見出し画像

#映画の街・神戸 vol.5「映画で知る戦争と神戸」


こんにちは!映画チア部(てつ)です!

先日の記事では『スパイの妻 劇場版』について、少し紹介しました!

しかし、もう少し「本作について語りたい!!」と思う気持ちが増してしまったので、今回は『スパイの妻 劇場版』と、同じく「神戸と戦争」が深い関わりを持つ映画、全8作品をご紹介!!

近年大ヒットしたあの作品から、いまこそ知ってほしい隠れた名作まで。

『スパイの妻 劇場版』を観た人も、そうでない人も、ぜひ、この機会に、今回の記事を読んでいただければ、幸いです。



『スパイの妻 劇場版』

画像8

出典:https://eiga.com/movie/93378/photo/

あらすじ:

太平洋戦争が迫る1940年の神戸。貿易会社を営む福原優作と妻・聡子は、豪華な洋館で幸せな暮らしを続けていた。ある日、甥で会社の部下でもある竹下文雄と共に満州へ渡航した優作。しかし、予定外の長期滞在ののち、帰ってきた彼には、重大な秘密があった。幼馴染の憲兵・津森から、夫へのある疑いを尋ねられた聡子は、思いもよらぬ行動へ出る……。

感想:

第77回ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞(監督賞)受賞と世界でも高く評価された名匠・黒沢清監督の最新作。神戸を舞台にした傑作『ハッピーアワー』を手掛けた濱口竜介・野原位コンビの脚本によって描き出されたのは、「夫婦の愛」「正義」「信じること」についてのサスペンス劇。神戸にゆかりの深い製作陣ゆえに描かれた当時の街の様子にも心が踊る傑作です。

ロケ地:旧グッゲンハイム邸、旧加藤海運本社ビル、神戸市市営地下鉄名谷車輌基地、神戸税関など。

[上映情報]

神戸国際松竹

OSシネマズ 神戸ハーバーランド

TOHOシネマズ西宮OS



『火垂るの墓』

画像1

出典:https://www.amazon.co.jp/火垂るの墓-完全保存版-DVD-辰巳努/dp/B00196P8PQ

あらすじ:

作家・野坂昭如さんの戦争体験を題材にした短編小説『火垂るの墓』。その作品を基にジブリがアニメ化した普遍的名作。両親を亡くした兄妹が終戦前後の混乱に巻き込まれていく……。

感想:

後世に残る戦争映画の名作。重たく辛い内容ながら、一生に一度は観ておいて損はない作品。美しいアニメーションゆえに浮かび上がる戦時中の悲惨さ兄妹が辿る悲劇。アメリカの雑誌でクエンティン・タランティーノが第二次世界大戦映画ベストの第10位に選んだほか、ハリウッド・リポーターが選出する大人向けアニメ映画の第7位に選ばれるなど、日本のみならず、世界的にも高く評価されている一作です。

舞台:御影、JR神戸駅、阪急神戸三宮駅など。

[販売情報]



『火垂るの墓』(実写)

画像2

出典:https://eiga.com/movie/53562/photo/

あらすじ:

歴史に残る名作を実写でリメイクした意欲作。製作陣の多くは、戦争を経験していない世代であり、過去を追体験するように制作したという。『火垂るの墓』の世界観を実写で映像化したことで、より鮮明に、当時の状況が再現されている。

感想:

名作であるアニメ版の印象が強いため、いまいち知名度が低い本作。事実、アニメ版と比べると、所々の違いから気になってしまう部分も多いものの、当時の様子を実写で再現した試みそのものは評価されるべき一作とも……。アニメ版とは異なるラストにも注目してほしい作品です。

ロケ地:神戸大学(六甲台キャンパス)、ふたば学舎(旧二葉小学校)など。

[配信情報]

TSUTAYA TV

ビデオマーケット



『少年H』

画像3

出典:https://eiga.com/movie/57981/photo/

あらすじ:

神戸出身の作家・妹尾河童さんが自身の戦争体験を基に執筆した自伝的小説の映画化。洋服屋の家庭に生まれた少年・妹尾肇(通称:少年H)の視点から、戦時中の神戸を描く。

感想:

原作者の意向から度重なるオファーが断られてきたものの、製作陣の熱意によって、ついに実現したという名作小説の初映画化。そのため、『鉄道員(ぽっぽや)』『あなたへ』の降旗康男監督や、音楽・池頼広さん×脚本・小沢良太さんの相棒コンビなど、製作陣がかなり豪華。また、水谷豊さん、伊藤蘭さん、小栗旬さん、原田泰造さんと、役者陣の名演も光る一作で、当時の様子を完全に再現した街の様子や空気感には、原作者も太鼓判を押していたそう。戦争という厳しい時代の中で懸命に生きる人々の姿に、現代を生きる私たちも勇気をもらえる戦争映画の傑作です。

ロケ地:萌黄の館(北野町)、旧神戸居留地十五番館、神戸市営地下鉄名谷車輌基地、神戸迎賓館 旧西尾邸など。

[販売情報]

amazon



『太陽の子 てだのふぁ』

画像5

出典:https://eiga.com/movie/37671/gallery/

あらすじ:

