見出し画像

息子も読書にハマった

以前、娘が読書にハマったきっかけという記事を書きました。

今ではすっかり本の虫となった娘が、小学校2年生頃に本に目覚めた経緯をまとめました。

我が家には、娘の他に小学1年生の息子がいます。
息子については、他の記事でも触れましたが、娘とは対照的な外交的でアウトドア志向、下品なものが大好きという性格で、時間さえあれば公園で友達と遊びたいという「ステレオタイプの男子」です。
一時は読み聞かせすら嫌がるようになった息子ですが、この春の数ヶ月で加速度的に本を読むようになり、最近ではすっかり習慣として読書が定着してきました。
今回はそんな息子が本にハマったきっかけと経緯についてご紹介したいと思います。

絵本を読まなくなった息子

息子には娘と同じく、妻が寝る前に読み聞かせをしていました。
幼稚園や図書館で本人が気に入りそうな本を借りてきては読んでいましたが、幼稚園の年長辺りから物語ものには興味を示さなくなってきました。
理由はよく分かりませんが、絵の好き嫌いが出てきたのと、幼児絵本特有の落ち着いた内容を退屈に感じるようになったことがあるのかもしれません。
実際、その頃には、ゲームやアニメの図鑑やキャラクターブックにハマっており、そんなものばかり見ていました。その頃よく見ていたのが、以下のスーパーマリオのキャラクター図鑑のようなものです。

ポケモンの次はスーパーマリオにハマってファミコン時代のマリオから最新のマリオオデッセイまでとにかくマリオと名のつくものの虜になっていました。
我が家では、好奇心を掘り下げることを是としていますので、ゲームに関して、かなり大胆にさせている方だと思います。この辺りは、あらためて記事にさせて頂くとして、とにかく「このまま本は読まなくなるのだろうな。」というのが、当時の印象でした。

自然科学への関心

我が家では、息子が本を読む読まないに関係なく、年間200冊以上を読む娘の読書欲を満たすために、2週間に1回は図書館に行きます。
親が読み聞かせてやろうという本はことごとく拒否する息子ですが、自然科学系の本に関しては、関心を示していました。
たいして読むところもなく、写真がメインのものが多いのですが、生物については興味があるようで、このジャンルであれば借りたいというので、毎回数冊借りていました。その頃、よく借りていたのが以下のうまれたよ!シリーズです。

読むところはあまりありませんが、生き物の変化を間近で見ているような迫力のある画面構成が特徴です。息子とは相性が良かったようで、息子はこの本を探すために、図書館にある検索システムの使い方を覚えました。
たしかにもともとNHKの「ダーウィンが来た!」や「ミミクリーズ」という番組も好きで、録画してよく見ていましたし、香川照之の「昆虫すごいぜ!」も喜んで観ていましたので、自然科学という分野には関心があったのだと思います。
実は、最終的にこの自然科学という分野がキーになって読書スイッチが入ります。
ただ、その前に読書スイッチの下地となった生活習慣や環境の変化について、先に紹介させて頂こうと思います。

ベースとなった音読習慣

別の記事で紹介していますが、息子に関しては、毎日の習慣として4歳頃から音読を行なっています。毎日数ページをタスクとしてこなしていたため、「読書」という娯楽的な意味合いはあまりなく、本人も歯磨きと同じように決められた作業のひとつとして取り組んでいます(ただ、我が家では100ポイント貯まると欲しいものが買ってもらえるポイント制度「チャレンジスタンプ」を運用しており、音読はそのポイントの対象になっています)。

音読に関しては、以下の記事で具体的にご紹介しています。
音読ドリルからスタートし毎日1、2ページを声を出して読みます。めいさくえほんも4、5冊目になり、幼稚園の年長になる頃には、かなり長い文章をストレスなく行えるようになっていました。

