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憎悪の邦(前略オフクロ様)  川柳70句

リカちゃんに踏みとどまった城の址

廃城ののちにスポンジかたきこと

眼の壁を塗りおえたまま猟犬社

恋びととチグリス河にうきしずむ

種本を螢工場あとへ埋め

ででむしを盗られて死後の始皇帝

海馬体すいかのつるのものがたり

瞑想がときどき終わるニューヨーク

犬の名に催眠ポルノつけかえす

赤ずきん二号にわたす電信機

非重力胎児と胎児ゆびずもう

弦としてマクドナルドを買う稚児ら

斥力の漢詩が読めず長野県

夕立ちて異論のなかの少女隊

老人と海底都市の金魚鉢

承認をティンカーベルととも欲す

死にいたる病と碁気の三角比

被愛する内閣総理大臣忌

米借りにゆくとき鷺の第一羽

黒鳥のもらしつづける近未来

マイ国家仮想敵国つくりおき

マタマタの美をかたりあう自民党

与党からサンバ賜る或る溽暑

ひとびとがモーターショーに憎みあう

ぽんかんに詩人のバネをにくむとき

にくしみの北区銘菓を買いすてる

チャネラーが換わるまえから黒い蜘蛛

立ち喰いのわかめ喰わざる蜘蛛男

ちちははをにくんで夏の福笑い

切羽こそウラシマ効果だった夏

みんな氏ねこの世のわれに鼻づまり

部長からいなくなりゆく焼身部

アリバイをくみたてている反戦歌

密室に手淫放題厭戦歌

開戦に市原悦子像をこね

列島によくわからない句をよんだ

大熱波景山民夫名のりつつ

コマーシャル中島らもの頭蓋骨

住友のホルスタインをつれて出る

詩でもなく週刊ボンベ読みふける

君が代にノスタル爺として夢精

妻を抱く国歌国歌とひびくなか

バカセらが国歌地獄におとす蟻

雌象と悪をつくっている工場

どん兵衛を妄想中の塩の道

パリ焼けて風呂場に山田風太郎

たのきゅうをアシッドジャズにおぼえ書く

花に名をつけてばかりの堕落打者

ねりちゃぎが犀工場を出ても犀

大槻に求ム漢詩ト神がかり

黄金のへやにたくさん杉田水脈

晋三がネットタッチを描く劇画

ごきぶりを斬ってニホンハツヨイ國

裏垢のやまとの国が消えてゆく

君が代にファッキンショップ閉店す

愛國のネオ川柳をうそぶかれ

にわとりの博覧会に首を斬る

いっせいにこの世を憎め馬場信者

買っておく黒いプリンにうつつの世

幕張の女王蜂を言いよどむ

頸椎の千のグリコを書きなやむ

特撮の村に胎児がおちてきた

野にはなつベアナックルの室長ら

窒素なきものおそるべき天神社

たくあんや弥勒戦争おわらざる

横綱へサイコキネシス連句衆

季語のごと出木杉くんの発句して

まんじゅうをネットミームのまま憎む

兄として戦争論を借りて読む

社会学かがやくロング・グッドバイ


#川柳 #現代川柳
#詩歌 #文芸 #創作 #君が代 #弥勒戦争

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