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娘が読書にハマったきっかけ

子どもが本を読むことに対して、ネガティブな印象を持つ人はあまりいないと思います。出来れば本好きになってくれるのに越したことありません。
しかしながら、子どもが習慣的に読書を行うようになるのは非常にハードルが高いです。実際、我が家でも上の娘が1年生の頃までは、いくら買ってきてあげても読もうとしませんでした。

しかし驚いたことに、同じ娘が一年後には毎週5冊以上を読み、年間200冊超のペースで本を消費していくようになったのです。

今回は、その1年間にどんなことが起きたかについて、整理してご紹介したいと思います。

ベースとしての読み聞かせ

まず、自分で本を読むようになる以前の状態についてですが、本人が自ら手に取って読むことはないものの、赤ん坊の頃からから小学校1年生までは、妻がほぼ毎晩寝る前に読み聞かせをしていました。
市の図書館も近かったため、ダルマさんシリーズを始め、せなけいこさんの本や科学や自然に関する本を枕元で読んで聞かせていました。
それがどれくらいの効果になったかは計測のしようがありませんが、本というメディアへの親しみは形成されていたのではないかと思います。
ただ、私自身が幼少期に本を読んでもらっていた割に社会人になるまで読書スイッチが入らなかったことを考えると、「読み聞かせさえしていれば」というものでもないのかなと感じています。

漫画だからといって読むわけではない

自分から読み始めるまで、何冊か実験的に本を買い与えたりしました。
自分で読めるレベルの絵本のようなものや、少女漫画、キャラクターもののなぞなぞ本、漫画チックなデザインのお仕事図鑑など、いろいろとやってみましたがスイッチは入りませんでした。
絵が多ければ良いという訳ではないようでした。

全ては「おしりたんてい」から始まった

ある日学校で「おしりたんてい」という本が流行っていると娘が教えてくれました。なかなか学校で借りれないというので、一冊買ってあげることにしました。

娘から申し出たこともあり、スイッチが入る予感がしたので、いつものチャレンジスタンプも「本を読んだらスタンプ3つ」に設定して、その時を今か今かと待ち望みましたが、予想に反して、買ってからしばらく、その本は開かれることはありませんでした。

テレビアニメが火をつけた

本を買ってしばらくすると、おしりたんていがNHKでアニメ化されるという話を聞き、早速録画してみました。
娘も自分の持っている本がアニメ化されているのが嬉しかったようで、観終わるとようやく手に取って読み始めました。
ここがチャンスだと思い、読み終わるとスタンプを3つ押し、1人で読み切ったことを褒めちぎりました。すると自信がついたようで、もう一冊読んでみたいと言い出しました。

親が前のめりになると子どもは冷める

ここで気を付けないといけないのは、子供より先に親が熱くなると、子どもの方が先に覚めてしまうということです。
読書以外の普段のやりとりでその傾向を感じていたので、一冊読んだからといって、こちらから読め読めと勧めるのではなく、買い物ついでに一緒に立ち寄ってサラッと買ってあげるようにしました。買ってからも催促せずしばらく放置していると、時間のある時に手に取って少しづつ読み進めるようになりました。
2冊読んだところで自分の読んだ話がアニメで放映されることになりました。
先に本を読んで犯人もわかっているので、観覧中もかなり自慢げに話しかけてきました。

こうなると3冊めを要求するのも時間の問題で、向こうから要求してきました。

本は課題を達成せずとも買ってもらえるアイテム

普段我が家では、欲しいものはスタンプを貯めて手に入れるというルールになっています。ただし読書に関しては、どのチャレンジよりも本人をやる気にするのが難しいと考えていたので、このルールの例外とし、欲しい本はすぐ買ってあげることにしました。
かなり太っ腹な待遇なのですが、本人も遠慮なく権利を行使してきたので、おしりたんていについては、本人が一冊読み終わる度に購入し、結局立て続けに当時発売されていた7巻全てを購入することになりました。

絵本でも漫画でもない「おしりたんてい」

ここで、「おしりたんてい」という本について、ご紹介します。
おしりたんていとは、顔がお尻の形をした探偵が主人公で、毎回、名推理で犯人を見つけ出しては、最後顔から強烈なオナラを出してやっつけるという、うんこドリルと品の無さでは大して変わらないお話です。

