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人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

津村記久子さんの「水車小屋のネネ」を読んだ。

本にサビというものが存在するなら、
「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という台詞をあげたい。
何千文字の中から、驚くくらい脳内にすっと入り込んできた。
そうだ。誰かに親切にする理由なんてそのくらいでいい。
何か暇だし、誰かのために生きてみる。
きっと自分のためだけに生きていても、その幸福にはすぐに慣れてしまって、退屈を抱える。

利他的に生きるとか、そこまで気負わなくていい。もっと気軽に、フランクに。
なんか暇だから、手を差し伸べる。誰かを助けてみる。
もちろん、自分のことで手一杯の時も人間だからある。その時は、自分を犠牲にしてまで親切を施す必要なんてない。あくまで暇つぶしの親切だから。そのくらい、気軽に生きていい。

仕事も暇つぶしの親切だと考えられたらいい。
家で一人で過ごすのも飽きるし、とりあえず仕事をする。仕事の中で、何か誰かにできることがあれば、親切にする。
親切をすることで暇を潰し、その上報酬までもらえる。仕事って素晴らしい。仕事で暇つぶしに親切をすると考えれば、苦痛だった社会人生活も少し見え方が変わる。

総じて、人生とは長い長い退屈をどう潰していくかのゲームだと思う。そのくらい気軽に、ある意味いい加減に生きていてもいい。
この退屈を潰すことは、他人に親切にすることだったりする。自分のために生きるだけじゃ味わえない感謝という快楽がそこにある。
情けは人のためならずだ。他人からの感謝を求めたっていい。退屈をしのぐという邪な目的のために、親切を施したって構わない。

自分のために生きることもいいけど、なんだか飽きてきた。
今日からは少しだけ、他人への親切に割合を多く割いてみようか。
目の前の景色が、少しだけ明るくなった気がする。

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