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小説ヒットのためにクリアすべき6つの壁(これを知らずに絶望するのは早い!)

皆さん、「おもしろい小説なら必ずヒットするはずだ」なんて思ってはいませんか?

少なくとも一定数の読者はそう思っているからこそ、ランキングやポイントを重視する「ランキング神話」「数値信仰」がなくならないのでしょうが…

現実には、そんなことは全くありません。

後に世界的ヒット作となるイギリスの某シリーズも、最初は何社もの出版社に断られてきましたし、日本でも生前に評価を得られなかった文豪は普通に存在します。
どちらも、何か1つ違っていれば「おもしろいのに」全く世に出ないまま終わっていましたよね?

実際には作品の「質」以外の様々な要素が、ヒットの前に「」となって立ちはだかっているのです。

中には作者個人の力ではどうにもできない「壁」もあるのですが…

この「壁」の存在を知らずにいると「こんなに良い作品が書けたのに、どうして評価されないんだ?」と悩み、絶望する羽目になるでしょう。

頑張っているのに「なぜか」報われない――結果が出ず、その「理由」がまるで分からない状態は、人の精神を削ります。

せめてその「理由」が分かっていれば、無駄にメンタルをすり減らさずに済むのではないでしょうか?

小説ヒットの壁は6つ!

大まかに分けると、小説ヒットまでの壁は6つあります。

図にすると、以下のようになります。

壁に1つぶつかるごとに、読者の数は減っていきます。

これは分かりやすく「読者が小説に出会う所~評価等のアクションを起こすまで」の「時系列順」にまとめたもので、分類の仕方によっては壁の種類や数も変わってくるかと思います。
あくまで「イメージ図」のため、読者人数の減少は綺麗な逆三角形にしていますが、実際は作品・作者によって「どの壁でどれくらい人数が減るか」、個々の差が出て「歪な逆三角形」になることでしょう。

1つ1つの壁については下の方でざっと説明しますが…

実は、小説の「本文」のクオリティーが問われるのは④と⑤の壁だけ

後は「投稿の仕方」や「作品アピールの仕方」「タイトルやあらすじの戦略」そして「読者との相性」や「運」といった「本文」とは関係の無い要素ばかりなのです。

むしろ「作品の質」以外の壁の方が多く、分厚いくらいです。

そして実はそのことこそが、投稿小説界隈の最大の問題なのです。

1.露出の壁

作品の質がどんなに良かろうと、まずは読者と作品が出逢わないことには何も始まりません

しかし、ここに第一の壁があります。

まず小説投稿サイトでは「読者の目に触れる(目立ちやすい)スペース」はあまりに少なく、それに対して作品数があまりにも膨大なのです。

ほとんどの作品は「読者の目に触れる」ことすらできずに終わっているのが現状なのではないでしょうか?

そのため「いかに露出を増やすか」に力を注いでいる物書きさんも多く存在します。

具体的には「毎日投稿」や「頻繁な更新」、さらにはSNSでのアピールなどですが…

度を越した露出戦略は作品の質を低下させたり、1ページ(1更新)あたりの文字数がどんどん少なくなってしまったりなど、多くの問題をはらんでいます。

過去記事でもこのあたりの問題は度々取り上げて来ましたが…

本来なら作品の「質」に費やすべき労力を「露出戦略」に使わなければならないというのは、作者・読者双方にとって「損」なことなのではないでしょうか?

この壁を打ち破る方法は現状、「読者がもっと検索を使うようになること」くらいしか思いついていないのですが…↓

小説界隈全体の質を左右する重大で致命的な「壁」ですので、これからも「良い打開策が無いものか」考えていこうと思っています。

2.読まず嫌いの壁

読者の目に作品が触れたとしても、そこには第二の壁が待っています。

それは読者の「読まず嫌い」により、作品をスルーされてしまう可能性です。

「読まず嫌い」にもいろいろタイプがありますが、厄介なのが「数値信仰」と「ランキング神話」です。

すなわち「高いポイントがついている作品しか読まない」「ランキング順位が高い作品しか読まない」タイプの「読まず嫌い」です。

どんな作品も必ず最初は「0ポイント」の「最下位」スタート。

さらに言えば小説投稿サイトは、投稿戦略が上手く露出の稼げる作者ほどポイントや順位が上がりやすい傾向があります。

なので数値や順位と作品のクオリティーが合わない例など、山ほどあるのですが…

残念ながら、そのことに気づいていないユーザーは多いのだろうと思われます。

また「ジャンルカテゴリー)」や「要素」も「読まず嫌い」の原因の1つです。

「このジャンルは自分には合わない」「こういう要素のある作品じゃないと、おもしろくない」…

そんな思い込みが、読者の選書の幅を狭め、おもしろい作品と出会うチャンスを減らしている可能性は大いにあります。

…実際のところ「絶対に合わない要素」というものも中には存在しますが(特にエログロ関係では「生理的に無理」が発生しやすいかと)…

世の中にはジャンルに対する「苦手意識」を覆してしまえるほどの名作も存在するものです。

この「読まず嫌いの壁」も作者・読者双方ともに「損」をさせる壁ですので、何とか打開策を見つけていきたいものです…。

3.前情報の壁

作品には、本文の前に様々な情報がついています。

「タイトル」「あらすじ(作品概要)」「タグ・キーワード」「表紙画像」etc…。

読者はそれらの前情報から「この作品は、こんな作品なのではないか?」というイメージを描きます。

そしてそのイメージを元に「読む・読まない」を判断します。

しかし、そのイメージはあくまで読者の「想像」。
実際の内容と合っているとは限りません

つまり読者の想像力次第では、実際よりだいぶ「ひどい」イメージを抱かれて「おもしろいのに読まれない」という事態も発生してしまうのです。

また「タイトル」や「あらすじ」などの短文は、「本文」とは違ったセンス・才能を求められます。

それはどちらかと言うと「小説家」というより「コピーライター」に近いセンスや才能です。

そしてここには、作者の「性格」も関わってきます。

前情報には「インパクト」があった方が良いわけですが、謙虚な性格の作者・控えめな性格の作者はここで「思い切ったアピール」ができません

なので、ここで「本文のおもしろさ」を表現しきれず「損」をしてしまう作者・作品も出て来てしまうのです。

4.冒頭の壁

アニメ界隈では「1話切り」「3話切り」といった言葉が存在しますが…

新作アニメを1話目や3話目で「見続けるかどうか」判断するように、小説もまた冒頭の数ページで「読み続けるかどうか」判断する人は多いのではないでしょうか?

