見出し画像

訪問看護STの管理者が語る「私が訪問看護で大切にしていること」について

<プロフィール>
■氏名:吉原 亜記子
■役職:musubi Group 在宅医療事業本部
      訪問看護ステーションmusubi 管理者
■経歴
2018年看護師として入社。2021年から管理者。
2022年ケアマイスター ブロンズ取得

‐musubi Groupに入社したきっかけはなんだったんですか?

 musubi Groupを選んだ理由としては、前職での経験の中で、患者様に対するケアや治療の方向性、病院で生活している患者様を見ていた時に、もっと患者様とゆっくり関わりたいなという想いがありました。入職前は病院経験しかなく、そんなときに、人材会社のエージェントに紹介してもらったのがmusubi Groupでした。

‐病院以外での施設形態には、どのようなイメージを抱いていましたか?
 施設はアシスタント(介護職)が中心となって生活を支えるケアをするというのが大きいと思うので、看護として治療的な面や処置やケアに対してリーダーシップをとる役割なのかなと漠然と思っていましたね。病院のように処置やケアだけにとらわれず、生活という部分を考え働けるのかなというイメージもあって施設を希望しました。

‐施設内訪問看護を視野に入れていた中で、訪問看護ステーションmusubi(在宅の事業所)を選ばれた理由はありますか?
 面接自体は訪問看護ステーションmusubiホーム(施設内訪問看護の事業所)を受けました。当時面接をしてくれた管理者が、私の経歴を見て在宅の訪問看護の方が向いてるんじゃないかと勧めてくれました。ちょうど訪問看護ステーションmusubiが立ち上がる時期でもあり、楽しそうだなと思いましたね。

‐在宅の訪問看護がどのようなものか、イメージはお持ちだったんですか?
 なんにもなくて(笑)新しい事にチャレンジするのが好きだったので、やった事もないことをまた学ぶのもいいなと思いました。訪問看護は居宅でゆっくり対応できるというのもあって、1度チャレンジしてみたいと思い入社しました。

‐他にも選考を受けていたと思うのですが、musubi Groupに決められた理由は何だったんですか?
 面接官が話しやすかった事と、自分の看護観と合うというところも感じたので決めました。あとは家から近いというところですかね(笑)

‐面接を通して、在宅の訪問看護楽しそうだなとか、面接官の雰囲気や価値観が合うなと入社前に感じていたと思うのですが、入社してからギャップは感じましたか?
 あんまり悪いギャップはなかったです。良かった点としては在宅の訪問看護を全然知らずに入社したので、やってみて本当に日々ご利用者様に寄り添って考えれる事に充実感がありましたね。立ち上げ時期でもあってご利用者様の数もそこまで多くなかったので、ひとりひとりに濃く関われる事、musubiのクリニックやケアマネジャーと連携し、病院とは全然違う連携のあり方など、そういうのが凄く新鮮で毎日楽しかったイメージしかないです。
 ひとつ大変だった事を思い出しました。訪問看護を始めた頃は、ご利用者様を近く関わっているからこそ、こうしてあげたいなどの自分の思いが強すぎる事がありましたね。でも、在宅での大切な事は、医療者として役割を果たす事と共にご本人・ご家族の意向に寄り添う事、多職種とご利用者様の思いを一緒に共有しサポートする事だと考え方が変わっていきましたね。病院にいる時よりも、多職種との連携の大切さを感じそれぞれの視点を聞く事がとても勉強になった所でもあります。

‐お話の中で連携がすごく大切だという印象なのですが、実際にどのように多職種連携を行っているのですか?

 日々変わっていくご利用者様を、それぞれ違う視点から見ているので、多職種での情報交換だったり、一緒に訪問したりという調整をしています。例えばケアマネジャーと一緒に、ご利用者様のご自宅に伺ってプランやニーズに応えたり、クリニックの往診同行をしたり、そういった多職種間の連携をとっています。

‐病院や施設内と違って、訪問していない時間帯の利用者様の様子を把握するのが難しいと思うのですが、情報を共有する仕組とかはあるのでしょうか?
 musubi Group内の連携か、他事業所かでとやっているかで情報共有は違いますね。musubi Groupでは社内専用のSNSがあり、グループ内の多職種で一同に共有できるところはいい所ですね。他事業所と関わる際は、それぞれの事業所に合わせて電話やFAX、SNSなどを使い情報共有を行っています。状態の変化時などは、タイムリーな対応を行っていける様に注意しています。他事業所の多職種であっても、グループ内でも同じ価値観で一緒にご利用者様をサポートできる今の環境やチームの在り方に本当に感謝しています。

‐実際に在宅の訪問看護の中で、どういった医療的行為をしますか?

