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MSW 人に教える資格無し!後輩育成の後悔

医療ソーシャルワーカーを15年以上やっていると、
後輩が何人かできるわけですが、苦い思い出ばかり。
今回は、わたしが、後輩育成においてどんなことに後悔しているのかを、
赤裸々にお話しします。


そもそもが、教えるというレベルに達していなかった。

MSWが後輩を育成する時に、
「自分の背中を見て学べ」スタイルが多いのではと思います。
一般的にいうOJTですね。
MSWは、相談援助、多職種連携を主とする仕事です。
それを「見て学べ」では教えきれません。

20代半ばで受け持った後輩に、
「なんでわからないんだろう」
「この間、同じようなケースを見ていたのになんでできないのか?」といった
フラストレーションがたまる一方でした。

限られた人間関係の職場なので、こちらのネガティブなオーラは、
すぐに、伝わってしまいます。
後輩は、色々と試行錯誤して、頑張ってくれましたが、
私は、そこで自分の至らなさに気が付かず、
全体ミーティングや上司に対して、その後輩の不満を言ってしまいました。

人として最低だなと思います。
人が成長するかどうかは、教える側の態度や技術にも関わっていると、
今は思えますが、当時は、若い小娘であった私は
気づくはずもなく。
初めての後輩育成は、大失敗に終わりました。

スーパービジョンという研修を受けてから


スーパービジョンの研修を受けたのが7−8年目のこと。

NASW and ASWB(2013)は多くの定義が あることを指摘した上で、「専門的なスーパービジョンとは,能力, 態度,倫理的実践の発展に対する責任と説明 責任が行われるスーパーバイザーとスーパー バイジーの関係と定義される。スーパーバイ ザーは,実践の場においてソーシャルワーク の理論,標準化された知識,技術,能力,お よび適用可能な倫理的内容を応用するスーパ ーバイジーに対して指示を与える責任がある (著者訳)」

畑 亮 輔「スーパービジョンの目的と 3機能の関係性に関する仮説モデルの検討」より

MSWが成長する上で、必要不可欠なスーパービジョン体制。
私の所属している組織は、スーパービジョンの「ス」の字もなく、行き当たりばったりの指導を行っていました。
ひどいですね。入職してきた方々全員に謝りたい。

スーパービジョンについて学ばなければ!と、
無我夢中で研修を受けました。

受けた後は、とても落ち込みました。
自分の指導体制・方法がいかに暴力的であったか思い知らされました。

「MSWになりたい」と思って入職してくれた後輩には、
のびのびと育ってほしいと思い、ここから、私自身が、
「教育体制」「教育プログラム」にのめり込んでいくきっかけとなりました。

順調に行っていたと思ったのに、「うつ状態にて休職」

スーパービジョンの体制も整え、
教育プログラムも試行錯誤して作り、
業務手順も出来始めた時に
真面目で素直な後輩の育成を受け持ちました。

1年目はとてもスムーズにいき、
2年目もこの調子でやっていけるだろうと、
思っていた矢先。
後輩のお休みが増え、
「うつ状態にて休職する」という事態となりました。

もう本当に、ショックしかありませんでした。
後輩が「うつ状態」になった理由は、
私とのスーパービジョンの中で交わされたやりとりや、
スーパービジョン中につけた記録等に残されていました。

休んでしまう少し前から、
後輩は「しんどい」のサインを出していたのです。
それに気が付かず、「出来ている」と褒め続け、
次々に「新たな目標」をたて、前に進むことばかりの指導をしてた私。

このことがきっかけで、
私は人を「育成する」というポジションにはつけない、
つきたくないと上司へ懇願し、
ひたすらケースワークに没頭することになりました。


社会福祉実習生から学んだこと

後輩の休職をきっかけに、「人を育成する」立場から退きましたが、
実習生の担当は、どうにも抜けることはできず、
受け持ちを続けることとなりました。

社会福祉実習生とは21日間と限られたものとなります。
21日間と時間が限られているからこそ、
できること、できないことがあります。

実習生は、直接ケースを担当することはできないので、
ソーシャルワーク実践の現場に同行・観察し、
MSWとの振り返りを通して、自己の考察を深めていきます。

が、そこが、そんなうまくいかないのが現実。
初めは、何を見ればいいのか、どう考察していけばいいのか、
わからないことが多く、
指導者側が、丁寧に教えていく必要があります。
ここで大切だなと思ったのが、
「わからない」「不安」「どうしよう」と言った気持ちを
学生側から引き出すこと。

引き出せるまで待つことが重要だと、
数名の学生を受け持ち強く感じました。

今になって思えば、後輩を追い詰めたのは、
「辛い、少し立ち止まりたい」と言った思いを汲み取る隙を与えなかった、
私にあったのだろうと、後悔しかありません。

教育についてもっと学びたい

失敗と後悔ばかりの育成ですが、
実習生との時間を通して、もっと教育について学びたいと
純粋に思うようになりました。
今年になってから、医療者教育関連のセミナーを受けたことで、
さらにその思いは強く。

大所帯のMSW職場に就職しなくても、
MSWが成長できる教育プログラムを開発したい。
MSWが、人に教えるときに、
スーパービジョン以外にどうすれば良いのか考えたい。
と思うようになりました。

今年は、この思いが一つでも叶えられるよう、
努力していきたいと思っています!

人材育成・後輩育成に悩んでいたら!

ぜひ、コメントにてお悩み・体験談を聞かせてください!
大変なこと、辛いことは、思い切って共有しましょう!


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