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わたしと霊性|第2話 誕生

1985年。一面に美しい田んぼが広がる東北の田舎町。
兼業農家の家庭の次男として僕は産声を上げた。

そして生まれた翌年。暑い夏真っ盛りの出来事。

その日は家族総出で田んぼ仕事をする日で、家族は全員、家に隣接した田んぼに出向いていた。

家に残されたのは「一歳」の僕一人。しかし静かに寝てくれてさえいれば何も問題はないわけで、家族は何か大きなことが起ころうとは全く想像をしていなかった。が、事件とはこういう一瞬の隙を突いて起こるものだ。

「大人しく寝てくれているだろう」という家族の想いをよそに、想像の斜め上をいった僕は寝床をするするとすり抜ける。そして、よちよち歩き&ハイハイで、お風呂場へと到達。

ぐーっと、浴槽に手を伸ばして中を覗いて見ると、浴槽には水が張られていて、水の鏡の中にはもう一人の自分の姿が映っていた。

生まれて初めて出逢う鏡、初めて見た自分の姿。
なんとも不思議でたまらず、それに触れたくて、またぐーっと手を伸ばす。

もうちょっとで触れられそうだ。
あともう少し!さらにまた、ぐーっと、手を伸ばす。

「ドボンッ!」

その瞬間、僕は満タンの水が入った浴槽に落ちてしまった。

家族は家の外にいる。まさに絶体絶命の状況。
このまま気付かれなければ、この物語の主人公である僕は死んで、物語はここで終了だ。

しかし、今この文章が綴られているということはどういうことか、

そう、そこで物語は終わらなかったのだ。

母が奇跡的に異変を「察知」して駆けつけ、僕は間一髪、一命を取り留めることが出来たのだった。

どんな「奇跡」が働いてそうなったのかは、神のみぞ知るというところだが、僕はその完全に絶望的な状況から脱して、見事この世に生還を果たしたのだった。

そして後に母は、このような不思議な「奇跡」を、何度も我が家にもたらすことになる。

本当に、一歳で終わっていたかもしれない僕の人生。
しかし、この世の全ての出来事にはきっと意味がある。生きる必要があったからこそ、この世に舞い戻って来たのだ。

こうして僕は生後一年にして、「あの世に片足を突っ込んで帰ってくる」という、前代未聞の一つの「奇跡」を携えて人生を「再スタート」した。

奇跡と波乱に満ちた、強烈な人生の幕開けである。


つづく


MOOMIN / 栽培したい〜世界中で〜

高校生の頃から大好きで聴いているMOOMIN。
素敵な曲なので、良かったら聴いてみてくださいね😊🍀🌸✨


◆「わたしと霊性」第1話はこちらから

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