灰谷健次郎の児童文学を原作にした人間ドラマ。舞台は1980年代の神戸、沖縄料理店「てだのふぁ沖縄亭」の一人娘・ふうちゃんを主人公に、彼女が様々な人々との交流を通し、「沖縄での戦争」や「いまなお残る差別」について学んでいく物語。公開年のキネマ旬報では、日本映画ベストテンに選出された。

感想:

今とは全く異なる神戸の風景が印象的な一作。神戸を舞台にしながらも、戦争が沖縄にもたらした悲劇を知ることができ、主人公・ふぅちゃんと同じ目線で「沖縄と戦争」について考えることが出来る良質ドラマ。40年前の作品ゆえ、若干、物語の展開や演出に時代の流れを感じるものの、今だからこそ、改めて知られてほしい隠れた名作

ロケ地:ポートタワー、ポートアイランド、花隈城趾公園、神戸市立兵庫中学校、六甲山、諏訪山展望台、川崎病院、神戸港、兵庫港など。

[販売情報]

amazon



以下では、神戸が舞台ではないものの、神戸ロケが行われた3本の戦争映画を紹介します!!



『この国の空』

画像6

出典:https://eiga.com/movie/81191/photo/

あらすじ:

近年では、『火口のふたり』も手掛けていた荒井晴彦監督による戦争ドラマ。太平洋戦争の末期、過酷な生活を送る中で隣家に住む妻帯者・市毛に恋をしてしまった19歳の学校教師・里子の許されない恋を描く。谷崎潤一郎賞を受賞した作家・高井有一さんの小説が原作になっている。

感想:

『火垂るの墓』にも共通する戦時中の過酷な暮らしを描きつつ、禁断の恋に堕ちていく主人公の姿が衝撃的な作品。強く惹かれていく男女を演じた二階堂ふみさんと長谷川博己さんの熱演が印象的で、戦争ドラマな前半から、ガラリと恋愛物へと変わっていく後半の展開との差にも注目してほしい一作。

ロケ地:神戸ワイナリー(農業公園)民具農具館など。

[配信情報]

U-NEXT



『日本のいちばん長い日』

画像7

出典:https://eiga.com/movie/81487/photo/

あらすじ:

半藤一利によるノンフィクション書籍を基に作られた2度目の映画版。日本の終戦を告げることになった玉音放送。その直前に起きた軍部のクーデター・宮城事件を中心に、24時間にわたる人々の混乱を描く。

感想:

1967年版とは異なり、原作小説以外の要素も付け加えることで、より当時のリアリティを追求しようと試みた意欲作。前作から、数十年の時を経て作られた作品ゆえに、役者陣やセリフなどが現代の人々でも親しみやすくなっているのが特徴。『シン・ゴジラ』に多大な影響を与えた1度目の映画版が名作であることに変わりはないですが、その前に本作を観ておくと、より内容が掴みやすくなるほか、日本史の勉強としても最適な一作。

ロケ地:神戸ワイナリー(農業公園)民具農具館など。

[配信情報]

amazon prime

Netflix

U-NEXT

FOD



『アルキメデスの大戦』

画像4

出典:https://eiga.com/movie/89507/photo/

あらすじ:

VFXの巨匠・山崎貴監督が人気漫画を実写化した戦争ドラマ。日米対立が激化する昭和8年を舞台に、数学の天才・櫂直(かいただし)が巨大戦艦建造にかかる莫大な費用を明らかにし、政府の陰謀に挑むさまを描く。巨大戦艦・大和や海軍少将・山本五十六など、太平洋戦争を語るには欠かせない存在も多数登場。

感想:

菅田将暉扮する奇人・櫂直を主演に据えることで、若者が敬遠しがちな戦争物という題材を、見事にエンターテインメント映画へと昇華させた傑作。一人の青年が政府の陰謀に挑むさまを、恋人との恋愛要素や実在の人物を絡めた歴史ドラマも踏まえて展開しつつ、最後には痛烈な戦争批判へと繋がっていく語り口がお見事。戦争映画に興味がない若い世代にこそ観てほしい、近年の日本映画屈指の娯楽大作です。

ロケ地: 神戸税関、旧乾邸、海岸ビルヂング、旧加藤海運本社ビルなど。

[販売情報]

amazon



以上、「神戸と映画」にまつわる8本の作品を紹介しました!!


終戦から75年、戦争を経験していない僕たちの世代こそ、知っておきたい当時の記憶。

時代が経つにつれ、想像することが難しくなっていく出来事だからこそ、せめて、映画を観る中でも、その理解を深めていきたいものです。

ぜひ、『スパイの妻 劇場版』をきっかけに、当時の「街」の様子「歴史」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか……?


それでは、また、お会いしましょう。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございました!


追伸

以前の記事(「#映画の街・神戸 vol.2「神戸フィルムオフィスって何??」)で取り上げた神戸フィルムオフィスさんの特集上映の様子や、監督のコメント映像・舞台挨拶の映像が以下のページから確認できるようになったようです!お時間のある方は、ぜひ、こちらも要チェック!!


執筆:映画チア部 神戸本部 大矢 哲紀

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?