この音読習慣が「自ら本を読む」という精神的なハードルの引き下げに寄与したのでは無いかと考えています。

目に触れるコンテンツの変化

幼児向け絵本から遠ざかった原因のひとつに、4、5歳くらいになると絵本やETVを中心とした乳幼児〜幼児の文化圏から、テレビやアニメ、Youtubeなどを中心に小学生以上が楽しむ文化圏に取り込まれ始めるという現象があると考えています。
下世話で品のないギャグや笑いや、通俗的で教育的要素が乏しいコンテンツに触れる機会が増え、幼児向けに用意されたコンテンツでは物足りなく、場合によっては露骨に子供扱いされているようで恥ずかしいと感じるケースも出てきます。
分かりやすくいうと、「アンパンマンの世界に、クレヨンしんちゃんが進出してくる」ということです。
特に上に兄弟、姉妹がいると、そういったものに触れる時期も自ずと早まります。
我が家の場合も、同世代向けの子供向け番組よりも、娘が見ているYoutubeやテレビのバライティ番組に夢中になっていきました。ただでさえ、下品でくだらないものが好きな息子が禁断の果実を手に入れ、パワーアップしていく過程は如実に感じ取ることができました(加えて、我が家では、関西で生まれた子供に対する義務として、吉本新喜劇を録画して観せていたので、その影響も大きかったかもしれません。)。以前、下品な息子の品性を知性でカバーしようと試みたエピソードをいかに貼っておきます。

話が少し逸れましたが、このコンテンツの変化で何が言いたかったかというと、下世話なコンテンツに染まった結果、本を読まなくなったという話ではなく、この行儀良すぎないふざけた感じが、意外にも読書の入り口になったということです。

「ざんねんな生き物事典」の残念な内容がヒット

テッパンだった「うまれたよ!」シリーズも一通り読み終わり、いよいよ読む本が無くなった頃に、少し手に取るようになってきたのが、「ずるいいきもの図鑑」とか「しぶとい生き物図鑑」といった、いわゆる「ざんねんな生き物事典」関係の本です。

これまでの生物図鑑と異なり、ソフトカバーで気軽に手に取り、持ち歩ける大きさで、写真ではなくイラスト主体で見せ方もキャッチーです。文字の量が多いので、全部読むのは難しいのですが、エピソード自体が面白いため、タイトルだけ追いかけても十分楽します。
それまでの学研や小学館の図鑑と異なり、鳥のウンチで出来た島があるとか、アホウどりはアホだからアホウドリという名前が付いたなど、下品で下世話なコンテンツに目覚めた息子には持ってこいの内容となっており、読んでは自慢げに教えてくれるということが続きました。しばらくこのあたりの本を借りて、パラパラめくって、気に入ったところだけ読むということが続いた後、運命の本との出会いを果たします。

ゆるゆる図鑑シリーズとの出会い

「ざんねんな〜」シリーズを読み進める中で出逢った運命の本、それは、ゆるゆる図鑑シリーズです。まず最初に出会ったのが「ゆるゆるサメ図鑑」でした。

この本は、「ざんねんな〜」シリーズと異なり、解説が文章ではなく、4コマ漫画仕立てになっているのが特徴です。

スクリーンショット 2021-05-16 14.32.10
スクリーンショット 2021-05-16 14.34.11
スクリーンショット 2021-05-16 14.35.25

今まで借りてきた図鑑は眺めることはあっても、全て読み終えることはありませんでしたが、このゆるゆるサメ図鑑に関しては、左の漫画の部分を全て読み終えたと嬉しそうに報告してくれました。
どんな形であれ、1冊読み終わるというのは、本人にとって大きな自信になる出来事です。
この本は、もともと興味のあった生物学的な分野において、文章のボリュームやエピソードがちょうど良く、イラストの感じも行儀良すぎずカジュアルで入り込みやすかったのだと思います。

積極投資がスタート

前回、娘が本を読み始めた時の経験から火が付いたら惜しまず燃料を焚べることが重要だと学んでいたので、すぐに同じシリーズの違う本を買ってあげることにしました。次に買ったのが「ゆるゆる外来生物図鑑」で、そこからは

