『言われなくても察し合える状態』が恋人との間にできてきた
皮肉なことに飛行機のチケットは2月14日だけ2倍料金だった。
なので先週末、ひと足お先にバレンタインデーを過ごしてきた。
バレンタインの過ごし方は国によって異なるんだなって、彼と付き合って知った。
最初の年こそ粉々になってしまった失敗作のチョコレートクッキーをどう修復しようか眉間にシワを寄せながら考えていたけど、アメリカではどちらかというと”好きな人と一緒に過ごす日”だった。
一緒に食事をしてもいいし、ギフトをあげてもいい。感謝を伝えてもいい。要は何をしてもいいのだ。だから私は彼の大好物を作ることにしていた。
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フライトを終えて、無事ワシントンD.Cに到着。コロナウイルスによる警戒はさらに強まっていて、空港内のスタッフには必ずと言っていいほど、2週間以内に中国を旅したか否かを尋ねてきた。
入国審査を終えて、ゲート前に止まっている彼の白い車を無事発見して扉を開けて会いたかったよぉと大きなハグをする。
もう何回同じことをしただろうか。
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部屋に入ると、50個入りのフェレロロシェが目に飛び込んできた。
チョコレートを愛して病まない私が1番大好きなやつだ。
即座に後ろに立っている彼に飛びつくと『チョコレートしか気付いてないのかい...』と呆れた顔をする。
その後横にある綺麗なバラの存在に気付いて、再度またハグをする。
SNS映えする高級ディナーよりも、奮発したブランド物の何かよりも50個入りのフェレロロシェが嬉しいことをこの人は知っている。
その横にある一輪のバラが特別な日を演出していてよかった。
普段こんなことしない人なのに、花を握ってレジに並んでいたのかと思うと愛おしさのレベルが天を突き抜ける。
この人は私の喜ぶことをよく知っているなと思う。
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私が苦手なこともよく知っているなって思う出来事もあった。
お酒の強い彼の友人達に飲もうよと誘われたとき、せっかくの誘いを断るのも悪いし、仲良くなるチャンスだから少しだけならいいかなあ...と思って、いいよって言おうとしたら『彼女は飲めないんだ。』ってスムーズに断ってくれた。
この人は私がお酒が弱いことも、苦手なものランキング上位に”断る”が入っていて、できるだけそのシチュエーションを避けたいことも知っている。
正直者の彼は、角を立てないように慎重な私を見て『分からないわあ...』と言うけど、こんな時はいつだって救出してくれる。
彼は私が今食べたいものも、そろそろ眠たいなと思った瞬間も、顔色が僅かに変わった瞬間も全部言わなくても分かっているから、なかなかやるなぁと思っている。
この世にお母さんに匹敵するくらい自分を理解してくれる人に会えるってすごいことだなって思った。
そして彼もすごいけど、私だって彼が好きなもの、嫌いなもの、得意なこと、苦手なことをクイズにして出されたら全問正解できる自信がある。
会う度にお互いが、お互いのエキスパートになっていくのが何だかいいなぁと思ったし、それはパートナーシップの醍醐味なのかと思う。
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そんな私たちは、最初はお互いのことを何も知らず、傷つけるつもりじゃないのに傷つけてしまったりしたことが多々あった。
それでも『言われなくても分かり合える状態』を築けたのは、小さなことでも大きなことでもくまなく言葉にして伝え合ってきたからなのかと思う。
それによってこの人はこういう人なんだっていうデータが積もって、こうしたら喜ぶだろうなぁ、こうしたら悲しむだろうなぁっていう予測の精度が上がる。
だから、言葉にすることをサボらず、教え合う度にどんどん唯一無二な存在になっていく。
言わなくても察してよを一切言わずに、全部説明してきた結果『言わなくても察してもらえる状態』が出来上がってきたなって思う。
言葉にして伝え合った先には快適がある。だからこれからもどんどん伝え合う。
そんなことをふと感じた、ひと足早い4度目のバレンタインデーだった。
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