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訪問診療看護師のやりがいとは?救急から訪問診療クリニックへ入社した看護師にインタビュー

<プロフィール>
■氏名:池田 好子
■役職:musubi Group 在宅医療事業本部 
     看護事務部 玉造エリア クリニック看護グループ リーダー
■経歴
2022年9月 結新会ホームケアクリニック玉造に看護師リーダーとして入社


-musubi Groupに入社されたきっかけを教えてください。

理事長の任先生に誘われたのが最初のきっかけでした。任先生とは元々、私が看護師になって初めて入社した病院で出会いました。私の初期研修を担当するチームのリーダーが任先生でした。研修以降はあまり関わりがなかったのですが、救急に私が所属になり、そこで今の任先生の奥様となる先輩と一緒に働いていました。そういったご縁がありお声をかけて頂いたのがきっかけです。在宅の分野に関しては、正直何をしていいのか全くわからなかったのですが、任先生が『少しずつ一緒に勉強しながらやっていこう』と言って下さったこともあり、どうしようかとあれこれ結構悩みましたが、新たな事に挑戦するワクワク感で入社を決意しました。

-これまではずっと救急しかやられてなかったですよね?

看護師になった時に病院のローテンション研修で色んな部署を回らせていただいたんですが、救急が楽しいと感じたことと、看護師になったのが遅かったこともあり、最初に慢性期で働くと急性期では働けないんじゃないかと思い、救急を希望しました。約10年救急で働き、引っ越しで転職し病棟経験も少しですがさせて頂きました。病棟だと、患者様と関わる時間が多く感情移入しやすくでプライベートとの気持ちの切り替えが難しかったです。救急のメリハリのある感じが自分にはあっていたと思います。

-救急から訪問診療クリニックの看護師となりギャップはあったんじゃないですか?

想像していた以上にありました(笑)救急ではとにかく優先することは救命することだったので、救命処置が終わればその後の管理は病棟へバトンタッチです。患者様やご家族と関わり続けることだったり、地域連携との関わりだったりということはほとんどありませんでした。ですから『自分の経験を活かせることってなんだろう。私は看護師してきたけど、何してきたんだろうか、、全く役にたたない、、』と最初はずっと思っていました。

-思っていましたということは、少し改善されたのですか?

救急では処置や、検査介助をすることが多かったので、そういう看護技術とかを使える場面(採血や尿道バルーンを挿入したり)では役にたつんですけど、家族や患者様との関わり方や他職種との関わり方がどうしたら良いのかわからなかったです。わからないから話すのも恐る恐るになってしまったり。だから最初はここに自分は必要なのかな?と想っていました。ただ、訪問診療を経験させていただくなかで、訪問診療の看護師って何をしたらいいのかなっていうのを模索しつつ、ちょっとずつ自分なりにこういう役割なんかな?っていうところは少しずつ見えてきたころです。多職種の方から色々な事を教えて頂きながら一から積み上げているって感じです。

-ギャップを感じた中で、辞めようと思ったりはしなかったのですか?

最初は看護師は私一人しかいなかったですし(笑)辞めるという選択肢は自分の中にはなくて、ここで成長しないといけないという想いがありました。だからずっと模索しているというか、、
辞めるという選択肢がなかったからこそ、覚悟ができていたので色んな事を学びながら今は少しずつ成長を実感しています。

-入社前に思っていたワクワク感はまだありますか?

思ったよりもハードで、もっとのんびりしているつもりでした(笑)でも、やりたいと思っていたことや、1人では解決出来なかったことが仲間が増えてできる様になってすごく嬉しくて、ワクワクしています。新たなワクワク感を感じてます。

-訪問診療クリニックで、のんびりしたイメージをお持ちの人は多いですもんね(笑)

訪問診療だけでなく、訪問看護についてもあまりわからなかったのですが、吉原さんがジョブローテーションにて異動してきてくれて、訪問看護ステーションの考え方や、訪問診療クリニックの立場もわかるようになりました。現場の多職種(連携する様々な機関)から『先生の意見が聞きたい・こんな指示がほしい』と思っていても先生に直接伝えるには敷居が高く言いにくいといったことがあると知りました。先生にそれを言いやすいような状態・環境にしたりすることは診療看護師の大切な役目だと思っています。多職種とのやり取りをする際に訪問診療の看護師は医者の立場での目線も持っていないといけないと思うので勉強が必要です。看護師以上のレベルを求められるというか、どっちかっていうと研修医のようだなと感じています。
他にも、話し方やメッセージの打ち方、思っていることを言葉に文章化・言語化するといったことが凄く大事だと思います。それがなかなか難しいですね。メッセージ一文送るのにもすごく考えてしまい時間がかかります(笑)でも勉強することによって、すごくしんどい反面、成長もできます。時にへこみますが吉原さんや他のメンバーに支えられながら毎日頑張れています。こんな素敵な仲間と一緒に頑張れる。こんな環境で仕事ができるのは、私にとって、最後なんじゃないかとも思っています。この環境・このメンバーで、一緒に仕事していきたいって思っているからこそ『これを覚えなあかんし、これも突破せなあかん』という感じです。

ジョブローテーションにて訪問看護ステーションmusubiの管理者から結新会ホームケアクリニック玉造に異動してきた、吉原看護師については、下記リンクにて紹介していますので是非ご一読ください!

-実際のお仕事の内容や詳細について教えていただけますか?

