最初から自分を出すと合う人がよってきて合わない人が離れてくんだ | Fの話
メルボルンで出会った人の中で、印象に残っている人物がいる。
なぜか関西弁がペラペラな、フィリピン人のF。
こんがりと日焼けした肌がチャームポイントで、指にはお気に入りと思われる指輪がいくつか散りばめられていた。
言語交換イベントに参加すると、人々は皆「名前は?」「出身地は?」「なんでこの国に来たの?」という3大質問をひたすら繰り返す。
お決まりの無限ループにいい加減ウンザリしながらも、ほとんどの人はベーシックなテンプレに従って上っ面の会話を進めていく。
しかしたまたま目の前に座っていて会話を始めることになったFは一味違った。
彼は初っ端から「俺、同じ質問を繰り返すのウンザリなんだよね」と言ってのけた。
Fは続けてニヤリと微笑みながら爆弾を投下した。
「ついでに言うと、ちょっと日本語を話しただけで甲高い声で日本語上手ですねぇ〜♡って大袈裟に拍手されるのもウンザリなんだよね」
私は身も蓋もない正直っぷりに笑ってしまった。
私はおもしろいやつを発見しちゃったと思ったけど、人によっては何やねんこの失礼な男はと3秒で席を変えたくなるかもしれない。
Fとは1時間くらい同じテーブルにいた。
パーソナルなことも割とシェアしてくれるため、上っ面の会話ではなく気心の知れた友人みたいに深い話をすることができた。
また、Fはかなり素直で分かりやすい人物だった。
今楽しいんだろうな、今つまらないんだろうなというのが丸わかり。
新しくテーブルにやってきた人と一言二言話して気が合わなさそうだなと判断したら、笑顔で話を聞き続けるのではなく、自分が話してて楽しい人たちの方にくるりと体を向けて話した。
Fは、好かれる人には好かれ、嫌われる人には嫌われそうな、パクチーのようなやつだった。
Fとは意気投合し、その後イベントに参加していたFの友達5人くらいと一緒にラーメンを食べに行き、バンドマンが気持ちよさそうに熱唱しているバーで時間を過ごした。
私はFに言った。
するとFは答えた。
Fの短い演説は、私の旅先で拾ったいい言葉集に追加されたのだった。
The journey will be continued….
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