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わたしは膝を抱えて座っていた。カーテンを引き、テレビもラジオもない、がらんとした部屋で…
友人の桑田孝夫とは、旅先の沖縄でいったん別れる。それぞれ、船で行きたい島へと渡ることに…
黄色い電車の上りに乗らなくてはならなかった。 「ホームは反対側か。ちょっと、遠いなぁ」…
えっちら、おっちら山を登っていくと、林の向こうにレンガ色をした大きな建物が見えてきた。…
「こんなものしかないけど」カップ入りケーキとサイダーを持って、部屋に戻る。桑田はクッショ…
防衛省が秘密裏に「水・爆弾」を開発した。炸裂すると、周囲数百キロ四方が湿度100%になっ…
昼のうち降った雨がまだ引かず、町中、どこもかしこも水浸しだ。歩道ですら、人のくるぶしまで溢れている。 おろしたてのレイン・ブーツを履いて、わたしは近くの公園まで行ってみた。 深夜の公園は人気もなく、ときおり吹く風に煽られ、枝葉のこすれる音だけが聞こえてくる。 碁盤の目のように作られた遊歩道を、ただひたすらに歩いた。ざぶざぶと水をかき分けて進むのは心地よい。真っ黒な水が、水銀燈の光を受けてぬらぬらと揺らめく。 屈んで、手を水に浸してみた。冷たくて、とても気持ちがい
新宿で乗り換えようとすると、どういうわけだか必ず迷子になる。埼京線乗り場を探し求め、さ…
公園の木陰でソフトクリームを食べていると、ツーッと大きなクモが降りてきた。 「ふふっ、…
兄も兄だ。何も、自分が飲むお金で買ってやることもないのに。第一、そのコーヒーを本当に飲…
南極で世界最小の楽譜が発見された。サンプリングした氷分析していたところ、米粒大の印刷物…
友達の志茂田ともるは、ああ見えてけっこうミーハーだ。 「どうか、お願いしますよ、むぅに…
日本道路公団とNASAが共同事業を始める、という大ニュースが世界中を駆け巡った。 道…
ここは荒野。閑散とした町の、とある小さな酒場だ。友人の桑田孝夫と並んで、止まり木に足を載せている。 「スコッチ」桑田がオーダーする。マスターは黙ってグラスに酒を注ぎ、カウンターにたんっと置いた。 「えーと、何にしようかな」メニューはないかと、わたしは店の中を見回す。そんな気の利いたものなどなかった。 カウンターの上を、ツーッとグラスが滑ってくる。 「こいつを飲んでみな、うまいぞ」離れた席に座っていた男からの奢りだ。「ワイルドターキーだ」 「ありがとう」わたしは礼を言って