PFASとはどのような物質か?①原爆製造から家庭に広がったPFAS
みなさんPFASとは何か知ってますか?
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PFASとは化学結合物です。
ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の略称です。
地下水や河川、土壌を汚染し私たちの飲料水にも含まれているPFASです。
人体に蓄積し毒性があるため、健康被害が心配されています。
どのようにして生まれたのでしょうか?
1930年代、アメリカデュポン社の研究所に勤める科学者が冷蔵庫の冷却剤の改良を試みていて偶然驚くほどよくすべる白いロウ状の粉ができました。
試験の結果、分子構造がほとんど壊れないこの物質は後に「テフロン」という商標でよばれるようになります。
やがてこの素材は原子爆弾の製造に使われます。
そのためこの合成化学物質は戦時下で軍の機密として扱われました。
戦後デュポン社は、この物質がさまざまな産業や家庭の用途に適していることを発見しました。
ただしひとつ問題点がありました。
テフロンは固まりやすく気泡を形成しやすいため、成型に難点があることでした。
そしてあらたに開発されたのがPFOA=C8でした。
3M(旧ミネソタ鉱工業会社)が製造したPFOAは固いテフロンを乳化し、コート剤として扱いやすく安価でした。
1950年代以降、テフロンのすべるやすい特性は、目玉焼きが焦げ付かないフライパン、ご飯がくっつかない釜など台所用品に生かされました。
1953年PFASの別の用途が新たに発見されます。
撥油性や撥水性をもっているのです。
ほどなく3Mは新製品「スコッチガード」を発表します。
主要な成分はPFOSでした。
これを用いて、汚れや水をよせつけない生地や靴、カーペットなどの織物、家具のカバーや自動車の座席を製造します。
さらにPFASコート加工した紙が、ハンバーガーや揚げ物、電子レンジで作るポップコーンなど油分の多い食品の包装に用いられるようになります。
化粧品会社はPFASの撥油性能をコンシーラーやファンデーションなどに利用しました。
1960年代初頭、米海軍と3Mが立ち上げた共同企画は、PFASを使って、酸素を遮断することで火災をすばやく鎮火できる泡消火剤を開発しました。
この泡消火剤は、水成膜泡消火剤(AFFF)と呼ばれ、ペンタゴンの指令により、すべての艦船、陸上の格納庫、燃料貯蔵地、緊急車両に設置されることになりました。
米国の民間空港もAFFFを採用し、日本を含む他国の軍事基地や空港がこれに続きました。
また石油化学工場や立体駐車場など可燃性化学物質の保管場所にも採用され、日本では1万1千トンが保管されています。
PFASはさまざまな産業にも使われています。金属メッキ工場では、処理水槽にPFASフィルム加工を施して有毒ガスの発生を抑えています。
またエレクトロニクス工場では金属加工工程で使用して汚れに強いタッチスクリーンを製造し、航空機産業は油圧油をよりなめらかに流れやすくするのに用いています。
日本でPFASの製造と使用に関わる主要な企業は、ダイキン工業、AGC株式会社(旧旭硝子)、三井・ケマーズフロロプロダクツ株式会社などです。
PFASは米国の主要産業に莫大な利益をもたらしました。
1990年代、テフロンはデュポン社に年間10億ドル、スコッチガードは3M に3億2500万ドルの売り上げをもたらしました。
発明以来、PFASは家庭から学校、職場、趣味の分野までわたしたちの日常生活のあらゆる場面に入り込んでいるのです。
参考文献
「永遠の化学物質 水のPFAS汚染」岩波ブックレット
執筆者、ゆこりん