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今週の選挙(2024 7.21投票)


 今週は9件の選挙を御紹介。

 と、本数は少し少ないですが、とにかく内容が、濃い!! 書き上げたら過去最大の文字数となりました。 今週は地方選挙の醍醐味を存分に味わえると思いますので、長いですが是非是非最後まで読んでください!!




◎福島県・須賀川市長選挙

 4期務めた現職が引退を表明し、次の座を元市議会副議長と前市議会議長の新人2人で争う、一騎打ちです。

 まず申し上げなければならないのは、4期務めて今回引退する現職は61歳で年齢的にはまだまだ出来ると見えるのに引退したコト。 2選以降は無投票で権力が集中している可能性が高く、これ以上続けると誰も逆らえなくなって市政が停滞する恐れが有りましたがギリギリで座を譲ってくれたコトはリスペクトです。
 若い首長(現職は初当選時45歳)を選ぶと多選により独裁化となる構図が出来上がるケースが起こり得るので、多選にならないように有権者も首長自身も気をつけていただきたいものです。

 で、次の市長を目指す2人ですが、元副議長は3期市議を務めましたが昨年の市議選には不出馬。 年齢も53歳と若いためこの市長選に狙いを定めていたものと思われます。 一方、前議長は4期13年市議を務める現職でしたが辞職し市長選に挑みます。
 両者は2011年と2015年に市議選で戦っていますが、いずれも前議長が多く票を獲っていますが元副議長には自民立憲国会議員からの為書きが貼られ、HPや各種SNSも稼働して強力に選挙運動を進めているようです。
 ただ、この選挙は当初現職の県議(自民党公認)が出馬予定でしたが出馬を取りやめ、前議長支援を表明。 応援演説に “ヒゲの佐藤” 参院議員が駆けつけたようで、どちらが勝ってもおかしくありません。 さぁ、どうなりますか。


◎福島県・須賀川市議会議員補欠選挙(定数1/2人)

 市長選に出るために辞職して空いた議席を埋める選挙で、元青果業の男性と会社役員の女性の一騎打ちで争います。

 市長選の候補が50代と60代前半に対し補選の候補が共に70代中盤というのが面白いトコロですが、立候補説明会には補選候補予定者が誰も来なかったようなので共に急遽立候補を決断したものと思われます。
 男性候補は市長選に出ている元副議長と名字が同じなため、“ごっつぁん票” が流れて来る可能性が有りますが、選挙公報を見ると思いっきり「手書き」なので、ちゃんと作り込んだ公報を出している女性候補の方がしっかりと選挙を戦っているように見えますが、果たして。


◎栃木県・小山市長選挙

 2期目を目指す現職と6期務めた市議を辞して挑む新人の一騎打ちです。

 栃木県第二の都市である小山市。 現職は前回現職を破り初当選し今回の選挙は盤石・・・ というワケにはいかず、6期も市議を務めた自民の市議が立候補してきました。
 新人は発表だと「無所属」になっていますが自民党所属ですし栃木の自民国会議員や近隣自治体の首長がガッツリ応援し、市議も27人中17~20人が新人支持に回っているとのコトで組織も支援も万全。 告示前の時点でかなりの量の二連ポスターが貼られ、市議は某匿名掲示板にも書き込んでいるというウワサが出るほどの熱の入れようです。
 そうなると現職は「非自民」となり立憲や共産が支援しているというコトですが、組織力総動員の新人とのコントラストでそう映るのか実際そうなのか分かりませんが先に立候補表明したにも関わらず「選挙運動が遅れた」という声が出ているようで、かなり厳しい戦いになると思われます。

 ところで栃木といえば、

 先月行われた鹿沼市長選で非自民の新人が自公推薦の新人を破るというコトがあり(※当選した非自民候補は退任した現職の後継候補でした)、更に、

自公候補陣営は政策チラシに載っている画が「スラムダンク」をパクっていると全国に報じられ恥の上塗りを受けたという屈辱を味わっただけに、この選挙は本気で獲りに来ていると思われます。
 思えば鹿沼市長選が行われた6月上旬は自民国会議員の裏金問題に対する風当たりが最も強かった時期でした。 そこから沖縄県議選や東京都知事選などを経て風当たりが弱まったと言われる中で迎える今回の選挙。 この結果は国政に影響を与えると思われる、重要な選挙です。


◎千葉県・印西市長選挙

 4期目を目指す現職に新人5人が挑む、全員無所属の選挙です。

 千葉ニュータウンの拠点都市で、都心通勤圏なため子育て世帯が集まり成長著しいと言われる印西市。 前回は現職と当時N国で同月(!)に行われた都議補選で「アベノマスクブラ」を披露した現港区議との一騎打ちというコトで盛り下がりまくったのですが、今回は新人が5人も出てくるという大混戦の選挙に。

