川合大祐

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川合大祐

川柳書いています。句集『スロー・リバー』、『リバー・ワールド』。インスタ→https://www.instagram.com/kawai.daisuke02 ブログ→https://32mon.blogspot.com ご依頼は 16mon.k.dai@gmail.com まで。

マガジン

  • 週刊web川柳  別冊・非情城市

    川柳を作っています。 「世界からサランラップが剥がせない」 などなど。奇妙な世界を基本、週一回お届けします。句集『スロー・リバー』、『リバー・ワールド』の人間です。

  • 週刊web川柳  非情城市 vol.00.7

    2021年11月28日から12月4日までの川柳まとめです。書けなかった日も多いけど、そういうこともあるということで。迷路です。

  • 週刊web川柳  非情城市 vol.00.6

    先週の川柳まとめ! 精神状態がズンドコでそれを反映した出来になってます。そういうのもまた面白いと思いますよ。笑ってやってください。

  • 週刊web川柳  非情城市 vol.00.5

    先週の日曜日から土曜日まで。「こいつ、懲りねえなあ」と思っていただければ幸いです。川柳です。

  • 週刊web川柳  非情城市vol.00.4

    日曜更新。一週間の川柳です。今回は全6連作。「変」を味わいたい方、どうぞ。

最近の記事

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天使というテロス—現代川柳=メディア論

 およそ川柳とはメディアであり、すなわち媒介することである。メディアというものが、「ある現実」から「べつの現実」への橋渡しであるならば、川柳とはどこからどこへ媒介しようとしているのか、という問いがまず立つ。  ここでは同語反復めくが、「ある現実」を「川柳の原素」としよう。それを575に置き換える、すなわち川柳=句という「べつの現実」として変換するのが「川柳をつくる」ということのメカニズムになる。  このあたりの、「では、媒介されることにいかなる意義があるのか」ということを詳し

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    • 天球儀割り(必殺)  川柳66句

      バロウズの記憶つながる国分寺 サイエンス・フィクションくじらほぐしの日 マルクスにそそぎつづける宇宙線 脳病んで三島に貼っておくねずみ 大熊と小鹿が浄化しあうひる 無季俳句タツノコプロに人つぶれ フィリップ・ディックの餅の塔のあと ラコステに相撲とられるアンケート ピータンにただ泣き臥している螺子屋 かるわざの島のドクター中松記 核兵器職人と喰うにらたまご デリケート・ゾーンの記紀がめくられる 妻の名をいっしょにさがすタンザニア げそ盗られリングワー

      • あの夏の。(投影)  川柳200句

        送り盆。千春さんとふたり、向かいあって(うつむきあって)ひたすら川柳を書いていた。今日書けたのは163句。盆入りに書いていた分とまとめて210句になったが、量はあんまり重要ではない。という「重要ではない」ことがじぶんにとってはたいせつだったりする。前口上も大概にしておきたいが、自分にとってたのしい時間だった。たのしい時間は、いつもかなしい。尚、どうしてもひどい出来だったものは削って、合計200句放流する。 追記 2024年8月18日(日)21:00〜、Twitter(Xとか

        • 第一回『こころ』句会

          「ねー、ねー、大祐くん、わたし『こころ』っていう句集出したんだよ」 「説明セリフありがとう千春さん。で?」 「なんかやりたい。句会とか」 「じゃあ、蔭一郎さん呼んで、zoomで句会やってみるか。もしもし、一郎さんそんなわけでいかがっすか?」 「あ、いいですでねえ。やりましょう」 「どうしましょう。会話はzoomでできるとして、投句は……Googleフォーム使ってみますか」 「それ、いいと思います」 「わたし、機械のことわかんないから、大祐くんやって」 「わあった、わあってるか

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        • 週刊web川柳  非情城市 vol.00.3
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        記事

          パブロフの象(痛覚)  川柳49句

          野に糞のありひたすらにありにけり 映話機をなおしつづける秋旱 マタマタに手ざわるまんまこの社会 炭焼のチームが磨く球の墓 蚊帳つらず負の方向に這いずりぬ 越後屋ののったりと積む全詩集 神をみたあたりのアガサ・クリスティー 父王が昂じ遠心力だった 羽場さんとたたかうひとへテレパシー 銭形の庭さんさんと象死ねり 象の墓めざして盆の乱歩する 尊氏が音階をもてかたること 祖母死んでジョージ・オーウェル展をでる 餅の木があの世この世にあらわれて りら荘にフー

