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モズ日記ー朱夏ー

10年近く前、職場の先輩から一冊の本を貸してもらった。

その本はロバートキヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」という本。

僕はその本を読むことを境に、お金への認識が変わった。

それがいい事が悪い事かは分からない。

ただ、一冊の本が僕の意識を変えたことは確かだ。

お金には、稼ぎ方(増やし方)・使い方という2面があり、どこに重心を置くかで意味や価値が変わってくる。

僕はできるだけ稼ぎ方に重心を置きたいと思っている。

この本を貸してくれた先輩とは、当時から凄く仲が良く、それこそお金の事、自分達の事、野望(笑)などなど色々語り合った。

が、少し疑問に思う部分もあった。

何せお互い若かったので、自分の意見が絶対正しいと思いこんでいる部分があった。

それ自体は責めれるものでもないが、この本を貸してくれた一年後、部署異動があり、前ほど交流がなくなってしまっていた。

その時、先輩にこう言われた

「また一緒に働く事あるやろうけど、その時はモズが管理職としては勿論、人間的にどう成長したのか見せてくれ。」

今から2年ほど前。また部署異動があり、先輩が戻ってくる事になった。

素直にめちゃくちゃ嬉しかったが、先輩に成長した自分が見せれるか不安もあった。

先輩が戻ってきて数ヶ月が過ぎたある日。

たまたま先輩と二人っきりになる事があった。
このタイミングしかない!と僕は意を決し聞いてみた。

「先輩戻ってきて数ヶ月経つけど、俺!どう?!」

先輩はニヤニヤしながら

「ぶっちゃけ、前おった部署ではモズの評判そんな良くなかってん。暴君というか、権力者みたいな言われ方してて。ただ、また一緒に働いて全然そんなこと無いし、寧ろモズを中心に凄いまとまってるし、色々多角的な考え方が出来てるし…予想以上にええ感じよな」

と答えてくれた。

僕はめちゃくちゃ嬉しかった。涙が出そうになったが、シャイボーイな僕は変な笑い方をして照れ隠しをした。

僕的に、先輩も凄く視野が広がっているというか、相手の意見を素直に受け入れ、自分の糧にしている様な印象を受けていた。

先輩にそれを話すと、凄く喜んでくれた。

お互い丸くなったのかな?と語り合った。

確かに、僕たちに生えていたトゲは無くなってしまったのかもしれない。

丸くなったというのも正解だろう。

ただ、川に流れる石の様に、丸くなればなるほど無駄が無くなり、革新に迫れているのではないかと思う。

あの頃の僕たちは、目に見える「成功」「正解」ばかりを追い求めていた。

あの頃よりもほんの少し大人になった僕らは、あの頃では考えもつかなかった事を思考できるし、色々な未来を想像することができる。

人として熟成したのかな?

僕たちの一歩は、小さく遅く醜いものかもしれない。
ただ、僕たちは歩みを止めることはない。

胸に愛のある勝負を!

終わり。

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