 点滴管理(中心静脈のポート含む)やストマ・カテーテル管理などです。今はいないですが、気切カニューレ管理などもあります。病院で行う一般的な処置で、対応できる程度だと思います。

‐在宅は病院の様に医師が常にいない状況が多いです。その為、ある程度自分自身で状況判断が必要な場合があると思います。それが不安で訪問看護に挑戦しにくい看護師さんも多いと思うのですが、musubi Groupではどういったフォローアップをしていますか?
 訪問して対応に困る場合、各スタッフが社用携帯を持っているので、私やその日出勤しているリーダー的なスタッフに相談してもらっています。訪問する看護師が不安な場合は、できるだけ一緒に同行して不安を解消してから、一人立ちしてもらっています。私自身も、悩む事は多々あるので、日々のスタッフ同士でのカンファレスや朝礼でそれぞれのご利用者様の情報共有や、相談をしやすい環境を作れるように考えています。

‐求職者様にたまに質問されるのですが、医療保険と介護保険のサービスの割合はどちらが多いですか?
 人数のバランスだと今の時点(2022年6月時点)では介護保険を利用されている方のほうが多いですね。医療保険でのサービスでは癌末期や難病の方が多いですね。癌末期の方が多いので、その時々で利用者数はかなり差があると思います。サービス内容としては、医療的な行為と共に、服薬管理や入浴介助、褥瘡の処置や排泄ケア、食事介助や口腔ケアなどの病院でしているケアとあんまり変わらないと思います。

‐musubi Groupの理念で『最期まで自分らしく生活できる地域を創る』とあり、特に訪問看護ステーションmusubiは看取りの対応数が地域の中でも多いと思うのですが、大切にしていることはありますか?
 一番は、チーム力と価値観の共有ですね。ご利用者様に日々関わるご家族・多職種・訪問看護のスタッフのチーム力が合わさると、ご利用者様の思いに歯車の様にうまく回っていくイメージです。価値観という部分では、musubiのクリニックとの連携・価値観の共有ができる部分は本当に感謝しています。
 訪問看護としては、ご利用者様が望む生活や、好きな事や大事にしている事を一緒に大事にする事ですね。そして、最期の時を誰とどんな風に過ごすのかを一緒に考え寄り添う事を大切にしています。そうした中で、自宅を選ばれる要因の一つに、スタッフとご本人・ご家族との信頼関係を作ってきたからこそ、選択されることがあります。その信頼関係の中で、最期までご自宅でお看取りさせていただけているのかなと思いますね。

写真左:吉原

‐最後まで自宅でご利用者様を支える仕事はやりがいにも繋がってはいると思うのですが、逆に大変だったことはありますか?

 大変なことは日々ありますね(笑)スタッフのみんなが、同じ思いでご利用者様に寄り添ってくれている姿をみると、スタッフ自身も精神的にしんどい時もあると思います。他者と自分の価値観の違いや、ご利用者様の生活環境が不十分な時や、ご本人の思いとは違う要望をご家族から訴えられる時などですね。自分の感情をコントロールする事、様々な事に折り合いをつける事が大事だなと思っています。だからこそ、チームでご利用者様をサポートできる環境・それぞれが思いを話せる職場環境が大切だと思っています。

‐在宅の訪問看護をして4年目になったと思うのですが、自分の感情をコントロールするとか、折り合いをつけるのはどうやってしてきましたか?
 違った意見があって当たり前、相手や見方によればどれも正解なのだと思うようにしています。ご利用者様について連携をとるうえで多職種間での意見が違う際や、共有が不十分な時は、相手に直接お会いして話すようにしています。そういう面ではコミュニケーション力は、すごく高くなったのかなと思います(笑)

写真左:吉原

‐入社したばっかりだと、ご自身で感情などコントロールするのって難しいと思うのですが、フォロー体制ってどうなっていますか?

