弱さを知るおじさん

読んだ本とか生きてて感じたこととか。

弱さを知るおじさん

読んだ本とか生きてて感じたこととか。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

頑張っても人生はなるようにしかならないけど、頑張らなくても人生はなるようになる。

人生はなるようにしかならない。 夢に向かって一生懸命に日々を生きる人にとって、その言葉は悲観的に感じられる。 反対に言えば、人生はなるようになる。 たとえ頑張ることを放棄してしまっても、人生とはなるようになってしまうものだ。 人生の終着地点は、「なるよう」で決まっている。 頑張る道を選んでも、頑張らない道を選んでも、たどり着くのは結局「なるよう」だ。 頑張る人にとって、「なるよう」にたどり着くことは屈辱だ。 なんだ。こんなに頑張ってきたのに、「なるよう」にしかな

    • 人生を能動的に楽しんでいこう。〜「みなさんのおかげです」を読んで〜

      木梨憲武さんの自伝 「みなさんのおかげです」を読んだ。 人生を楽しんでいくコツみたいなのを学べた気がする。 まずは前提。 人生を楽しんでいこうという姿勢。 楽しいことが向こうから訪れるのを待つのではなく、こちらから追いかけていく。 能動的に人生を楽しんでいく姿勢が大切だ。 楽しもうという決意がない限り、人生なんて楽しくなるはずがない。 好きに生きよう。やりたいことをやっていこう。 そして大切なのが人との繋がり。 タイトルにあらわれている。 「みなさんのおかげです」 人と

      • ホラーでありミステリーであり普遍的な愛であり 〜「をんごく」を読んで〜

        北沢陶さんの「をんごく」を読んだ。 ホラー・ミステリーの賞をとられている作品で、文体が美しく最後まで楽しく読ませていただいた。 読み方がずれているかもしれないけど、本書を読んで私が感じた最も大きな感情は、「隣にいる大切な人を大切にしよう」ということだ。 亡くした妻が幽霊となって現れる設定のお話を読んで、当たり前だが、私も大切な人もいつか必ず死を迎えるんだよなと実感した。 大切な人が幽霊となって現れた時、私はどんな感情になるのだろう。 久しぶりだね。元気にしてた? あの

        • 疾走感が気持ちいい。座って読んでいるだけなのに。 〜「解答者は走ってください」を読んで〜

          佐佐木陸さんの「解答者は走ってください」を読んだ。 率直な感想。 読んでて気持ちいい。清々しい。 自分が走っているような感覚。 実際は座ってページを捲っているだけなのに。 色々な世界線をタイトル通り疾走して飛び回る。 時折り、どこに自分がいるのかわからなくなったりする。 それさえも気にならないくらい、心地よい。ワクワクする。楽しい。 小説の新たな楽しみ方を教えてくれる。 まるで音楽を聴くかのように、ジムで汗を流すかのように文学を楽しんだっていい。 いや、むしろそれが現代

        • 固定された記事

        頑張っても人生はなるようにしかならないけど、頑張らなくても人生はなるようになる。

        マガジン

        • 弱おじの本棚
          147本
        • 弱おじの思考
          57本

        記事

          コロナと諸行無常とエモ 〜「ツミデミック」を読んで〜

          一穂ミチさんの「ツミデミック」を読んだ。 コロナ禍を舞台にした短編集。 登場人物たちの苦しみに自分を重ね、なんだか懐かしい気持ちにさせられる。 やっとここまできた。 コロナを懐かしいと感じて、文学のテーマとして楽しめるところまで。 文章に触れて、あの頃の内面を鮮明に思い出す。 辛かった。苦しかった。 いや、それすらも超えて、ついには感情の動きもそんなになくなった。 いつ終わるかわからないトンネルに、社会全体が疲弊していたように思う。 あれから数年。 人々は花見をし、飲

