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安藤むるめ
2020年1月29日 19:51
■風景[読]ふうけい風の景[例文]広島の祖父の家からは、鉄工所の高い煙突が見える。「はだしのゲン」を読みながら、その煙突をよく見ていた。もし原爆が落ちてくるなら、あの煙突を目がけて落ちてくるかもしれないと。戦争と原爆と孤児の想像の景に震えながら、ぼんやり見ていた。夢の中で落ちてきた原子爆弾は、鉄工所の煙突より上の方で爆発した。重たい煙のような光がスローモーションでこっ
2020年1月17日 12:18
■王墓[読]おうぼ王の墓への侵入[例文]そこに並べられた車は、青いのも白いのも大きいのも小さいのも、どれも同じ方角を向いていて、ひざまづいているようにみえた。ムスクで礼拝をする人達みたいに。流線形のフォルムの美しい旧いシトロエンもその他大勢と同じように孤独のヘリに沿ってぽつねんとしていた。外国の猟犬より黒く艶のある真新しいクラウンのバックミラーには、アニメのキャラクターのキーホ