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子供が自ら動き出すチャレンジスタンプ活用法

一枚のシートが子どもの行動を変える

我が家の育児・教育施策のうちで最も成功したのが、このチャレンジスタンプです。とはいえ、そんな大層なものではなく、A4用紙に出力した10×10の100マスのただの枠で、チャレンジスタンプという呼び名も我が家で勝手にそう読んでいるだけです。

実物はこんな感じです。

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「子どもが頑張ったら、このシートに大人がスタンプを押していく」ただそれだけのことなのですが、この運用を始めてからというもの、子どもがみるみるうちに変わって自発的に取り組むようになりました。

親の評価を可視化する意味

チャレンジスタンプの使い方はシンプルです。
子どもが頑張ったなと思うことがあれば、その度合いに応じてスタンプを押してあげるだけです。
スタンプが100個貯まれば、子どもがその時欲しいと望むものを買ってあげる(我が家では、3,000円相当ぐらいで設定しています。)という流れになっています。

言ってしまえば、ただのご褒美ルールですが、ただ買いたいものを買ってあげるのとは違う意味があります。

その一つは、
子供から見た時に、自分の努力とその評価が可視化されることにあります。

「頑張ったね」「よくやった!」といった声がけは普段から皆さんよくされていると思います。私も出来るだけそうしてあげるようにしています。ただ、以前の記事にも書いたように、上の子が3歳ぐらいの時、子育てに行き詰まっている中で「この気持ち、本当に伝わっているのかな?」と疑問に思うようになりました。

抱きしめてあげたり、頭を撫でてあげたり、大袈裟に喜んであげたり、といろいろ表現をしていく中で、3歳ぐらいの子どもにも視覚的に理解出来るようにと始めたのが、このチャレンジスタンプです。
自分が頑張った結果がスタンプという形になって積み上がっていくことで、視覚的に理解が出来、達成感を得られるのではないかと思い始めたところ、最初は何が行われているのか分からずキョトンとしていました。失敗したかなと思っていましたが、続けていくことで仕組みが理解できたようで、子どもの方からスタンプを求めてくるようになりました。
今では子どもの方が、欲しいものを手に入れるために、かなり戦略的に活用してきます。

子どもの目の前で押す事に意味がある

シートの掲載場所としては、我が家はリビングの目立つ場所に掲示しています。
来客もあり、少し恥ずかしいところもありますが、子どもがいつでも見る事ができ、親がすぐに押してあげられる場所で管理することが重要です。
そして、スタンプを押す際には、必ず子どもの目の前で「押すよ」と言って押すようにしています。

スタンプは親から子どもに毎日渡してあげられるプレゼントです。

キチンと本人まで伝わるように気をつけています。

運用の肝はルール設計にあり

この施策の一番難しいところは、何をスタンプの対象にするかというルールです。
この設計においては、まず親御さんが子どもにこうあって欲しいという行動を全て書き出してください。
その上でその難易度に応じて、スタンプの数を設定して下さい。

ちなみに我が家のルールは以下のようになっています。

<娘>
・なわとびの練習×3個
・逆上がりの練習×3個
・100マス計算1回×1個
・ドリル(英語、漢字、算数)見開き×1個
・ローマ字アプリ1つクリア×1個
・言われる前に○○をする×2個
・言われたらすぐ○○をする×1個
・苦手な食べ物を頑張って食べる×2個
・弟に優しくする×1個

<息子>
・音読ドリル見開き×1個
・ドリル(ひらがな、さんすう)見開き×1個
・言われる前に○○をする×2個
・言われたらすぐ○○をする×1個
・苦手な食べ物を頑張って食べる×2個
・姉の言うことを素直に聞く×1個
※○○=部屋のお掃除、机の周りのお掃除、片付け、ゴミ捨て、歯磨きなど

本人が一番嫌がってやらないことなどは、スタンプ3つに設定し、毎日でも達成できるレベルのことには、スタンプ1つに設定しています。
特に有用だったのは、

・言われてからやると1スタンプ
・言われる前にやれば2スタンプ

という使い分けです。
親が言われてからやるのは当たり前と思っていると、子どももモチベーションが上がりません。言われてからでもサッと動けるかどうかは社会を生き抜く力として非常に重要です。このルールのおかげでだいぶ自発的に行動してくれるようになりました。

100個スタンプをためようと思うと早くても2ヶ月ほど掛かりますので、あまり勿体振らず、気前良く推してあげることがポイントです。
あと、ハードルの高い事は、3スタンプにしたからといってそんなに積極的に取り組むわけではありません。ついつい催促してしまいそうになりますが、そこは焦らず、いつかその気になった時のために設定しておいて、じっと堪えてください。
その時が来て、実際にやってみて、スタンプが3個押されてみると、子どもも達成感が出るため、次に繋がります。
また、ルールが浸透してくると、欲しいものを手に入れるために、子どもの方からスタンプを稼ぐためにチャレンジしてくることもあります。

報酬は口を出さないケチらない

「欲しいものを買ってあげる」というのは、子供にとって魔法の言葉です。
この施策はこのファンタジーの部分無くして成立しません。
ややもすると、いざ報酬選びの段階で「それ、本当に欲しいの?」「もっとこっちの方が良いんじゃないの?」と口を出したくなりますが、そこはぐっと堪えて、子どもの満足度を大事にして、出来るだけ欲しいものを買ってあげて下さい。
1枚あたりの金額の幅は先に子どもに伝えておいても構いません。
我が家の場合は、かなり運用が定着してきていますので、1枚3,000円程度を前提に「2枚貯めて使う」「兄弟合わせて2枚分使う」といったことも増えています。