 この選挙は、面白いです。

 新人5人中3人が市議を辞して立候補しており、昨年の市議選(定数22)で1位、2位、5位と上位当選した人が出ているため、いずれも強そうです。
 1位の人は2期目途中で市長選に出た30代女性(唯一の女性候補)。 市議時代は自民党公認でした。 SNSを見る限り最小限のスタッフで活動しており政党や組織の支援は見えません。
 2位の人は1期目途中で市長選に出た元経産省の20代男性。 最年少候補で「完全無所属」をアピールしていますが市議5人が応援しているようで、幟や選挙カーを見ても「どっから金でてるんだ?」と思っちゃうほどしっかりと作り込んでいます。 折しも都知事選で某サイコパス(または某エリマキトカゲ)が大ブレイクした直後なだけに、似たような立ち位置、見た目であるこの候補が抜き出る可能性も大アリです。
 5位の人は5期目途中で立候補した50代男性。 市長選は2度目の挑戦で1度目は現職に約3千票差で敗れており、リベンジ戦でも有ります。「給付と減税!」と随分大きく出た公約を掲げていますが、前述の通り子育て世帯の増加で人口増なので予算は潤沢な模様。 市議会議員数人のほか香取市長や他選挙区の県議などの応援を受けており、事務所には臼井正一参院議員の為書きが貼られているのを確認できました。

 残りの2人のうち1人は元県議の40代男性。 といっても船橋市選挙区選出で立憲公認の県議でした。 2015年から2期務め昨年の県議選には不出馬。 特に支持団体も無さそうで “一枚落ち” 感は否めませんが、どうやら市長になる以上の目的が有るようです。 それについては後程・・・ 
 そして唯一の選挙初挑戦となるコンサルティング会社代表の30代男性。 他候補に比べ実績が見劣りするように映りますが、政策アドバイザーの経験も有るなど経歴は華やか。 市内全世帯にマニュフェスト冊子(ペライチの紙ではない大ボリュームなもの)を配ったようでかなり本気。 兵庫県芦屋市長や大阪府四条畷市長、新潟県津南町長など有名な若い首長の応援を受けているようで、台風の目になりそうです。

 ・・・と、ここまで見てお気づきかもしれませんが、新人候補に政党色が見えません。 新人候補の中で経歴だったり年代だったりが被りまくっており、そこで争っている間に何だかんだと77歳現職がスルリと抜け出しそうな雰囲気が有り、序盤の情勢では実際にリードしているとの報が有ります。 事務所の写真を見ると近隣自治体首長(香取市長含む)や県の国会議員(臼井参院議員含む)から贈られた為書きが壁にズラリと並び、この光景が新しさをアピールする新人候補が多数の中では良くも悪くも古式ゆかしい安心感を感じてしまうのは選挙クラスタの悲しい性でしょうか。

 そして、この選挙で最も恐ろしいのは、当選に必要な得票率25%に誰も達せず「再選挙」になる可能性が有るコト。 それも含め何が起こるか、大・大注目の選挙です。


◎千葉県・印西市議会議員補欠選挙(定数3/6人)

 市長選に出馬した3候補の議席を埋める選挙で、立憲公認候補1人と無所属の5人で争います。

 唯一の政党公認候補である立憲公認候補ですが、「補選」って何故か政党候補に弱いのですよね。 特に立憲と共産は。 実際この候補も昨年の市議選に無所属で出馬してブービー落選している人で、なんでこの人に「公認」という金看板を与えたのか不明です。 無駄に落選重ねて恥晒すコトにならなければイイのですが・・・

 残りの5人は元職2人と新人3人ですが、特筆すべきは市長選に出ている元県議のお連れ合いの女性が新人で立候補しているコト。常に二人一緒に活動している様子がSNSにバンバン載せており、そのタイムラインを見ていると “カップル系YouTuber” を見ているようです(笑) 恐らく元県議は市議補選にお連れ合いさんを当選させるために市長選に出て “ニコイチ” の選挙運動を展開するのが目的だと思われます。 なので、元県議の市長選当選は無さそうですね。
 あとの新人2人は「空手日本一」の30代女性と「永平寺で修業を積んだ」40代男性。 元職は80歳と73歳の男性です。 選挙公報を見ると70代の元職はしっかりしていそうなので、その人と無所属新人で争いそうな気配。 やはり立憲公認は厳しそうに見えるのですが、「公認」パワーで当選できるでしょうか・・・?


