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読むと人間関係がラクになる小説を書く小説家【高瀬隼子】

おはようございます。にんにちは。こんばんは。
第167回の芥川賞を受賞した「おいしいごはんが食べれますように」で初めて高瀬隼子の小説を読んでから、その独特な世界観にはまって他の2冊も一気に読んでしましました。

今回の記事は、高瀬隼子3作品を通じて感じたことを記事にまとめてみます。

会社員をしながら小説を書き、芥川賞作家となった高瀬隼子さん。
芥川賞受賞記者会見で言っている、誰にでもあるけど誰にも言えない”人間関係の中にあるむかつき"を言葉という具体的なものに落とし込んだ作品3つです。

このnoteでは、書評を中心に読書に関する記事を発信しています。ぐちゃぐちゃになった頭の中を読書で整理してみると、それだけで人生がラクになります。人生をラクにする1冊を紹介するnoteです。

1冊目:犬のかたちをしているもの

<概要>
『子ども、もらってくれませんか?』 

主人公の薫は30歳、ミナシロさんという女性から提案を受ける。
その子どもの父親は薫の彼氏の郁也だ。

薫は病気で子どもを授かることができないかもしれない。
彼氏の郁也は薫と一緒にその子どもを育てたいと言っている。

できるかもしれないし、できないかもしれない。
可能性にはたくさんのお金、そして気力がいる。
まだその姿を全部を見せていない未来をひとつ選ばないといけない

(より詳しい内容は次の記事を御覧ください)

2冊目:水たまりの中で息をする

<概要>
『風呂には、入らないことにした』

これは旦那が風呂に入らなくなった夫婦の物語。1週間、1ヶ月、半年経っても夫は風呂には入らない。たぶん夫は2度と風呂には入らない。

夫のその匂いは会社で、通勤電車の中で、社会の中で大きな問題になっていく。
会社でのパワハラ、心の病。周りからいろいろ言われるけど夫からは決定的な理由は聞かされない。
ただ風呂に入らない。それだけ。

風呂に入らない、それ以外はまったく普通の夫に対して主人公衣津実が出した決断とは?

(より詳しい内容は次の記事を御覧ください)

3冊目:おいしいごはんが食べれますように

<概要>
『わたしと一緒に芦川さんへいじわるしませんか?』

職場でのドロドロとした三角関係の話。
ぜんぜん仕事をしない芦川さんは、身体が弱く皆が守りたくなるような存在。
その早退欠勤を繰り返す先輩の尻拭いをする後輩が優秀で仕事ができる押尾さん。
その間にいる二谷は、同僚にも、恋人に対しても距離をおいて、仕事も人間関係も卒なくこなすタイプ。

そんな中で、弱い人はみんなで助けるのが当たり前という職場の空気に違和感を感じる男女。ぜんぜん気が合わないのにも関わらず深い仲になっていく男女。

職場という狭く閉鎖的な空間の中でも人間関係は動き出していく。

(より詳しい内容は次の記事を御覧ください)

人間関係のダークサイドに救われる作品

人間関係。その人間関係の中にある"辛さ"、"めんどくささ”、"むかつき"。

高瀬隼子さんの作品には、できれば目をそむけたい人間関係のダークサイドが、ひょっとしたら自分にも起こり得るかもしれないというリアリティで登場しています。

それでも人間が変わるのは人間関係の中だけで、そのめんどくささに時には助けられたりする。

人間関係のダークサイドも人生をラクにすることもある。
そんな気になる3冊でした。
オススメな作家さんです。

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