報酬額の経済的判断

「こんなことをやっていたら、お金が掛かって仕方がない。」というご意見もあるかも知れません。確かに決して安い負担ではありません。
本件を実施するにあたって我が家では、コストパフォーマンスをこう考えています。

チャレンジスタンプの報酬 < 公文やベネッセといった学習系の習い事

我が家では、お手伝い、お片付けといった生活習慣の定着以外に、毎日の継続した家庭内学習にも、このチャレンジスタンプを活用しています。
子どもの学習レベルを見ながら私が教材(ドリルやプリント)を買ってきたり、作ったりして、1回最大10分以内ぐらいを目安に”毎日”コツコツ学習を積み上げることの習慣づけを進めています。勿論、毎日完了するごとに答え合わせをしてスタンプも押しています。
そういった一連の学習プロセスをチャレンジスタンプを使って内製化しているので、内製化にかかる費用とそれをアウトソースした際の費用と比較して、安く収まっていればいいかなと考えています。

また、塾や教育サービスに支払う場合と異なり、費用の受益者が子どもになるので、子どもにとっても自分に返ってくるメリットがあります。

・外部での支払い=一方的
・子どもへの報酬=家庭に還流

さらに、一般的に子どもは、「あれが欲しい」「これが欲しい」と季節やお財布に関係なく言うものです。そんな時、「スタンプ貯めて買えばいいんじゃない?」と言えることは非常に便利です。

いずれ子どもに支払うコスト → スタンプ報酬と兼用(+子どもの努力)

「お金がないから」とか「高いから」とか言いたくもない理由で子どもをなだめる必要もなくなります。
もしかしたら、スタンプをやっていない現在でも、3ヶ月に1回くらいは、何か買わされたり、どこかに連れて行かされたりしていませんか?
そんな出費もスタンプのルールの上に載せることが出来れば、子どもの努力とセットで処理することができます。
我が家では、お出掛けもスタンプ報酬にしたりしているので、「◯◯のテーマパークへ行きたい!」という強い要望があれば、スタンプの報酬として提供しています。

スタンプは通し番号で

スタンプが1枚終わったら2枚目は101からスタートするのが重要です。
通し番号でなければ、最初に沢山印刷しておけるため手間が掛からないのですが、頑張りが積み上がっていくプロセスが重要ですので、出来れば通し番号で作成してあげて下さい。
数を覚えるきっかけにもなります。
我が家では上の子が2,500オーバー、下の子も1,500オーバーに達しています。

物で釣るのは良くないというご意見について

確かにこのやり方が正しいかどうかは私にも分かりません。
大きくなってインセンティブがないとやる気が起きない子どもに育つかもしれません。そういうデメリットも時々頭を過ぎります。
ただ、私としては、「どうせ頑張っても…」的になるよりは、多少強欲でもアグレッシブに生きて欲しいという思いもあって、この方法を取っています。
あと、なんでも買うと子どもが我がままになる。という懸念もあります。
これについては、以前紹介した以下の書籍の中で、

主導権がどちらにあるかが大事

という記載がありました。同じものを買うにしても、親が先にルールを決めて提供するのと、子どもの要望が起点となって親が後手に回るのでは、効果が違うのではと解釈しており、親がルールを決めて先に主導権を握ることを重視しています。

実際の子どもの変化

もともと上の娘は、冒険心が強い方ではなく、むしろ一度経験し勝手がわかる範囲でことを済ませたい傾向が強いです。諦めも早いので我慢強くやりきる経験をさせるのが大変でした。
そんな中でも随分このスタンプが娘の背中を押してくれました。

嫌いな野菜を食べるのも、なかなか乗れない自転車の練習をするのもこれをやったらスタンプが貯まって欲しかったオモチャが手に入る

そういう思いが、娘を突き動かした瞬間が何度かあり、我々夫婦もだいぶ助けられました。正直、娘に関しては、このルールを使って、なんとか重い腰を上げさせてきたという印象です。

対照的に息子に関しては、ものごころついた時から家庭内にこのルールが浸透していたので、良い行いをしたらスタンプが手に入るというルーティンが染み付いており、ガンガン片付けや身の回りのことを自分でやってスタンプを請求してきます。
もともとの楽観的な性格とも合いまって見事にこのルールの上で転がっている印象です。

子どももそれぞれですので、我が家のやり方がそのまま適用できるとは限りませんが、何かの参考にして頂けたら幸いです。

廣津留すみれさんのテレビ番組を見て

先日、日本の公立高校から塾にも通わず家庭学習だけでハーバード大学に入学し、主席で卒業したバイオリニストの廣津留すみれさんのテレビ番組を観ました。

番組の中で、家庭内の勉強法として、お母様が毎日のルーティンをいくつか設定し、それをクリアするとカードに丸が付き、全て丸になるとヴァイオリンをやらせてもらえた。というお話がありました。すみれさんご本人もそれをクリアしていくのが楽しかったとおっしゃっています。

我が家のルールもそこまでではないですし、うちの子はそんな天才少女、天才少年ではないですが、課題と開放と報酬を組み合わせることで子どものポテンシャルを引き出すやり方がまだまだあるのかもしれません。

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