ただし、小学校低学年が読むに丁度良いレベル感で構成されているのがヒットの一因と考えています。
実際にページの中は、こんな感じになっています。

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絵本と同じくらいの絵の分量で、クイズなどの謎解き要素に加え、ウォーリーを探せやミッケ、迷路のような遊び要素も大量に織り込んで、読み手を飽きさせないためも工夫があります。
昔でいうと、かいけつゾロリのような位置づけの本になっており、ギリギリ絵本ではなく児童書の形を成していますので、子どもも一冊読み終わったという達成感が得られます。

ちなみに同じレベル感の本として、ふなっしーとフルーツ王国シリーズがあります。
ブームに乗ったキャラクター本と思いきや、児童書としてキチンと作り込まれているため、子どもにもウケが良いです。
展開的には、オナラと梨汁の違いくらいしかありませんが、幅を広げる意味では、有効かもしれません。我が家でも何冊か購入しました。

あんびるやすこブーム

おしりたんていで自信をつけた娘は他の本も読むようになります。
次にハマったのが、あんびるやすこ先生の「ルルとララ」シリーズです。

「お菓子」「魔法」という、女の子が興味を持つテーマで書かれた本です。
おしりたんていと違い、最寄りの図書館で簡単に借りれたため、ここら辺りからは本を購入することは少なくなり、かなり図書館のお世話になるようになりました。
お話のボリュームや話運び、キャラクターたちを包む優しい世界が気に入ったようで、「ルルとララ」シリーズ以外にも、「なんでも魔女商会」シリーズもよく読みました。

他にもおしりたんてい以来、推理というのも好きなジャンルとしてあり続け、名探偵シリーズもよく借りてきました。

名探偵コナンから文庫本へ

この頃(2年生の終わり頃)になると、娘は我々夫婦の想像を超えて、本の虫になり始めました。時間さえあれば本を開き、集中して1日か2日で一冊読み終わるペースになってきました。丁度その頃ハマり出したのが「名探偵コナン」です。

もともと推理は好きなジャンルだったので、ハマるのに疑いの余地は無いのですが、当時懸念していたのが「このまま漫画に流れていくのではないか」というところです。漫画でも文字に触れ合ってくれればそれで良いのですが、せっかく活字メディアに慣れてきたタイミングで、漫画だけになってしまうのは、勿体無いような気がしていました。

ただ、この心配は思いがけない展開で解消されます。
もともとコナンの単行本自体は、図書館でも人気で、なかなか置いてない状態でした。なので、話が上下巻に分かれたりする場合にも、下巻だけ借りて読んだりしていました。
そんな時、たまたま借りてきたコナンの本が、漫画版ではなく、文庫本だったことがありました。今までの児童書と異なり、文庫本になると文字数も増え、挿絵の量もグッと減ります。それでも思ったより簡単に読み切れたようで、それ以降、漫画に傾くよりも、文庫本を読む方に向かうようになりました。

夏休みの感想文もコナンの映画版の文庫本で書きたいというので、それで良しとしました。小学生向けの小説が映画になる事があるくらいですので、その順序がちょっと違っても問題ないだろうと考えましたし、題材よりも考察の方が重要と考えましたので、自分が読みたいと思うもので、思いっきり書かせることにしました。

お話のジャンルを広げる工夫

どんな本であろうと、自分で読むという習慣をつけることは大変難しく、それが漫画であろうと親としては大歓迎なのですが、本が読めるようになると、親としても少し欲が出てきて、「お菓子」「魔法」「推理」以外のジャンルにも触れて欲しいという気持ちが芽生えてきます。
そんな時に活用したのが「おはなし図鑑」です。
おはなし図鑑とは、アンデルセンやグリム童話といった過去の名作が20〜30話載ったもので、一話当たりのボリュームが少なく、挿絵も多いので小学校低学年の子どもが読み切る経験を積み上げるには丁度良い媒体といえます。

我が家ではこれをおしりたんていを読み慣れてきた頃に投入し、リビングの手の取りやすいところに随時置いておくようにしました。
最初は見た目がゴツいので、なかなか手に取りませんでしたが、退屈した時に読み出して、その後は定期的に目を通すようになりました。
しばらく経ったある日、会話の中でマリーアントワネットとフランス革命について語り出したので、ビックリしてネタ素を聞いたらこの本でした。