1冊読むごとに1冊買ってあげる

と息子と約束しました。

その日から、ほぼ毎日Amazonに本を注文する日々が始まります。

ついに6冊目の「ゆるゆる深海生物図鑑」を購入した時点で、その当時の発売されていたシリーズの全ての本が揃うことになりました。
まだ、4コマ部分がメインで、右側の解説まで読めていませんでしたが、自分一人で本を読み切れるという自信を付けてあげることには成功したと感じました。
ただ、ゆるゆるシリーズが読み終わる頃には、文章の部分もきちんと読めるようになって欲しい、もっと他の本(特に物語系の本)にも興味を持って欲しいという親としての想いも大きくなっていきました。

ほねほねザウルスシリーズですっかり習慣化

そこで、ゆるゆる図鑑シリーズの成功を物語系の本でも再現すべく、週末図書館に行った際に、物語系の本をいくつか選定しました。
「おしりたんてい」や「かいけつゾロリ」など、いくつかレベル感の合いそうなものを借りてみようとしましたが、息子本人は「借りない!」の一点張りで興味を示しませんでした。
ただ、いくつか物色した中に、ほねほねザウルスの本がありました。

ほねほねザウルス自体はスーパーなどで売っているフィギュア付きのお菓子で、もともと息子も好きで何回か買ったことがありました。そして、たまたま置いてあった11巻を開いたところ、かなり絵のボリュームが多く、4コマ漫画から児童書に移行するのにちょうど良いと感じました。
何より、数ページ開いて読んで観た際に、穴に落下する衝撃をオナラで緩和するというシーンがあり、下品なものが好きな息子に打って付けだと判断し、反対はされたものの勝手に借りて帰ることにしました。

画像4

借りてきてすぐは全く見向きもしませんでしたが、ある時本当にやることがなくなったのか、ふと手に取る瞬間にたまたま立ち会いました。
息子は、最初数ページをペラペラと読み進めた後、例のオナラのページにまでいくと、吹き出して笑い始めました。
私は心の中で思いっきりガッツポーズをした後、気持ちを落ち着けて「どうした?」と聞くと、「ここが面白いねん。」と例のページを嬉しそうに説明してくれました。
そこから後は、あれよあれよと1冊読み終わり、1巻から読みたいと言ってきました。
ちなみにほねほねザウルスシリーズは、その当時24巻まで出ており、1冊だいたい1,000円なので、リクエスト通りに買っていくと、24,000円必要になります。
図書館で借りるという選択肢もありますが、人気の本らしくほとんど借りられており、借りれるのを待っていると、読書熱が冷めてしまう可能性もありました。
そこで私は全巻購入する覚悟を決めて、1冊読んだら1冊買うのキャンペーンを継続することにしました。

結局、息子はそれ以降、ほぼ1冊1日のペースで読み終わり、Amazonの配達員さんには申し訳なかったのですが、ほぼ毎日か2日に1日のペースで本を届けて頂くことになりました。
24冊読んでコンプリートする頃には、息子もすっかり読書習慣が付いていて、時間を見つけては読むようになりました。

その後、ほねほねザウルス以外でも同じようになるのか確認するために、「へのへのカッパ先生」シリーズも同じように購入した後、読書習慣の定着を確認して、我が家の1冊読んだら1冊買うのキャンペーンは終了しました。

へのへのカッパせんせいは、むかし「学級王ヤマザキ」という漫画を連載しておられた漫画家の方が書かれている児童書で、漫画と児童書の中間くらいの仕上がりになっています。
頭のお皿の部分がお尻になっており、ご想像の通りで最終的にはそこからオナラが出て解決する展開になっています。おしりたんていと基本的な仕掛けは一緒ですが、向こうが謎解き要素で味付けしている分、こちらはダジャレとギャグで子供の注意を惹きつけています。