 訪問看護を離職する理由は、在宅での価値観が受け入れられない、一人で訪問に行く責任が重いという項目が上位に挙がります。不安や価値観の違いに対して自分の感情を理解する事、だからこそ出来るだけスタッフ内で話し合う事が大切だなと思っています。訪問時も、同行研修を実施し、不安などを解消してから訪問の一人立ちができる事が理想的と思っています。

‐ひとりだちまでどれくらいの期間がかかりますか?
 すごく慎重な方もいれば、とりあえず1回やってみるというタイプの方もいるので、スタッフにあわせて研修は実施します。基本は一人のご利用様に対して3回くらい同行をします。期間でいうとだいたい2カ月くらいです。その後も、不安があれば先輩看護師が同行し一緒に方向性や現状の問題点を考える様にしています。

‐病院とはまた違う、在宅ならではのスキルアップってありますか?

 病院は処置や技術が経験できるところだと思うのですが、在宅の中で経験して得られるスキルとしては、コミュニケーション力だと思います。様々な人への配慮だったり、それぞれの役割を考えたりと、病院では経験できない部分だと思います。ご利用者様がどんな風に生活しているのかをみて考えられるのは、病院では経験できなかった部分ですね。私が病院で働いていた時に分からない中で行っていた多職種連携が、今もし病院に戻った時には以前よりはスムーズに退院支援が行えるかなと自信はつきました。(笑)

‐地域との連携や関わり方がすごく重要で、コミュニケーション力が培われるのはイメージ出来たのですが、事業所としてスタッフ全員が同じように多職種連携に取り組めるような、フォロー体制や仕組はりますか?
 ご利用者様や多職種への、サービスの質にも関わってくるのでスタッフ全員が同じように多職種連携を大切にできる関わりが大事ですね。今実践しているスタッフ育成は、「訪問看護の動向や仕事とは」「musubiでやっている多職種連携で大事にしている事」「業務内容」などのマニュアル化です。
 マニュアル化以外では、連携スキルやコミュニケーション力は実践を繰り返さないと向上しない部分だとは思っています。トライ&エラーしたことについて否定するような社内の雰囲気ではないので、挑戦しやすい環境だと思います。

‐手技の部分のフォローアップはありますか?
 処置としては、総合病院で働いた経験があればある程度は大丈夫だとは思います。実際にOJT研修の中でスキルチェックシートにチェックしてもらって、自分が不安に思っているところや、自信のないところを洗い出してフォローする体制があります。最低限の技術は必要ですが、それ以上に訪問看護に対する気持ちの方が大切だと思っています。技術は後からでも成長するので、技術が不安で訪問看護に挑戦しないのではなく、訪問看護に対する気持ちがあるのであれば是非挑戦してほしいなと思います。

写真左から2番目:吉原

‐これからどんな事業所にしていきたいですか?
 ご利用様を中心に考え、スタッフが意見を言い合える環境や楽しく働ける事業所にしたいですね。それがサービスの質に繋がってくると思っています。

‐これから訪問看護に挑戦してみようかなと思っている方にメッセージをお願いします。

 病院でしか出来ないこともたくさんあると思います。私は、病院で働いていて、もっとこういう看護がしたい、ご家族との関わりはこんなことがしたい、患者様の意思を尊重したいと思う場面が多かったです。そんな想いを日々感じながら働いている方がいたら、是非在宅で一度働いてもらえれば、消化できるのかなと思います。それが楽しさや、やりがいにも繋がります。
病院は物品が揃っていて、医師がいてといった環境ですが、訪問看護は家やご家族の背景だったりとかに影響を受けるので、すぐに福祉用具を入れることが出来ない時もあるんですね。それをアイディアでどう解消できるのかって考えるのも楽しいですね。例えば点滴棒がないから、家にある棒を車椅子にさして点滴棒にしたとか(笑)ハンガーで点滴を落とすとか、何でもアイディア次第というのが訪問看護の楽しいところですね。ご家族やご利用者様と一緒に考えながらつくっていくというのが在宅の訪問看護だと思っているので、それは楽しいしやりがいがあると思っています。
 そういうことがしてみたいなと思った方は是非私たちと一緒に働いてみましょう!

写真左から3番目:吉原


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?