見出し画像

発達障害と切り離せない睡眠障害の話。

神経発達症、自閉症スペクトラム、ADHD、
発達障害と、睡眠障害は切り離せない。

アメリカの研究でも、インドの研究でも、小児のころからADHDやASDなど、発達障害のある人は、結果に差異はあれど、その6~8割が睡眠障害を持っていると言われている。

原因の一つとして、ある研究者は、ADHD 関連の睡眠問題は、メラトニン生成の開始が遅い概日リズムに起因すると考えている。

人よりも頭や体が動き出す時間が遅いということ。
これは、遅刻癖だったり、夕方ごろから調子が良くなってくるなど、体感で感じている人も多いかと思う。

むしろ、発達障害の傾向がある人間で、睡眠に何の問題もないような人には出会ったことがない。TD(定型発達)の人の睡眠障害の割合が25~40%という数字もあるので、先述した60~80%という数を鑑みると圧倒的に睡眠障害を抱える割合が高い。

かく言う私も、睡眠障害はあるのが平常運転。
夜自然に入眠できるというのは貴重。波もあるし、すごくランダムだ。

30をすぎて、大人になってからスイミング教室に通ったのだが、
水泳を定期的にしていたころは、体験したことのない深い眠りというのを経験して、衝撃を受けた。

「人間て、こんなに気持ちよく眠れるものなんだ」と感動したのだ。

子どものころ、物心ついたころから、母親には「神経質」と言われていたことを記憶している。家以外の場所では、まず眠れない。
林間学校、修学旅行、眠れたことは一度もなくて、クラスメイトが寝静まったあとも、一人で起きているのがいつものパターンだった。

悪夢は幼いころよく見た。発達障害傾向のある人が悪夢を見る割合が多いというのもよく聞く話だ。睡眠障害であると、必然的に脳が眠りにつくレム睡眠の時間が少なくなってしまう。生物はノンレム睡眠の時に夢を見るから、悪夢を見る=眠りが浅いといえる。

さて、大人になってからの睡眠のパターンも一定とは言えないが、近頃の場合について振り返るとどうか。
やはりもともとの創りがセロトニン不足ーメラトニンの活性も不十分、というだけあって、やはりエンジンがかかるのは日が落ちそうになってから。
太陽が沈むころに、元気になってくる。

そして、日中の何もできなかった時間を取り戻すかのように、一気に活動的になっていく。
「動けるうちに、やれることをすべてやってしまわなければ」のような焦りのような気持ちもあり、夕暮れ後の作業スピードは、水を得た魚というか、エンジンがようやくかかったガソリン車のよう。

作業が波に乗ってきた、と思うと、時計は夜中の0時をまわり、そこから集中が切れるまで作業すると2時ごろになってしまう。しかし、眠ろうとしても脳には刺激が残り、うまく覚醒状態をOFFにはできない。

頭が疲れているのに、熱を持っているような感じで、
眠りの波は来ない。

一向に眠くならないので、あきらめて超短時間型の睡眠導入剤を内服する。
そしてようやく、眠りにつける。

眠ったのもつかの間、変な夢や悪夢を見たかと思うと、日の出を感知したかのように5時台には目が覚める。睡眠自体がもともと浅いせいで、常日頃、早朝に一度ならず覚醒するのだが、なにせ就寝時間が午前2時など遅いので、疲れはとれておらず、二度寝を試みることになる。

例えそのまま起きて活動しようとしても、睡眠時間が短すぎるためにすぐに力尽きてしまい、昼頃から強烈に眠くなり、眠ってしまう。3時間ほど昼寝すると、ようやく体が休まった感じがして、起きだし、また夜活動するリズムに戻るのだ。

アメリカやインド、中国の研究でも、ADHD の人は思春期頃から、睡眠時間が短くなり、入眠や睡眠維持に問題が生じ、睡眠障害を発症するリスクが高まる傾向にある。悪夢はADHDの子供にもよく見られるとあった。共感する。(そして、その悪夢のイメージや内容を何十年経っても覚えている自分もいる。これは比較データがないので皆がそうなのかは不明だが。)