最近では、娘が読んでいた「おしりたんてい」シリーズを読んでおり、もう放っておいても読みたい本を探して読むことができるようになったと考えています。

読書を促進する「見ない・しない時間」の設定

我が家では、その日やることさえ終われば、Youtubeもゲームも見放題やり放題になっています。終了時間については、夜8時半までとなっています。
夜8時半になると、家用に使っている携帯のアラームが鳴って自由時間を終わりを告げます。ただ、読書に関しては、8時半以降も読むことができるため、子ども達は、アラームが鳴るとYoutubeもゲームを諦めて一斉に読書を始めます。
同様に、休日の朝なども宿題や毎日の音読やドリルなど我が家で独自に設定している課題が終わるまでは、Youtubeもゲームが出来ないので、二人ともその分読書を楽しんでいます(地上波の番組は観ることできるので、そちらを観たりもします)。
上の読書スイッチが押されるまでの流れの中では説明しませんでしたが、そういったその他の選択肢が制約される時間帯があることが、読書への動機付けになった部分もあったのかもしれません。そして、そういったメリハリさえあれば、Youtubeもゲームにハマっても本を読むという習慣を身につけることができるかもしれません。

姉の存在と本棚の位置

娘も息子も本を読むようになりましたが、私と妻が子供の前でよく本を読んでいるかというとそうではありません。昔は読んでいましたし、今でも時々読んでいますが、むしろ子供がいない時や寝た後、通勤時などに読んでいることがほとんどで、子供の前ではもっぱらスマホをいじっており、なんなら動画を観たり、スマホゲームしていたりします。ただ、娘は時間さえあればよく本を読んでいるので、その後ろ姿は息子に影響を与えたかもしれません。

息子が本を読むように工夫したことといえば、本棚の位置を変えたり、本棚を追加したり、本棚にある本を意図的に入れ替えたりしました。
具体的には、今までもリビングに縦長の本棚ひとつを置いていましたが、入り口から本が見えないように90度回転して側面を見せる状態で置いていました。しかし、そうなるとリビングのソファに座った際に、本が見えず一度立ち上がるか覗き込んで本の状態を確認する必要がありました。
ここ数年は新型コロナで人を呼ぶこともほとんどなくなりましたので、入り口から入ってきた時の見栄えより、子どもがソファからそのまま本選んで取り出せることを重視して配置を変更しました。
また、娘のために買った本や娘がお小遣いで買った本が増え、既存の本棚に収まらなくなってきましたので、ダイニングのカウンター下のデッドスペースに合う奥行き浅めの本棚を新たに購入しました。
そうすることで本が常に子供たちの目に触れ、すぐに手に取って読める状態にできたかなと思います。そしてこれらの本棚の中身は私の方で意図的に何度か入れ替えを行いました。読んで欲しい本を出来るだけ取りやすくすることで、子どもの小さな動機が行動に結びつくように配慮してみました。
この辺りの取り組みも少しは読書習慣づくりに影響しているかもしれません。
子どもやる気を環境面でサポートすることについては、以前も記事にしていますので参照下さい。

子どもに合わせて道を設計する

今回はたまたま息子も本を読むようになりましたが、読書に関しては、環境、機会、動機の3つが揃った時に押されるスイッチだと思っているので、親が与えたり、何かを地道にやらせたりして実現するものではないと考えています。
我が家の場合も読み聞かせから音読、読書とスムーズに進んだわけではなく、下世話で下品な笑いと教材臭く無いビジュアルというところがフックとなってはじめて実現しました。どこがきっかけになるか分からないので、焦らずその子ひとりひとりの興味の寄り添って進めることと、やる気になった時にその気にさせて惜しまず投資することがポイントかなと考えています。
個人的にはいつも皿回しを意識しています。
中途半端に回すと落ちてしまうので、やるとなったら安定するところまで勢いよく回して上げるよう気をつけています。
どこまで再現性のある事例かわかりませんが、何か少しでも皆さんの子育ての参考になるところがあれば幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?