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「日常をとりもどす旅」がたどり着いた場所①

こんにちは、株式会社MUJIHOUSEの小林です。
私たちはこれまで、「住まいのかたち」という自分たちのメディアを通して「住まい」や「暮らし」についての情報や考えを発信してきました。
日頃、私はその「中の人」として仕事をしているのですが、この場では「無印良品の家」としてではなく、「私」自身のフィルターを通して、無印良品の家で行っているさまざまなプロジェクトについてお伝えしたいと思っています。

ここで書くことは建築の専門的な話でもなく、家づくりに役立つ情報でもありませんが、読者である「あなた」と「無印良品の家」のお近づきのきっかけになれば、と願っています。
 
早速ですが、今年の4月に「無印良品の家と、日常をとりもどす旅」プレゼント企画として、旅の参加者を募集しました。
今回はこの企画の経緯や、実際の旅の様子まで、数回にわけてお届けしていこうと思います。

当時の募集ページ ※既に募集は終了しています

「無印良品の家と、日常をとりもどす旅」とは。

遡ること、2020年4月。
新型コロナウィルスのまん延により国内で初めて「緊急事態宣言」がだされ、私たちの日常は一変しました。
これまでの当然が当然ではなくなり、かつての日常は失われてしまいました。

そこから2年半が経ちました。
私たちは戸惑いながらも、さまざまな工夫を重ね、折り合いをつけながら、なんとか新たな日常に適応してきました。
「ウィズコロナ」や「新しい生活様式」というような新しい言葉が出てきてからずいぶんたちます。いつのまにか「仕方ない」という言葉が口癖のようになり、今では、この日常が今後も続いていくのだろうという、少しだけ諦めにも似た覚悟のようなものがついてきました。
(もちろん現在進行形で感染症と戦っている方もたくさんいらっしゃいますので、現状を肯定しているわけでは決してありません。)
 
それでも、思い返すと2年半の間で失われてしまったことはたくさんあります。楽しみにしていた旅行や結婚式、家族や友人とのイベント、そこでつくるはずだったたくさんの思い出。
「仕方ない」と、それらを取り戻すことを諦めないでほしい。
そんな想いから、私たちは「失われた日常をとりもどす旅」をプレゼントすることに決めました。
 
旅の行き先は北海道上士幌町。滞在先は無印良品の「窓の家」をベースに作られた宿泊施設「にっぽうの家 上士幌」です。

【公式サイト】にっぽうの家 上士幌

ところで上士幌町ってみなさんご存知でしょうか?

帯広空港から車で北に約1時間程進んだ先にある上士幌町は、自然豊かな土地に日本最大の公共牧場「ナイタイ高原牧場」を有しています。なんと人口よりも牛の数の方が多いとか。
町全体で多くの乳牛を飼っており、牛の糞尿をバイオガス発電でエネルギーに変えているそうです。

SDGs未来都市や脱炭素先行地域に選ばれており、実証実験などの先進的な取り組みの舞台になることも多く、新しい「働く」を実践する方が多く訪れる町です。
大自然と私たちの営みが融合した、そんな町に、「無印良品の家」が設計した、「にっぽうの家」が出来上がりました。施設プロデュース・運営は「スパイスボックス」が行い、文筆家の松浦弥太郎さんと共に名称・コンセプトを考えました。

コンセプトは「忘れたくない今日を報告する、町の発信基地にして、家のような宿泊施設」。

にっぽうの家について、もっと詳しくは知りたい方はこちらを読んでください。

応募総数はなんと642件。

とくに事前告知などは行わず募集を開始しましたが、開始直後からたくさんの方にご参加いただき、応募総数はなんと642件。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございます。
 
応募フォームの中で、「応募理由(この旅で実現したいこと)」を記載いただき、ひとつひとつ読ませていただきました。
どれもこれも共感できるものばかり、さらに皆さま文才もあって、なかなか冷静に読むのが難しいほど。この中から1組だけを選ぶなんて、仕事とはいえとても辛かったです。

今回は残念ながら実現できませんでしたが、この場をお借りしていくつかご紹介させていただきます。
(個人が特定されないよう抜粋のうえ一部加筆修正させていただきました)

コロナ禍の中、切望していた娘が産まれました(現在七ヶ月です) 本当なら家族を連れて色々なところへ旅行へ出掛けたかったのですが、産まれたばかりの我が子に感染させてはいけないとずっと自粛をしておりましたが、ずっと付きっきりで娘のお世話をしてくれた妻への労いと、娘に本当は世界は広いんだと感じて欲しくて応募しました。

小学校から仲良くしている友達と久しぶりに一緒に過ごしたい。高校や大学が離れてもなんだかんだ毎日メールをしたり、会って取り留めのない話をしていた友達がいます。 社会人になり、私が地元を離れても今までのように頻繁には会わないものの、お互いの近況など、取り留めのない話をしていました。 コロナ禍になり、友達は病院の中の施設で働いているのもあり、遊びに誘うのも躊躇ってしまい、連絡頻度もかなり落ちてしまいました。 なんとなくこのまま縁が切れてしまうのかな?と寂しさも感じていたので、感染者数が落ち着いたタイミングで旅行を企画したりしましたが、実行のタイミングでまた緊急事態宣言… コロナで友達と頻繁に会えなくなった時間を過ごして、お互いの話をゆっくりしたいです。

9才(小学3年生)の息子がいます。夏休みや冬休みに友達と遊びに行きたいと思っても、その時期にコロナが流行ったり、また我が家は医療職の家族がいるため、息子一人だけ遊びに参加させるのを見送ったりすることもありました。 ありがたいことに、それを理解してくれているお友達なのですが、この間、久々に学校に行って思ったことがあります。子どもの成長があっというまだということ。親にとってはたかが3年だけど、子どもは1年生の時とは比べ物にならないくらい成長していました。 この3年は無駄だとは思わないけれど、色々な機会は確実に奪われて、こんなもんだと思って日々生きていく。それはあんまりにもかわいそうじゃないか、と思います。 コロナも落ち着きつつある今、旅行もつれて行きたいし、旅先の空気の匂いを感じてもらえたら、しかも大好きなお友達も連れて!と夢が膨らみ、今回応募いたしました。

コロナ禍中になくした優しい心や思いやりと元気な気持ちを取り戻したい! コロナ前は、いつも人を気にかけたい、思いやりとあたたかさで人と関わりたいという思いでいっぱいで、仕事も希望とやる気でみなぎっていました。 でもコロナ禍中を東京で過ごす中で、街の淀んだ雰囲気や悲しいニュース、ピリピリした空気の中で心ない数々の場面に出会って疲れてしまいすっかり思いやりも優しさもなくしてしまった気がします。 コロナで何年も会えていない幼なじみと自然の中で過ごして、リセットしてコロナ禍前のあたたかい自分を取り戻したいです。

一つ一つ、想像しながら読むと胸がきゅっとなります。
次回は、当選者を選び、旅を計画する様子について書いていきたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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