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映画「シン・ちむどんどん」を観た

 ラッパーのダースレイダーさんと時事芸人のプチ鹿島さんが毎週金曜昼に配信しているYouTube番組「ヒルカラナンデス」から派生した映画の第二弾です。

 「ヒルカラナンデス」はコロナ禍でステイホーム真っ只中の2020年から始まり、私は毎回欠かさず観て(聞いて)おりますが、御二人の卓越した話術から繰り出される「床屋政談」は至高の域にまで達しています。

 この配信で「選挙を追いかける(野次馬する)」という流れが生まれ、2021年の衆院選香川1区と2022年の参院選大阪・京都選挙区を追った模様を映画化したのが「劇場版 センキョナンデス」。

 そして今回、2022年の沖縄県知事選を中心とした内容が映画第二弾「シン・ちむどんどん」となりました。

 私の故郷・沖縄を取り上げた内容というコトで身近に感じつつも実は私の中では複雑な距離感で有りまして。

 確かに私は生まれも育ちも沖縄ですが諸事情で26年前に長野に移住し、たまに帰省してはその度に街の変化に驚くような現状。 沖縄好きな観光客や沖縄取材で訪れる報道の方が私なんかよりよっぽど今の沖縄に詳しいでしょう。
 一方で、沖縄という場で生まれ育ったものとして、飛行機の爆音でテレビが聞こえない日常や、かつて行われた県道104号線越え実弾射撃訓練の振動が10km以上離れた実家にも響いてくる感覚、通っていた小学校の向かいに米軍基地が有り、校庭を低空飛行で通過してから基地に着陸する様子なども肌感覚として記憶している。
 そして現在、フリーライターを名乗って取材を重ねた結果、最も詳しいのが選挙の模様であるという、歪な環境下の中で今回の映画を配信で観ました。

率直に言って、前作の100倍良かったです。

 前作は構成上「選挙取材日誌」の枠に留まっていたものが今回は「沖縄」という題材と知事選後に起こった “騒動” が相まって、選挙の枠を超えた、ドキュメンタリー作品としての構成になっており、それが「選挙」という、結末の見えたストーリーを改めて観るのではない、結末が気になる「映画」として、よりキモチが作品に向けるコトが出来ました。

 この映画では出演の両名が様々な方にインタビューされていますが、当然ながら辺野古基地問題を中心とした「米軍」という「フィルター」を通して「沖縄」を見る。 または「沖縄」という「フィルター」を通して「日本」を見る。 という形になっています。 それがこの作品のメインテーマであると同時に、フィルターを通すコトで “本当の問題” と正面立って向き合わずに映画を見られる構図になっていたのです。

 ところが最後の最後のインタビュー相手が、そのフィルターを全部取っ払って “本当の問題” と直接向き合うよう問いかける。 その、喉元にナイフを突きつけられたような恐怖感のまま、数分後にはエンディングを迎えてしまう。 その急転直下こそが、この映画の「芯」であると私は感じました。


 コチラから配信チケットを購入でき、最長で1か月間アーカイブが観られます。 選挙好きな人も、ラップ好きな人も、ドキュメンタリー好きな人も、全部ひっくるめて多くの方に観ていただいて、突きつけられたナイフが何なのかを体感していただきたい作品です。




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