カズオ・イシグロの世界④愛のかなしさ。
カズオ・イシグロは『わたしたちが孤児だったころ』の後、2005年に『わたしを離さないで』、2009年に短編集『夜想曲集』、2015年に『忘れられた巨人』と長編小説は五年から十年の期間をかけて書き上げて発表している。
『わたしを離さないで』は過去のある時代(1950年代から1970年代とされている)に、クローン人間が臓器提供のために作られ、社会から隔離されて共同生活をおくり、ある年齢になると臓器提供のために施設に移され、命がある間、何度か臓器提供をして死んでいくという現実味の