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読者は「中身」でも「タイトル・あらすじ」でもなく、イメージ(印象)で読む小説を決めている

当たり前過ぎる話なのですが「読む前から内容の分かっている小説」というものはありません。

(過去の名作などで、ダイジェストで中身を知ってしまっているわけでもない限り。)

しかし、読者はそんな「中身の分からない」小説の中から、読む小説を「選んで」います。

それを、一体「何で」選んでいるのでしょうか?

よく、選ばれるために「タイトルで目を惹く」「あらすじにインパクトを持たせる」と言いますよね?

ならば、読者は「タイトル」や「あらすじ」で読む小説を選んでいるのでしょうか?

実は、違います

読者は「タイトル」や「あらすじ」そのものではなく、そこから受け取る「イメージ」で小説を選んでいるのです。

他の作者の方の経験として「同じ小説でも、投稿するサイトによって読まれる人数が全く違う」という記事を読んだことがあります。

「タイトルが優れていれば必ず読まれる」「あらすじが面白ければ読む人数が増える」と言うなら、どのサイトに投稿しても結果は似たようなものになるはずですよね?

しかしながら、実際問題「どこに投稿するか」によって「読まれ方に違いが出る」という現実があります。

サイトが違うと、何が違うのか…?

答えはズバリ「」です。読者層が違うのです。

人間の感性は、1人1人違います

同じタイトルを見ても「オシャレでカッコイイ」と思う人もいれば「ダサい」と感じる人もいます。

つまりは「タイトルそのもの」ではなく、「そのタイトルから何を感じるか」で小説を選んでいるのです。

そしてその「感じたもの」とは、あくまで読者が自分の頭の中で勝手に作り上げたイメージです。

実際の小説の内容と合っているわけではありません

皆さん、「第一印象で感じたものが、実際とは全く違っていた」という経験、ありませんか?

あるいは「表紙買いした本が期待外れだった」という経験はありませんか?

「中身」を知らないうちに抱いた「イメージ」は、あくまで「イメージ」でしかなく、真実と違うことも多々あるのです。

イメージは、読者のそれまでの経験や、趣味嗜好、その時の気分などから作られます。

たとえば以前読んだ小説が「つまらなかった」場合…それと「よく似たタイトル」の小説を、手に取ろうと思うでしょうか?

「タイトルが似ているから、中身も似ているかも知れない」と、手を出すのを躊躇うのではないでしょうか?

(逆もまた同じです。以前読んだものが面白かったなら、似た雰囲気の小説には手を伸ばしやすいのではないでしょうか?)

しかし、小説はタイトルが似ているからと言って、中身も似ているとは限りません

作者が違えば、内容も変わります

たとえ同じジャンルの、似たような要素を扱った小説であっても、作者の技術次第では、全く別のものに仕上がったりもするのです。

…しかし、イメージだけで手を出すのをやめたなら、その「おもしろさ」には一生気づけません

おそらくそうやって、イメージだけで見切りをつけられ、その「おもしろさ」を見出されないままの小説が、この世には山のように埋まっているはずです。

作者がどんなに頑張ってセンスを磨いても、そこには「限界」があります。

読者の頭の中に浮かぶ「イメージ」――そしてそれを生み出す「感性」や「経験」までは、どうにもできません

たとえ「こういうイメージを持ってもらいたい」と「イメージ戦略」を練ったとしても、そんな「狙い通りのイメージ」を、読者が持ってくれるとは限りません。

作者が「シリアスで切ない物語」のイメージを出そうと思ってタイトルをつけても、読者の感性や、それまで読んできた作品次第では、全く逆の「コミカルで楽しげな物語」と思われてしまう可能性だってあるのです(その逆もまた然り)。

(そしてそこのイメージに「ズレ」があった場合、たとえ読んでもらえたとしても「思っていたのと違う」「期待していたのと違う」と評価を下げられるリスクがあります。正直、気をつけようのないリスクだとは思いますが…。)

もし、実際とは違うイメージを勝手に抱かれ、誤解されて「読まれない」のだとしたら…

それは、評価される・されない以前の、あまりにも哀しい現実だと思いませんか?

…そこの問題を解決する方法も、やはり「読者の意識改革」しかないと思うのですが…

(以前の記事『一時的な成功のための戦略でなく「物書きが本当に幸せになれる」戦略を考える』でも、読者の意識改革について触れましたが、それとはまた別の種類の意識改革が必要だと思っています。たとえば「先入観」や「固定観念」を打破する、といった感じの…。)

具体的に、何をどうすれば読者の意識を改革できるのかについては、まだ思案の最中です…。

(なにげに同時進行で考えていることが多過ぎて、追いつきません…。こういう問題に頭を割いてくれる方が、もっと増えれば良いのですが…。)

ちなみに「タイトル」「あらすじ」「イメージ」以前に「星の数」や「レビューなどの評価」で読む小説を決めているというパターンについては、過去記事『【考察】読者のタイプと傾向の分析』の「6.自分の好みで小説を選ぶ読者と、他人の好みで小説を選ぶ読者」などでも触れているため、今回は触れていません。



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