◎福井県・小浜市長選挙

 5期目を目指す現職に2期務めた市議を辞した新人が挑む一騎打ちです。

 北陸新幹線の福井駅以西を巡り琵琶湖沿いを通る2ルートと「小浜・京都ルート」で争っている小浜市ですが、市長選が行われるのは20年ぶりという行政の関心が低調な自治体なようです。
 と、いうコトは、現職は初当選から一度も選挙を戦ったコトが無く、県議時代の2007年以来の選挙です。 よくそんな状況がまかり通ってきたなぁ・・・

 現職には福井県知事や稲田朋美衆院議員や山崎正昭参院議員から為書きが贈られており、新人は地域政党「ふくいの党」の立ち上げメンバーです。 選挙公報を見ると新幹線小浜ルートの推進を始め両候補大差が無いように見えるため、現職の信任投票、そして「自民」vs「ふくいの党」の選挙だと思われます。 序盤の情勢は横一線のようですが、結果や如何に。

 あっ、そういえばこんなニュースも有りました。

 バスに期日前投票所を設置して高校などを巡回するようですが、投票率アップのために取り組んでいるコトは素晴らしいとは思いますが、もう少し落ち着いた場所で投票させてあげてよ、とも思います・・・


◎福井県・小浜市議会議員補欠選挙(定数1/2人)

 市長選に出た議員の席を埋める選挙で、会社役員の50代男性とカギ修理業を営む50代女性の一騎打ちです。

 現在小浜市議会は定数17に対し女性議員は僅か2人。 ココは女性候補に頑張ってほしいトコロですが、選挙公報を見ると男性候補が強そうに見えます。 どちらにも党派性は無さそうに見えますが、果たしてどちらが勝つでしょうか。


◎鳥取県・江府町長選挙

 3期目を目指す現職に会社員の新人が挑む一騎打ちです。

 コチラの現職も初当選から全て無投票当選で、しかも他の政治キャリアが無いので初の選挙戦となります。 人口が最も少ない鳥取県で最も人口が少ない自治体が江府町(約2,500人)。 行政の停滞は町の停滞に繋がるのでここらで刷新を・・・ と行きたいトコですが、相手候補は現職より10歳年上。 どうやら「無投票阻止」のために立候補したようで、それは心からリスペクトなのですが、どうやら大勢は決まっているように見えます。

 ところで、この選挙で「全国初」という試みが行われます。

 全国で見られる投票所の削減。 人口減少が原因ならば、だからこそ投票所が遠くならないように削減しちゃダメだろと思っていましたが、投票所に必要な「立会人」が確保できないという理由も有るようで、その対策として「オンライン投票立ち会い」というシステムを導入するとのコト。
 立会人は「2人以上5人以下(期日前投票は2人)」と決まっているようですが、投票所には1人いてもう1人を会議室からモニターで監視するという形です。 今回は期日前投票で導入するようですがコレが本投票でも実施出来れば投票所削減問題も解消できる、かもしれません。 こういったトライは大歓迎です。


◎沖縄県・那覇市議会議員補欠選挙(定数3/7人)

 先月行われた県議選に多数の候補が出馬したために空いた議席を埋める選挙で、元職4人、新人6人が7議席を争います。

 辞職した議員の党派性は沖縄社会大衆党(社大)が2人、自民、自民系無所属、公明、立憲、(県政に対し)中立の議員が1人ずつ。 それに対し今回の候補は、

・自民(市議を辞して県議選に出たが落選した人)
・立憲(市議を県議選に出たが落選した人)
・共産(前回の市議選で落選した人)
・社民(新人で県議選に出馬し一部地元紙で当確が報じられるも誤報だった人)、
・維新(前回の市議選は無所属で落選、2022年の県議補選では参政党から出て最下位落選で今回は維新から出る人)

が1人ずつ。  一方無所属の候補は、

・2022年の県議補選で自民公認で出て落選したタレント
・2022年の市議補選で落選した自民系の人
・公報に那覇市長とのツーショットを載せてる自民系の30代女性の新人
・会社代表取締役らしいが情報が全く出て来ない30代男性の新人
・今回は主張を隠しているけど、元を辿れば反ワクの人

 と、「自民系だらけの大補欠選挙大会」となっております。 
 この構図だと落選しそうな人を数えるのが早いので考えて見ますれば、無所属の「正体不明」と「反ワク」を外し、選挙に出る度に政党を替えている人も有権者にはバレバレだと思うので、そうなると大体見えてくるかなぁ、と。

 辞職した議員に対して社大と公明が後継候補を出していませんが、社大は県議選で議席を増やしたのでこの選挙の優先順位が下がったか単純に成り手が見つからないか。 公明は2か月連続で選挙となると「学会の皆様」が疲弊してお怒りになる可能性が有るので避けたのだと勝手に見立てています。

 ただ、だからといって自民系市議が多数当選しそうなのを黙って見過ごすのも如何なものかと思いますが、県議選の結果を思い出すと仕方が無いのかもしれませんね。 それにしても・・・


以上です
候補者の皆様の御健闘をお祈り申し上げます


※本日より、勝手ながら「今週の選挙」「選挙結果振り返り」記事のエンディングテーマを載せるコトにしました。 是非聴いて下さい♬



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