ。

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「ラリーはここで待ってて、もし僕に何かあれば
ラリーはお地蔵キャンプに戻っておくれ。大丈夫そうならこちらから声をかけるよ。わかったね」

ラリーは不満ありげな表情で「わかりました」とだけ返した。

ヤムーは心の中で自分に喝を入れて、穴ぐらに向かって歩いた。
ヤムーが穴ぐらに着くやいなや、左頬に大きな傷痕のある門番のイタチがヤムーに話しかけた。

「こらっ!なんだおまえっ?ヤモリ野郎だなぁ!わけわからん帽子なんぞかぶりよって、、死にに来たんかい?」

「始めまして、こんばんは!私はヤモリのヤムーと申します。すいません、この穴ぐらのリーダーにお会いしたいのですが、お呼び頂けますか?」

門番のイタチはまたさらに怒りの表情を強めた。

「はぁ?おまえ何言ってるんだっ?正気かい?
この穴ぐらのリーダーはリッキー様だ。おまえみたいなしょぼしょぼヤモリ野郎に会う訳ないわっ!しかもっ、リッキー様の子どもが行方不明になって今出かけてるしなっ!ったくおととい来やがれってんだ。はぁ〜ウゼェ。」  

「その子どもさんのことで、お話があるんですよ。その子の名前はタッチではないですか?」  

門番の表情が一瞬で変わり、ヤムーに飛びかかってきた。

「この野郎!タッチをどこへ隠した!早く言え。
さもなきゃ今この剣で斬り殺すぞ!」 

「聞いて下さいっ!」
ヤムーはついに怒りをあらわにした。

するとっ「ディッチ!何騒いでる?何事だ?」
ヤムーがその声の先を見ると、それはそれは立派な力強いイタチがふたり立っていました。

「始めまして、私はヤモリのヤムーと申します!今日はイタチの皆様にお話があって来ました。」

「私はリッキー、そしてマットだ、こいつはディッチ。ヤムーくんディッチが失礼したね、、もう日も暮れる、中に入りなさい。」 

「すいませんリッキーさん、実はもうひとり仲間があそこにいます。ネズミのラリーです。ラリーも中へ入れて頂けますか?」

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