          コロナと諸行無常とエモ 〜「ツミデミック」を読んで〜

          内面を描くから小説は面白い。〜「同志少女よ、敵を撃て」を読みました〜

          逢坂冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」を読んだ。 戦争をテーマに取り扱った小説。 アニメや映画では戦争の悲惨さや残酷さを映像で派手に表現するが、そこに存在する人間一人一人の心のうちを微細に表すことはできない。 小説にできないことはもちろんあるけど、本書は小説の特徴をふんだんに活かして、一個人の内面の動きから戦争の醜さや憎むべき部分を見事に表現している。 戦地に赴く少女。 最初は戸惑いながらも、その環境に適応して、人の死に慣れてしまう。そんな自分に気づいて苦しむシーンなど、

          内面を描くから小説は面白い。〜「同志少女よ、敵を撃て」を読みました〜

          面白きこともなき世をオモロく。〜「ユーモアは最強の武器である」を読みました〜

          「ユーモアは最強の武器である」を読んだ。 笑いって大切だよなと、改めて感じた。 会社にユーモアを持ち込むのって、なかなかしんどい人もいると思う。 冗談なんて通じない、殺伐とした環境の中で仕事をしている人もいるだろう。 できる部分から、少しずつ。 ユーモアの輪を広げていけたらいい。 嫌な仕事を振られた時に、軽い皮肉を交えながら笑いを生み出せたらいい。 気まずいお願い事をする時、ユーモアのオブラートで包んで少しでも円滑に物事が進んでいけばいい。 ユーモアとは、意志なのだと

          面白きこともなき世をオモロく。〜「ユーモアは最強の武器である」を読みました〜

          人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

          國分功一郎さんの「目的への抵抗」を読んだ。 ただ生きてる 本当にそれだけでいいのだろうか? いいと思う。 だけど、人は退屈してしまう。 暇を持て余して、その空白がしんどくなる。 人生に目的などあるのだろうか。 どうせ死んでゼロになってしまうのに。 何を成し遂げようとも、いずれ皆に忘れ去られてしまうのに。 人生なんて死ぬまでの暇つぶしだ。 だから好きに生きていい。 目的なんてなくていい。 強いていうなら、暇を潰すことが人生で唯一の目的。 ただ目の前のことに没入していく

          人生とは死ぬまでの暇つぶしだから、全力で遊んでいく。〜「目的への抵抗」を読みました〜

          人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

          津村記久子さんの「水車小屋のネネ」を読んだ。 本にサビというものが存在するなら、 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という台詞をあげたい。 何千文字の中から、驚くくらい脳内にすっと入り込んできた。 そうだ。誰かに親切にする理由なんてそのくらいでいい。 何か暇だし、誰かのために生きてみる。 きっと自分のためだけに生きていても、その幸福にはすぐに慣れてしまって、退屈を抱える。 利他的に生きるとか、そこまで気負わなくていい。もっと気軽に、フランクに。 なんか暇

          人生暇やし、誰かに親切にしてみよう。 〜「水車小屋のネネ」を読みました〜

          純文学とエンタメが誠にバランスよく配合されている作品 〜「それは誠」を読みました〜

          乗代雄介さんの「それは誠」を読んだ。 修学旅行に行った高校生の男女が、ある生徒の恩人にあうために規定のルートを抜け出していくという物語。 なんだか青春の味がした。素敵。 著者の作品をはじめて読んだけど、文章がとても好きだ。 文学的であり、ポップでもある。 洒落た言い方をしてみると、なんだか音楽を聴くように文字が脳内に入り込んできて、とても心地が良かった。 友情であり恋愛であり家族愛であり信頼であり。そのどれもがテーマに散りばめられているけど、良い意味でそのどれもに振り切

          純文学とエンタメが誠にバランスよく配合されている作品 〜「それは誠」を読みました〜

          Chatter「頭の中のひとりごと」を読みました。

          イーサン・クロスさんの Chatter「頭の中のひとりごと」を読んだ。 この本を手に取ったのは、最近、「幸せになるには自分の心の声に従うしかないよな〜」とか感じていたからだ。まさにタイムリーな一冊。 心の声に蓋をするのではなく、耳を傾けて人生に有効に活かしていけたらいい。 もちろん、ネガティブな心の声も少なくない。 それは生存本能で自分を守るための反応だと諦めて、その上で前向きな行動を取れたらいい。 この本を読んでいて、多くの成功者が同じようなことを言っていたと思い出す