訪問診療の準備(カルテ、患者様用の物品の準備)・多職種や病院との連携・看護師としての指示書や同意書といった書類作成・事務さんとの算定確認、訪問予定の管理・車の運転と多岐にわたるような内容です。先生の診察したあとのカルテや診療情報提供書を書くこともあります。先生が書いた方が早いのですが、あえて看護師が作成することによって、自分の文章能力や疾患に関する理解度をあらためて確認することができます。特に多職種とのパイプ役として連携する役割は大切だと思います。

-パイプ役とは具体的にどんなことをしていますか?

例えば訪問看護の事業所から患者様の状態や様子がおかしいとなったときの緊急コールがあります。訪問看護ステーションの看護師から『どうしたらいいですか』と。こういった場合に救急の対応が必要なのか、救急車を搬送する対応が必要なのか、なにか薬で様子をみてもらうことが必要なのか、それとも先生が翌日行って診察するだけでいけるのかとか、そういったことを判断までは出来なくても、それをまず先生に繋ぐための準備をします。
事前にご家族が望むことを聞き、患者様はどこまで求めているのかを確認し、病院なのか、うちの治療でいいのか方向付けすることで、先生とご家族と訪問看護との橋渡しをしていきます。

-多職種連携で気を付けているポイントはありますか?

例えば多職種から患者様の報告として「〇〇な状態です」という連絡がきたときに、指示がほしいのか、ただの報告なのか、文面から解読して、わからなければ連絡をしてみたり、ちょっと経過を見てみたり、相手の意図を汲み取る様に気をつけながらやりとりをしています。返信する際の文章について迷うこととかがあれば、まず先生に返事の内容を確認・相談して、許可を得てから返事しています。言葉とか伝え方とか何か足りなければ、その連携はうまくいかなくなると思っています。訪問診療クリニックの看護師って、なんとなく上から目線的に感じられることが多いみたいで、、、伝え方を大切にしています。多職種から『~どうでしょうか?』とメッセージがきても、『~してください』と普通に文章を返すだけでも、普通の文章なんですけど『これって上からに見えるよ』と先生に注意されます。自分の思っている気持ちを柔らかく、きつくなく伝えるってどうしたらいいんやろって毎回悩んでます(笑)

-仕事の考え方についてお伺いしたいのですが、今聞いているとコミュニケーション/伝え方を意識されているのかなと思ったのですがいかがでしょうか?

そうですね。救急ではひっ迫する場面も多く、ご家族や患者様には短く簡潔に、また安心できるような話し方を心がけていました。訪問診療をするようになりガン末期の人や在宅での看取りに関わらせていただく中で、患者様やご家族が本当はどうしたいのか、何を求めているのかとじっくりと考えるようになりました。患者様は自分らしく最期を迎えたいという想いがあり、ご家族の場合だったら、迎えさせてあげたいっていう想いがあります。そういう想いに寄り添うことが大事だと思っています。しかし訪問診療クリニックの看護師は、週に1回、月に2回などで短い時間の関わりとなります。だからこそ一番近くで見ている多職種の人から色々情報を聞けるような関係性を築くことが大切だと思っています。相談しやすいような雰囲気や言葉遣い、態度など親しみをもっていただけるように心がけています。

-訪問診療クリニックの看護師の実務的な部分でのやりがいはございますか?

病院で勤めていた時は、救急で勤務していたので、優先順位は常に救命でした。緊急の場面でも本人の想いを確認できない場面も多く、ご家族への確認も短い時間で、じっくり考えていただくことができなく、困難な場合が多かったです。でも緩和ケアにおいては、求められることって救急と違い、患者様とご家族の想いをじっくりと聞く/寄り添うということがすごい大切です。自分らしく過ごしていただく為には、どう関わっていったらいいかな・何を望んでいるのかを考えていくことが大切だと実感しています。状態によっては、考えや想いは変わっていくので、その時々の想いに共感して、多職種と連携して寄り添っていくことができることにやりがいを感じています。

‐今後の目標はありますか?

訪問診療看護師としての経験を積んで、緩和ケア学会で発表したいですね(笑)そのためにも患者様の理解を深めるためにも疾患をもっと勉強しないと、、、研修医レベルの考え方をもてるようになりたいです。多職種や患者様・ご家族との間に立つということは、先生の考えをしっかりと理解した上で関わらなければいけないので、疾患に関する知識のレベルアップが必要だと思っています。また疾患以上に大切なのは患者様の背景を理解することです。多職種や患者様・ご家族との関わりをもつうえで、訪問診療クリニック看護師としてどう関わればよいかをディスカッションして、『今うまくいっていないことを、こうやってやってみようよ』『やってみたけどやっぱりここが今度はあかんな』とトライ&エラーを繰り返し常に変化し続けていきたいです。そういう変化の中で楽しみながらスキルアップしていきたいなって思っています。

‐これから応募しようと思っている方にメッセージをお願いします!

めっちゃ怒られる事も絶対あると思うんですよ(笑)それでも、前向きで素直な方がいいですね。きっと今まで色んな経験をして、こだわりとかもあってもいいと思います。自分の看護観は大切にしながら変化することに対しても、楽しめる方がいいですね。今までやってきたことが通用しなくて、何をやっていたんだろうとか思うこともあるし、うまくいかない事もあるけど、それを前向きに捉えられたりとか、明るく捉えられる、そういう方と一緒に仕事できたらいいなと思っています。

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