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【初心者向け】現代川柳の句集まとめ

最終更新日:2024/01/03(初出:2023/06/09)

下記を追加しました。
・『髷を切る』
・『甘藍の芽』
・『宇宙人のためのせんりゅう入門』



はじめに

【初心者向け】現代川柳の情報まとめ」というページを作ったものの、句集についてまとめられていなかったので、別途、句集のまとめページを作ってみました。

※まだ「【初心者向け】現代川柳の情報まとめ」を読まれていない方は、先にそちらを読んでいただいた方が全体像をつかめるかもしれません。


1.アンソロジー

様々な川柳に触れられるアンソロジーは、入門にピッタリだと思います(私もここから入りました)。

・『はじめまして現代川柳』小池正博 編著(書肆侃侃房)

私の場合は、まずはここからでした。川柳作家ごとに解説があるのと、現代川柳の歴史が概説されているのが、自分には入りやすかったです。

・『金曜日の川柳』樋口由紀子 編著(左右社)

こちらは333句収録で、その一句ずつに解説が書かれており、川柳を「読む」ためのガイドとして、とても参考になります。

・『近・現代川柳アンソロジー』桒原道夫、堺利彦 編(新葉館出版)

年代順に川柳作家と代表句を掲載。前2冊に比べると、ちょっとお高いですが、様々なタイプの川柳に触れられる、持っていて損はない力作です。

・『さみしい夜の句会 月波与生編 短詩集』月波与生 編(満天の星)

twitter上で開催されている「さみしい夜の句会」に参加されている方々のアンソロジー。第Ⅰ集、第Ⅱ集と2冊出ていますが、第Ⅱ集には私も参加しています(微笑)

・『川柳EXPO:投稿連作川柳アンソロジー』まつりぺきん 編

51名1,020句の川柳連作・群作が掲載されたアンソロジー。
キャリア、柳観、活動の異なる川柳作家が集まった貴重な作品集なので、「世の中には様々な川柳がある」ということを体感できます。
…とか言いながら、編著者は私です。手前味噌でスミマセン(笑)


2.入門書

句集ではないのですが、様々な川柳に触れてみて、さぁ、次はどうしようという時に、入門書を読んでみるのも手です。入門書も硬軟様々、最初に一冊として、親しみやすい入門書を紹介しておきます。

・『宇宙人のためのせんりゅう入門』暮田真名(左右社)


3.個人句集

商業出版されているもので、比較的、今でも新品で手に入りやすそうなものを中心にご紹介(50音順、敬称略)。大型書店の川柳コーナーに置いてあったりするので、実際に手にとってみると、「あぁ、こんなカンジなんだ」とわかりやすいかもしれませんね。
川柳作家名や句集名で検索すると、書評などの情報が出てくると思うので、そういうものを参考にお好みのものを選ばれると良いかと思います。

・『成長痛の月』飯島章友(素粒社)

・『反対側の窓』小原由佳(青磁社)

・『リバーワールド』川合大祐(書肆侃侃房)

・『ふりょの星』暮田真名(左右社)

・『海亀のテント』小池正博(書肆侃侃房)

・『菫橋』竹井紫乙(港の人)

・『川柳集 カメレオン』徳道かづみ(港の人)

・『くちびるにウエハース』なかはられいこ(左右社)

・『Ladies and』平岡直子(左右社)

・『そら耳のつづきを』湊圭伍(書肆侃侃房)

・『hibi』八上桐子(港の人)

・『バームクーヘンでわたしは眠った』柳本々々 著、 安福望 イラスト(春陽堂書店)

・『降ってきたリンゴ』雪上牡丹餅(TEMMA BOOKS)

・『ペルソナの塔』西田雅子(あざみエージェント)

・『序章あるいは序説もしくは序論』成瀬悠(TEMMA BOOKS)

・『髷を切る』芳賀博子(青磁社)

・『甘藍の芽』城水めぐみ(港の人)



4.シリーズ

テーマを持って川柳作家をフィーチャーしたシリーズものの句集があります。バラで新品・中古で手に入る場合があります。

・セレクション柳人(邑書林

全20巻および番外1巻、別冊1巻があり、それぞれ、句だけでなく、散文や略歴等が収録されています。
句集ではないですが、川柳論ばかり集めた『別冊 セレクション柳論』は読み応えがあります。
※ついでにシリーズではないのですが、柳論には、『蕩尽の文芸』小池正博 著(まろうど社)などもあります。

