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ぼくのPoetry gallery

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かつて野に棲んだ詩鬼の残骸をここに記すという悪い趣味です。
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2023年2月の記事一覧

かつての詩138「手放した傘」

「手放した傘」

都会の喧騒では小波が聴こえないから
とあなたが今にも言いそうだったから
電車をいくつも伝って海を目指した

今年の夏は異常な暑さだと
メディアに連日取り上げられて
今度の台風は十数年に一度の規模だとか
ニュースで毎回取り上げられて
今どうしたいのか
今どうすべきなのか
繰り返す子守唄に
どうにもこうにも目も覚められず

辿り着いた海辺は閑散の秋
来年の夏はきっと涼しいだろうね

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かつての詩137「白い猫」

「白い猫」

塀の上で寝ていた白猫に
幸せの呼び寄せ方を訊いたんだ
おまえはどうして幸せを招き寄せられるんだ
なんなら俺も招きたいよ
猫は大きなあくびをして
小さな額を洗い出す

Masanao Kata©️ 2011
Anywhere Zero Publication©️ 2023

かつての詩136「黒い猫」

「黒い猫」

前を横切る黒猫に
幸せの在処を訊いたんだ
おまえは何処から運ぶんだ
なんなら俺が取りに行こう
猫は鳴かずに一瞥すると
音もなく去って行った

Masanao Kata©️ 2011
Anywhere Zero Publication©️ 2023