          Chatter「頭の中のひとりごと」を読みました。

          虚構だらけの世界を想像力とともに歩みたい。〜「鈍色幻視行」を読みました〜

          恩田陸さんの「鈍色幻視行」を読んだ。 とある小説を巡って関係者たちが謎を解き明かそうとするミステリー要素溢れる物語。 本作に登場する小説が実際の世界で書籍化されているのもすごく面白い。(未読なので絶対に読みます。) 本書が扱う大きなテーマは「虚構」、つまりはフィクションだ。 作られた一つの物語をきっかけに、大きくの人の人生が動かされ、交わっていく。 虚構に触れることで、多くの人生に触れることができるという表現があった。 なるほど。私が本を読む理由も、そこにあるのだと腑に

          虚構だらけの世界を想像力とともに歩みたい。〜「鈍色幻視行」を読みました〜

          次に僕が描くのはどんな線だろう? 〜「一線の湖」を読みました〜

          砥上裕將さんの「一線の湖」を読んだ。 まず、感じたこと。 文字で絵って描けるんだ。すげえ。 水墨画をテーマにした本小説では、実際に絵を描く描写が出てくる。 そのどれも、臨場感がすごい。もちろんそこに絵なんて存在していないのに、文字だけで脳内に絵を描いてくれる。 著者の能力もすごいし人間の持つ想像力って面白い。 私は絵を描かないが、こうして文章を書くことを嗜んでいる。 どちらにも共通するが、次の瞬間、自分が何を書いているかなんてわからない。だから面白い。自分が書いているよ

          次に僕が描くのはどんな線だろう? 〜「一線の湖」を読みました〜

          人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

          作家 佐藤満春さんの「スターにはなれませんでしたが」を読んだ。 僭越ながら感覚が似ていて、読んでいてとても心地が良かった。 人生へのスタンスもとても参考になった。 サトミツさんは運と縁が大切だと本書で言っている。 この本から学んだことを端的に表現するなら、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を用いたい。 やれることをやる。ただし、精一杯に。 自分の熱が感じられるところを、ひたすらに掘り下げてみる。 一生懸命にやるからこそその姿を見ている誰かが現れるし、思いもよらぬ縁か

          人事を尽くして天命を待てと、サトミツさんが教えてくれた。〜「スターにはなれませんでしたが」を読みました〜

          好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

          宮内悠介さんの「ラウリ・クースクを探して」を読みました。 プログラミングに異常な才能を持つ二人の少年を描く伝記的な物語。 戦争などの運命に翻弄される姿がリアルで苦しくもなりますが、最後は希望の光が差し込む好きな終わり方でした。 本書を読んで強く感じたのは、「やりたいことをやっていくしかないよな」という潔い諦めです。 人生などどうなっていくかわからないのだし、考え方によっては既にどうなるか決まっているとも思える。 コントロールできない以上、今の自分の心に耳を傾けながら、やり

          好きを貫き通す中で、大切な存在に出会える。 〜「ラウリ・クースクを探して」を読みました〜

          きっと再生できる。前よりもっと、素晴らしい自分に会える。〜「リカバリー・カバヒコ」を読みました〜

          青山美智子さんの「リカバリー・カバヒコ」を読んだ。 ある公園にあるカバの乗り物「カバヒコ」は、自分の回復した部分を触ることで実現するというご利益があると言われている。 本書で好きなのは、このカバヒコからの目線はいっさい描かれていない点だ。 苦しむ人たちがカバヒコのもとを訪れ、自身の感情と向き合いながら、様々な人との繋がりを経てリカバリー(再生)していく。その様がとても美しく、温かく、人生に希望を与えてくれる。 本書を読むことは、私にとってカバヒコのもとを訪れるような効能を

          きっと再生できる。前よりもっと、素晴らしい自分に会える。〜「リカバリー・カバヒコ」を読みました〜