実際「冒頭にインパクトを持ってくる」というのはよく聞くテクニックです。

しかし「冒頭がおもしろい」作品が「最後までおもしろい」とは限らず、「冒頭が地味」な作品が「おもしろくない」とは限りません。

スロースターターな作者は序盤はなかなかエンジンがかからないものですし、マンガやアニメの世界でも「○話目からがおもしろい」「途中で大化けした」という作品はありますよね?

…ただ、何かとタイパが重視される現代では、その「おもしろくなるまで」が待てない「ゆとりの無い」読者が多いのかも知れません…。

さらに言えば、「冒頭の壁」は単純に「インパクト」だけの問題ではないと、個人的には思っています。

読者がその作品を「読みたい」と思うかどうかは、インパクトだけではなく「好きになれそうかどうか」も重要です。

冒頭にその読者の「好みの要素」が含まれているかどうか(この先に自分好みの展開がありそうかどうか)…そこでも「読み続ける」か「そこで切るか」の判断がされてしまうのではないでしょうか?

5.継続の壁

個人的に6つの壁の中で最も重要なのが、この「継続の壁」だと思っています。

この壁をクリアできない作者は、たとえ他の壁をクリアできたとしても「真のヒット」は望めないのではないかと思っています。

「継続の壁」とは「作品を読み続けてもらえるかどうか」。

すなわち「続きを読ませるだけの力が作者にあるかどうか」です。

「冒頭の壁」で「冒頭がおもしろい作品が最後までおもしろいとは限らない」と書きましたが…

その「おもしろくなくなる」要因が「慣れ」と「マンネリ」です。

どんなに斬新な設定も、どんなにインパクトのある展開も、読者に慣れられれば飽きられます

ストーリーがパターン化すると、先の展開が読めてしまい「わくわく感」がなくなります。

そこを飽きさせず、読み続けてもらうためには、展開や構成を「工夫」しなければならないのです。

…ただ、この展開の仕方で「好き嫌い」が分かれて読者を失うパターンもあります。

意外性が好きな読者もいれば、王道の安心展開を望む読者もいます。

この壁もやはり、純粋に作者の能力だけではなく、多かれ少なかれ読者の「好み」との「相性」が関わってきてしまうのです。

6.アクションの壁

作品を読み続けてもらえ「おもしろい」と思ってもらえたとしても、それが評価に繋がるとは限りません

なぜなら、読者がアクションを取るとは限らないからです。

むしろ作品に対してアクションする読者は少数派…大多数の読者は、何か感想を抱いたとしても何もしない「サイレント・マジョリティ―」なのではないかと思われます。

(実際「小説家になろう」さんでは、「1回でもレビューしたことのある読者」は全ユーザーの1%というデータがあります。↓)

(調査日:2023年9月22日)

アクションには労力が要ります。そして多かれ少なかれ「勇気」や「意欲」が要ります

特に「自分の言葉」でアクションしなければならない「感想」「レビュー」などはハードルが高いのです。

そもそもアクションするには「アカウントが必要」なことが多く、アカウントを持っていないユーザーは自分の意見を反映できません

さらに言えば、そうして「自分の意見を反映」させることの重要性に気づいていないユーザーも多いことと思われます。

皆さん「なんでこんな『つまらない』小説が上位で、こんなに『おもしろい』小説が低い順位なんだ?」と思ったことはありませんか?

そしてそう思われた皆さんは、その「おもしろい小説」に対して何らかのアクションを取っていましたか?

小説投稿サイトはシステム的に「あまりアクションの無い面白い小説」よりも「多くアクションされる面白くない小説」の方が上位になりやすいのです。

(某サイトAなど、たとえ否定的なコメントや誤字報告であろうと「感想」が投稿されただけで数百ポイントが入るサイトは存在します。)

スターツ系の3サイトのように、読者のアクションに対するハードルを下げようという取組をしているサイトさんもありますが…↓

ほとんどのサイトは「読者は面白い作品には必ず好意的なアクションをするもの」という「理想」を前提にサイトシステムを作ってしまっている気がします…。

ランキングの順位やポイントの数値と小説実態が「合わない」としたら、おそらくそんな「システムの作り方」が問題なのではないかと。)

作者の能力によらない「壁」を壊すことが、小説界隈健全化の鍵

小説がヒットするためには、いかに作者本人の能力「以外」の要素が必要か、お分かりいただけたでしょうか?

逆に言えば、作者の能力によらない他の「壁」を壊すことができれば、純粋に「おもしろい小説」がヒットする世界――作者の能力が正しく評価される世界が実現できるのです。

壊すには困難過ぎる壁ばかりですが、これが立ちふさがっていては、作者・読者双方にとって損なことばかりです。

なので、これからも何とか少しでも壁を崩せるよう、思考を続けていくつもりです。

(上に書いた6つの壁の説明は、あくまで「ざっと」まとめたものです。今後、もっと深掘りして打開策を見出していくつもりです。)



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