・川柳作家ベストコレクション 先人コレクション(新葉館出版

『時実新子の川柳と慟哭』『石部明の川柳と挑発』など、故人となった川柳作家のベストアルバムのような作品集。
※なお、新葉館出版には他にも「川柳作家ベストコレクション200」「令和川柳選書」などのシリーズもあります。

この他にも『東奥文芸叢書 川柳』『川柳カード叢書』『かもめ舎川柳新書』などのシリーズがあり、こちらについては、川柳作家の成瀬悠さんがnoteにリストをまとめられています。


5.その他(一風変わった句集、句集ではないものの川柳関連のもの、同人誌、ネプリなど)

・「いちご摘み」を利用した句集

短詩には、前の方の作品から一語を引き継いで作品を繋げていく「いちご摘み(一語摘み)」という遊びがあり、それを利用した川柳句集『いちご畑とペニー・レイン』月波与生・真島久美子著(満天の星)があります。

・ポケットアンソロジーの句集

田畑書店からポケットアンソロジーという、自分で好きな短編集を編める製品が発売されており、そのシリーズから「みずうみ」をテーマに、5人の川柳作家が書き下ろした連作のオリジナル川柳アンソロジー『梅田 蔦屋書店コンシェルジュ監修・川柳アンソロジー みずうみ』(田畑書店、梅田蔦屋書店のオリジナル商品)が出ています。

・作家を知る読み物

柳論や作家論とは異なる切り口では、交換日記という形で、川柳作家をより深く知ることが出来る読み物『トイレの後は電気を消して』川合大祐・千春 著(満天の星)などもあります。

・私家版句集、コラボ誌など

紙の本や、本の形になっていない印刷物も含め、様々な方法で川柳が発表されています。こういう物理的な形で発表されている川柳を最も入手しやすいのが「文学フリマ(文学作品展示即売会)」です。年に数回、様々なところで開催されています。他ジャンル(短歌、俳句など)の作家とコラボした同人誌などもあります。

これらは、詩歌に強い書店や詩歌専門の書店(葉ね文庫など)で取り扱っている場合もあります。また、創作物のマーケットサイト(BOOTHなど)で通販している場合もあります。

・ネプリ

コンビニの複合コピー機を利用して配信されるネプリというものがあり、それを利用した川柳の発表方法もあります。SNSなどで公開されているプリント用の番号を、コンビニの複合コピー機に入力し、自分で印刷します。最近では、写真プリントを利用して川柳を発表するL版ネプリというものもあります。

セブンイレブンの「ネットプリント」と、ファミリーマート・ローソン・ポプラグループの「ネットワークプリント」の2種類があり、機械の違いで若干操作が異なりますが、概ね同じような方法で出力することができます。

・柳誌

個人が運営されている川柳誌、様々な川柳結社・グループなどが出している結社誌や句会の発表誌など、いわゆる「柳誌」というものは、数え切れないくらい存在します(私も詳しくわかりません)。これがなかなか手に入りにくいのですが、twitterやwebの句会の賞品になっていたり、川柳作家の方からいただけたりして、入手出来る場合があります。

HPがあったり、webで情報公開されているような場合は、見本誌を入手できる場合もあるので、いろいろ検索して探してみて下さい。また、SNSなどで質問すると、詳しい方が教えてくれる場合もありますよ。


本当は、もっと紹介したい句集も沢山あるのですが、入手が難しいものも多々ありますし、昔のもので、名前は知っているけど実物を見たことがない句集など山ほどあります。

発行部数が少なく、中古で値が高騰していたりして、なかなか入手が難しいのですが、川柳作家の方々との交流の中で、貴重な句集を見せていただけたり、貸していただけたり、ときにはいただける(!)こともあったりします。

川柳人口が増えてくれば、もっと句集も増えていくと思うので、今後、そうなってくるといいですね。

※間違いなどのご指摘がございましたら、お手数ですがご一報いただけると幸いです。


まつりぺきん

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