伝記やノンフィクションへの誘い

もうすっかり本の虫となった頃、物語以外のジャンルにも目を向けて欲しいと思い、親として意識的に動いた事があります。
私は本の役割として、物語をエンターテイメントとして読むだけではなく、社会について知ったり、違う人の考え方を取り入れたりといった役割があると考えています。
丁度その頃、娘が自分だけのデジカメか欲しいと言い出しました。
安いコンパクトデジカメで良いというのですが、それでもチャレンジスタンプを貯めて買うには10枚近く必要です。
そこで以下の2冊を読み終えたら、買ってあげることにしました。

さらに「10才までに知っておきたい 世の中まるごとガイドブック基礎編 」については、一気に読むにはハードルが高かったので、お金、社会、政治、世界の四単元それぞれが終わるごとに、キチンと頭に入っているか簡単な確認をして、それがOKであれば都度チャレンジスタンプ+1,000円というプレミアムを付けました。
子ども向けに分かりやすく書いてはあるものの、子供から見たら完全に教科書みたいなものなので、最初はなかなか手をつけませんでしたが、読み始めるとそれなりに興味もあったようで、定期的に手に取り読み進め、数ヶ月くらい掛けて読み終えました。
これの影響かどうかまでは分かりませんが、その後は借りてくる本の中に伝記や社会の仕組みに関する解説書なども混じるようになってきました。
ただ、一番の収穫は、ニュースに関する感度がすごく上がったことです。
親が話す税金の話や選挙の話にも入ってきて、なぜなぜと聞くようになりました。

先日は、誕生日のプレゼントにおじいちゃんおばあちゃんが本を買ってくれるということになり、家において、少しづつ読み進められる本ということで、以下の本を買ってもらいました。

この本は、非常に内容が充実しており、大人でも読み応えがある中身になっています。先日、吉野彰さんがノーベル賞を受賞した際には、「ノーベルは自分が発明したダイナマイトが戦争に使われることを悲しんで、そういうことにならないようにとノーベル賞を作ったんだよ。」と娘が教えてくれました。

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さらに先日は、エジソンとノーベルの生没をこの本で調べて、「エジソンはノーベルより後に生まれているのに、何でノーベル賞を貰えなかったの?」と質問してきました。
恥ずかしながら、私達夫婦も理由が分からなかったので、娘と一緒に調べることになりました。
正直私は社会人になるまで全然読書をして来なかったので、読書の力は凄いなと改めて感心させられました。

読書スイッチはどこにあるのか

だいぶ話が逸れましたが、現在娘は、講談社やカドカワのジュニア文庫を中心に読んでいます。振り仮名さえあれば何でも読めるという感じになってきています。

2週間に1回は図書館に行って、毎回10冊程度借りてきます。本人はもっと借りたいようですが、20冊近く借りると運ぶのも大変なので10冊程度に留めています。私には理解できないのですが、返却日より前に借りた本を全て読み終わると、もう一度読み直したりしています。

では何で一年足らずでこんなに本を読むようになったのだろうと振り返ると、明確な答えは無いものの、いくつかきっかけになるものはあったのではないかなと思います。
挙げてみると、

・読み聞かせで本との距離が近かった
・はじめて読了するのに丁度良いシリーズがあった
・アニメ化など、動機付けになる出来事があった
・読みたいと思った時にスムーズに本が供給された
・リビングに本棚があり、退屈した時にすぐに手に取れるようになっていた
・図書館が近くにあって定常的に通うことができた
・時々ジャンルの違う本に出会う機会を与えられた

といったところでしょうか。
整理すると環境・機会・動機の3つにまとまると思うのですが、親として出来ることは環境までです。いつか読むであろう本買って置いておいたり、リビングのソファーの横に本棚を置いて手に取りやすくしたり、親が自ら本を読む姿を見せたりといったことでそれにあたると思います。
残りの機会動機については、コントロールが難しく、私も上の娘で出来たことを下の息子で再現できるかと言われれば自信が無いです。
ただ、親としてもう一つ出来る事があるとすれば、それは観察かなと思います。
機会はいつ来るか分かりませんし、本人が読んでみようかと思う瞬間となるとさらに分かりません。
でも、いつか来るであろうその瞬間を逃さず、動機付いた瞬間に最大限の投資するためには、日々の子どもとの会話を通じて、関心の変化に敏感になっていかなければならないのかもしれません。

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