          パブロフの象(痛覚)  川柳49句

          河馬までの  [掌編小説]

             一人、河馬の前に立つ。  雨があがったようだった。カーテンの向こうで正午のひかりがあかるくなる。クーラーから蒸された温気が排出されはじめたと感じた。  裸のまま、プリントアウトされた原稿の山の上に置かれたスマートフォンを手に取る。ずっとバイブレーションしていた気がするが、「兄」からの留守番電話は五件しか入っていなかった。 〈実篤、か?〉録音の奥に、しばしの無言。実篤は初めて自分がサネアツという名前を与えられたと瞬間信じた。いや、実篤にまちがいないな、と兄は声を絞り出

          河馬までの  [掌編小説]

          麗しく(原子心母の瑕)  川柳80句

          うるわしくデヴィッド・リンチ北枕 奥村という説得を思いつく 一芸をとどめてメトロポリスの日 李賀の詩をベルリンという蓋に書く 藤村と言いあらわせぬことを言う ことば派は逆襲したかテレヴィデオ 一階に神をむかえるシチュー皿 一政が多重言語で立っている 流星雨間下このみのふとりつつ レナードに前夜あるべしマグロ漁 サボテンをなんど落として過疎の街 めいさくの死なない章魚のころしかた 鬱屈の詩人とかえておくペンキ 色界にネオテニーする盆踊り 番茶なき眼球

          麗しく(原子心母の瑕)  川柳80句

          愛の時代(フラジャイル)  川柳112句

          Left:意味ながら  五十六句 図と地から編年体の悪あがき 拳銃の町にねそべる山田くん 肝吸いの言うべきことがよくわかる 拘置所に和歌山県の梁ばかり 朝夕焼ただの短詩をよむユング そしられて耳かきを折る蕪村論 海溝ににどと読まないドラえもん 大車輪畑正憲の大びんた この世へとへその緒にぎるセレブたち 冷暗の県歌ばかりのもろきゅうり 中央に鹿の料理がわきあがる 都市大にビシソワーズをもってして 霧島の部屋にどうして章魚ばかり つねならず地雷少年鶏

          愛の時代(フラジャイル)  川柳112句

          バカボン百景(無双)  川柳101句

          Ⅰ.善の研究  三十四句 紫のバラの人ゆく夏の墓地 らくだ駆り純天皇のかよう寄席 根しょうがをみんな耐えぬく無音劇 現実に即すとケント・デリカット 炎昼や〈善の研究〉ばらまかれ 蛾に材をとって塚本火のごとし 碁の意味のどくろがふえる池袋 灸あつし意味と意味とをきりはなす Tシャツを売って語頭に烏賊がつく メンデルの憑きものおちる大酷暑 あれちうり展がるポップ・ミュージック 読んで字のごとく時停めバナナ僧 廃園のどこにもいないアナゴくん 鬼が死ぬエ

          バカボン百景(無双)  川柳101句

          憎悪の邦(前略オフクロ様)  川柳70句

          リカちゃんに踏みとどまった城の址 廃城ののちにスポンジかたきこと 眼の壁を塗りおえたまま猟犬社 恋びととチグリス河にうきしずむ 種本を螢工場あとへ埋め ででむしを盗られて死後の始皇帝 海馬体すいかのつるのものがたり 瞑想がときどき終わるニューヨーク 犬の名に催眠ポルノつけかえす 赤ずきん二号にわたす電信機 非重力胎児と胎児ゆびずもう 弦としてマクドナルドを買う稚児ら 斥力の漢詩が読めず長野県 夕立ちて異論のなかの少女隊 老人と海底都市の金魚鉢 承

          憎悪の邦(前略オフクロ様)  川柳70句

          いわしディスコ(疑惑)  川柳55句

          ノンタンのいわしディスコが鎖される 方墳にうつくしくないひとがいる 監督の名まえに弁をいれておく 良心の呵責でできているタオル 鳥葬に平安京のエイリアン 凍り屋にきちがいがあつまってきた 滅びあうつげとファミリーレストラン ジャンピング・シューズの蒸れている埴谷 発句集聖なるズーを組みいれて 風立ちぬトマト銀行へのさらば 卒塔婆しか書かれなかった右脳戦 脱力の小笠原家に零時きて 火時計をかこんでアンチ・オイディプス エッシャーの誰も死なない日がおわる

