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✓BUTTER/柚木麻子

▽あらすじ
男たちの財産を奪い、
殺害した容疑で逮捕された
梶井真奈子(カジマナ)。
若くも美しくもない彼女がなぜ――
週刊誌記者の町田里佳は
親友の伶子の助言をもとに
梶井の面会を取り付ける。
フェミニストとマーガリンを
嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。
その日以来、欲望に忠実な
梶井の言動に触れるたび、
里佳の内面の外見も変貌し、
伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。

▽印象に残ったフレーズ

皆、何かに強く怯え、ストイックに我慢し、
異常なほど謙虚で必死に自分を守ろうとしている。

「別にどれか一つで満腹にならなくてもいいし、
なにもかも人並のレベルを
目指さなくてもいいのにね。
自分にとっての適量をそれぞれ楽しんで、
人生トータルで満足できたら
それで十分なのにね。

女はなによりもそうした無益な争いを避けようとする。
そのために、互いの居場所や個性を
先にさりげなく知らせておくのではないだろうか。
互いが傷つけあわないように、
見えない秩序を作る。
暗黙のうちにルールを作成する。

「他人の形がどんなふうか、
他人がその欲望を開放しているかしてないか。
そんなことで不安になったり
優越感を持ったりするなんて、異常だわ。
他人の形が、自分の内側で起きていることよりも、
ずっとずっと気になって仕方ないっておかしいわよ。」

▽感想
とにかく食べ物や食事の描写が多い!
おいしそうに書いてあったなぁ。
カジマナに翻弄される里佳が
読んでいて応援したくなった。
カジマナが言うことも分かるけど、
とにかく一人で寂しかったんだろうなあ。
誰かの命を奪ってしまうほどの
心身を支配するってどんな感じなんだろうね。
手の上で転がされるっていうのいうのは
こういうことなのかと思わされた。

女性としての自分、一人の人間としての自分、
それを含めて、一人の(愛する)男性に
どう見て、扱われたいか。
全ての女性の葛藤が込められている本でもある気がした。


BUTTER/柚木麻子/新潮文庫

↳試し読みもありますので、ぜひ

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