ADHDの睡眠問題は年齢とともに増加する傾向があるというデータもあるが、自分で睡眠障害を自覚したのは小学校5年生のころからだった。

思春期ということで、体は未成熟で発達途中。本来ならば、眠っている間に成長ホルモンも出るし、睡眠が大切なのは言うまでもないわけだが、
思春期といえば、部活後に塾に通ったり、何かと忙しい生活をしているのが昨今の子どもたちなのではないだろうか。

オンラインゲーム、スマホ、PCの画面、などなど、
ブルーライトは、そんな夜型人間たちの夜生活を楽しくもどんどんと悪化させてくれる。
それらの媒体は依存性も高く、睡眠不足で、「止める」という判断力も低下している人たちにとっては、もはや自分の意志力だけでは止めようもない状態になるというのは想像に難くない。

ASDやADHDの不眠の論文に目を通していると、有識者は口をそろえて、「睡眠の評価を治療の過程に組み込んでいくべき」と勧めている。

さてさて、そこでもう一歩踏み込んでみるとして、
逆の発想で考えてみるとどうか。
もしかして、この夜間の覚醒が、クロノタイプに組み込まれた遺伝子レベルの発達障害人にとっての「フツウ」だったら?

ここから先は完全な私個人の意見となるが、
ASD・ADHDの過集中ほど気持ちのいいものはない。(と思う)
いわゆる「ゾーン」とか言われている状態に近いと思うのだが、

そもそも夜は、騒音や光などの刺激が少なく、
感覚過敏を持つ発達障害人には生きやすい。
邪魔するものがなくて、
暮らしやすい。(笑)

夜が来ると、なんだか落ち着く。

先日、発達障害人ほどよく眠れ!みたいなことを言ってしまったが、
どちらが…というか、何が正解なのかはもはやわからない。

疲れやすいことは確かなので、時々は睡眠障害に対応できる内服薬に頼りながらでも、からだを休めてあげたいものだ。

そしてそもそも、こんなにも睡眠障害で悩むのは、
現代ならではだなとつくづく思う。

時計というものがこの世に普及する前、つまり、明治維新以降から広く
「時計」「時間」という概念に人間が縛られるようになったことを考えれば、それ以前は「夜型」とか「昼型」どころか、「遅刻」という概念さえもセットしようもない。

「明るくなったら仕事して、暗くなったらやすむ」みたいに、動けるときに動く、ということが もっと自然に行われていたのではないだろうか。

発達障害は、一人でいれば障害になるものは何もないわけで、
困ることもないわけだけれど、
現代の社会で生きにくく、厳しい目で見られるのは、この時代の流れを映しているようで虚しいようでもあり、同時にある意味注目されるきっかけにもなったよい面もある。

ここまで発達障害が一般的になった現代は、ここ数十年の間では間違いなく発達障害傾向がある人間にとっては最高に生きやすいはず。
やっと田んぼに水が入った、みたいな状態で、一番大変だったのは、
「時計普及以降~平成のまん中らへん」の時代だと推察する。

厳しくて、周りと同じを強制的に求められ、それができない人間=無能扱いだったのだから。

賛否両論あるかもしれないが、睡眠を侮ってはいけない。
過集中は気持ちがいいし、それがあるからこそ成功しているといっても過言ではないほど、夜は最高だ。

というわけで、睡眠障害の自覚さえない人もいるかもしれないけれど、
やっぱり体の健康を考えて7時間は眠れるように、
放置せず主治医にもうまくサポートをしてもらいましょうね。

ちなみに、定形発達の人達の言う、いわゆる睡眠にいい!みたいなものは、脳の機能に脆弱さや偏り、自律神経系に問題を抱えやすい発達障害人にはまず、効果がない(笑)
唯一、運動するのが効く…くらいかな。
だから、人が「いい!効く!」とか言っているものも、全く効果がないのもよくある話です。

だからやっぱり専門家に相談するのがいいです。

お疲れさまでした!(笑)


本当にありがとうございます!応援してくださる気持ちが本当に嬉しいです。「サポートをいただきました」の通知が、わたしの人生のうちの今日一日という日を幸せにしてくださいました。色々ありますが、あなたの一日も素敵なものになりますように。