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ヨーロッパ旅行記

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2023年のヨーロッパ旅行記/美術館探究をまとめます
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ビルバオグッゲンハイムとビルバオの街

ビルバオグッゲンハイムとビルバオの街

昨日の昼間、マドリードの街をゆっくりと出てバスでビルバオへと向かった。所要時間はほぼ5時間、それこそ帰りは飛行機で1時間ほどの距離だが、なんとなく陸路がいいなと思ってバスを選んだ。半分は寝てうつらうつらと過ごしていたが、目を覚ますごとに少し遠くには大きなひまわり畑があり、アンダルシアだとかバレンシアだとか、大西洋と地中海の香りを大地から感じた。ひまわりがああも並んでるとひまわりだとわからないもので

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移動とマドリードの美術館たち

移動とマドリードの美術館たち

昨日は移動ばかりをしていた。だから今日まとめて2日分書いてしまおうという怠惰な策だ。人間は愚かだし怠けられるところは怠けられる。でも怠けられる精神があるうちに怠けておいた方がいいことを私は過去の経験から知っている。無理をしないとは多分そういうことだと思う。

昨日は起き抜けで一番に中庭にでて、曇り空ながらの太陽光を浴びた。流石に窓のない部屋での5日目の朝は堪える。少し朝らしい気持ちになったところで

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オルセー美術館とピノーコレクション

オルセー美術館とピノーコレクション

友人の飲みすぎた翌日、流石に疲れたなと思ってゆっくりと起きることにした。一度シャワーを浴びてからもう一度ベッドに潜り込み、時間の分からない部屋で夢と現実の間のような何かを頭で描いて、日本から持ち込んだインスタントおにぎりと味噌汁でブランチにし、昨日の旅行記を書いた。

その日は元々オルセー美術館とピノーコレクションに行くことに決めていた。それから先日のムーラン・ルージュについてきたセーヌ川クルーズ

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ルーブル・ランス美術館

ルーブル・ランス美術館

ランスはパリ北駅から列車で1時間ほど北に行ったところにあるほうのランスである。フランスには二つのランスがあるが、間違えてはいけない。目指すべきはLensのランスである。

ランスまでの道のりはアムステルダムからパリに向かったときとは異なり、農耕地帯が一面に広がる世界だった。アムステルダムからの時はどちらかといえば牧草地帯で、ところどころ牛や羊が群れていて彼らのための牧草が束ねて置かれていた。しかし

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鑑賞と消費/ルーブル美術館とポンピドゥーセンター

鑑賞と消費/ルーブル美術館とポンピドゥーセンター

パリの朝はまだ太陽で温め切られておらず少し肌寒い。朝日に包まれるノートルダムも街並みも美しいのに、街はまだ眠ったことにされていて黙々と道路工事が進められている。

泊まっているところからセーヌ川沿いにバスでシテ島の脇を抜け、最後はバスでセーヌ川を渡る。そこにあるのは世界最大の美術館ルーブル美術館である。

18世紀にできたこの日の殿堂は当時のフランス王朝の権威のために作品が世界中から集められてでき

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パリの地/カルティエ現代美術館

パリの地/カルティエ現代美術館

アムステルダムから3時間半、列車に揺られてパリ北駅にたどり着いた。もっと山の合間を抜けるとかヨーロッパの自然があふれた道中になるかと思っていたが、穏やかな牧草地帯が7割を占める地平線に塗れた道中でうつらうつらするばかりだった。

辿り着いたパリはアムステルダムよりもすこし涼しさが和らいでいてより一層過ごしやすい気候だった。どこか大麻が混じっていそうな街の空気はかつてのニューヨークを思い返す都市らし

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アムステルダムの土地

アムステルダムの土地

着陸したとき空はどんよりとした曇天で、冷房の効きすぎた部屋のような気温だった。それが私の最初のアムステルダムという地での体験である。

首都でありながらどこか懐かしさを与える風景は、おそらく線路わきに多い繁る草木に、少し古びた建物に、一方で現代的な落書きのされたトンネルによって構成されているのだと思う。

私にとってオランダという国はフェルメールの国とゴッホの国という二つの側面で出来上がっている(

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