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パブロフの象(痛覚)  川柳49句

野に糞のありひたすらにありにけり

映話機をなおしつづける秋旱

マタマタに手ざわるまんまこの社会

炭焼のチームが磨く球の墓

蚊帳つらず負の方向に這いずりぬ

越後屋ののったりと積む全詩集

神をみたあたりのアガサ・クリスティー

父王が昂じ遠心力だった

羽場さんとたたかうひとへテレパシー

銭形の庭さんさんと象死ねり

象の墓めざして盆の乱歩する

尊氏が音階をもてかたること

祖母死んでジョージ・オーウェル展をでる

餅の木があの世この世にあらわれて

りら荘にフードファイターあつめ秋

さすまたを北京の秋ににぎりつつ

巻頭に梅をほしがる加藤鷹

焼鳥が焼ける志村のパラドクス

議案からフードコートを差しひけば

落人がロッキー羽田の姿勢して

金丸のきもちよくなる村役場

いちど死ぬ身にあさっての目玉焼

終わる夏ハッスルハウス鎖されて

アカシック・レコード廻る菊の店

つみのこす病院船の月球儀

風の谷晴れてキッチンドリンカー

豆腐屋が竹脇無我をきざむなか

保守層にとりこむタイムトラベラー

宇野を聴く八丈島の心理学

だん吉を異星人屋に模倣する

河の或る意味に河上徹太郎

漢文にチキンラーメン未完なる

ピータンをあやつるひとと墓まいり

沼底の底に天才てれびくん

スポイトが動かなかったおとのさま

のり平を含めフィラデルフィア消える

がきデカをつかう拷問夕陽さす

勾玉をかぞえる夕陽新聞社

首いため韮と古墳のあるくらし

圧巻のククレカレーの隠語かな

獣神を厩舎にかえすケロッグ社

マルちゃんの這いつくばりしルチャ・リブレ

五十音キャンプに膝の皿割れる

Tシャツがはりついてくる茗荷感

裏兄が社会派推理小説家

濁点をみいだすまでのケインズ派

犬小舎に捧げたはずのはんだごて

めりけんにわたるうしろの百太郎

山の日のニイタカヤマに摺るとろろ


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