          いわしディスコ(疑惑)  川柳55句

          ジロリの女(酷暑)  川柳80句

          焼鳥とこの世を訳す異人館 大銀河未読の猿のおもうまま トム・ソーヤうつつにあらずかき氷 或るパンチカード村崎百郎忌 ぼうふらの暗示を掛けるグリフィス忌 遍在と無モンゴメリー・クリフト忌 借景の富嶽にトーア・カマタの忌 ぶらぶらとしていた滝をつかまえる 炎昼に「ごとく」をこばむヒゲダンス 妻さがす昭和電機の陽に灼けて 複製の星のビーナスライン地図 超季語のペニー・レインをあびる亀 大喜利がおわってしまう貸しボート 象徴の交換をするゾンビ村 ドアーズが

          ジロリの女(酷暑)  川柳80句

          あンたの脳(震源)  川柳70句

          都市論にてふてふまじる老婆塚 構文のうらにしじみがありやせぬ 赤まんま賭場がしめられジュヴナイル 孤島にてドリルまわっているドラマ 生命の樹のはえかたという悪意 御殿場に酸辣湯をかきつかれ 黒後家に論理的解決がない 朝陽さす被子植物の映画館 市外からト音記号におそわれる 連隊のチャリがあンたの脳のなか 理由なく関脇をまつ砂防ダム 鯨座に自己言及のくじらたち にんげんのにくしみ果てずピンボール にくしみか卵がさきか茂丸忌 夢久の父にコップの水ゆれる

          あンたの脳(震源)  川柳70句

          ホワイト・マジック(ざわざわ森)  川柳80句

          玉葱がえくりちゅうるのなか腐る 国としてドレミファドンをとめる梅雨 海の日があけてがちんこ茶器もらう 大喜利の王に圧縮世界像 雨季に死す大聖堂のしなちく屋 ニコちゃんの象鼻ながき神憑り 主体なくまんがまつりに釣る怪魚 足刀を手塚治虫がうけながす 犬がふえうどん一本ずつ減りぬ 晴明の象をここまでみ誤る 天国の日々にナゲットはかりつつ いわしからこころに向かう筒グラフ にんげんをみたい鼓を張りかえる シチュールーみたりきいたり死んでたり 英雄のしどけし

          ホワイト・マジック(ざわざわ森)  川柳80句

          酢(ライヘンバッハ症候群)  川柳70句

          ポラロイドカメラをひたす乳の海 哺乳瓶がらみ迷宮事件帳 スティーヴの死後さばかれるわらびもち しあわせの街の擬似餌が消えてゆく 心理学用語はりつくたなごころ 誤診してチーズそのもの地にふりぬ マグネット刑事殉職する鍛冶屋 ポッキーであるかないかをめぐる棋譜 げそ天をサーチエンジン外にみた 三田線とよばれたはずの土佐源氏 土俵からマグネシウムがへってゆく 加害者のだれかのためのシーボルト 食通の千年筆のためしがき 外は雨ひげ根かぞえる母に母 ハタ坊に

          酢(ライヘンバッハ症候群)  川柳70句

          密度(デンジャー・ゾーン)  川柳108句

          投手戦いまも剥がれるわらじむし 弱肉の雨乞いをするはんぺん屋 贋ちくわ地球自体がねむりおり 狩野派が原始心母にふれて夏 うじ虫が超老人をみずむほん 焼肉の島をはなれる阿呆船 佐賀県にとなえるアフロアメリカン 卓球に枯れるハイジがうつくしい 遺伝する酒匂さんちのつまようじ 逃げ水にくるしむ画家のブドウ糖 それぞれのひとの宇宙に火蛾おちる ゲタ文字におおいつくされ頭痛の日 ひときわに時間改変室が建つ 作家性モンゴロイドの意識とぶ 天の河たったひとつの薬

          密度(デンジャー・ゾーン)  川柳108句