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【ボスゴリラーの野望X#DX】獺祭関係の文献を読み漁ってまとめてみた/後編

こんにちはボスゴリラーこと井口です🦍

今回は”獺祭関係の文献を読み漁ってまとめてみた/後編”としてお送りしたいと思います。

その目次は以下の様になっています。

1.どの文献を読んだか?その整理と所感
2.なぜ獺祭まわりの文献を読むのか?クラフトビールとの共通点
3.DXの取り組みと優れているところのまとめ
4.経営の優れているところのまとめ
5.   全体のまとめ。特に製造業が参考になるところ

前編では”3.DXの取り組みと優れているところのまとめ”まで書かせて頂きました。
今回は後半部分


について書きたいと思います。

4.経営の優れているところのまとめ


まず、旭酒造さんの経営では2013年9月期までの10年間で売上高が約10倍になっています。

引用元:変わり続けるという伝統―顧客の絶対的満足を追求する旭酒造の酒造り―

最新の決算で言うと売上高:164億4,900万円(2022年9月期)ですので、直近の9年で売上高は約4.2倍になっています。

前編で書いた様に、製造業の中でも特に市場が縮小傾向にある日本酒業界において、逆にこれほど売上を伸ばしている旭酒造さんに様々な人が注目して、様々な切り口で文献をまとめていています。その中でも特に多いなぁと感じたのは、経営系の論文です。例えば、
・ブルーオーシャン戦略
・顧客満足度の追及
・マーケ・ブランディング戦略
・DX ect.
各々著者が着目している経営手法やその時のトレンドに合わせて、旭酒造さんの経営について研究して論文を書いています。様々な分野での研究対象になる時点で、色々な経営の強みがあると思いますが、「結局、たくさん文献を読んでみて、旭酒造さんの経営の素晴らしさは何なのよ?』と言われると私は以下を1つ選びます。

ビジョン(目指す旭酒造さんの将来像)が明確

かなり抽象的で私的な意見ですが、、、
以下にその内容について噛み砕いて書きたいと思います。

1)旭酒造さんのビジョンとは?
まずは旭酒造さんのビジョンですが、
「酔うため 売るための酒ではなく 味わう酒を求めて」 です。

ただ、旭酒造さんの方では明確にビジョンと言う定義はしてなさそうです。ホームページにもトップページ(中段)ぐらいに出てきますが、ビジョンとしての掲載ではありません。また、私が見た限りインタビューでもビジョンとしての言及はありませんでした(私が見つけられてないだけかもしれません)。

経営的な言葉にはビジョンもそうですが、理念、ミッション、クレド、行動指針など色んな言葉の定義があります。どれが大切な言葉と言うことでは決してなく、その会社が(もっと言うと社長が)どの言葉をどれぐらい大切にして、そして実践してるかが重要だと私は感じています。

2)旭酒造さんのビジョンの何が凄いか?

「酔うため 売るための酒ではなく 味わう酒を求めて」

まず、分かり易くないですか? 旭酒造さんは先代までは安い大衆向けの日本酒をつくってきた背景があります。それを辞めて、高価格帯の純米大吟醸に注力していくのですが、それもまずはこのビジョンを掲げてからの施策ではないか?と思います。

百歩譲って獺祭という商品ありきで、後から出来たビジョンであったとしてもその大義は分かり易いですよね?!自社が目指す姿だけではなくて、それを目指す理由、そしてそれまでの背景に込められた想いまでが伝わってきます。関係のない私にまで伝わってくるので、旭酒造さんの社員さんにはとてもイメージし易く、響くものがあると思います。

そして、ビジョンから商品作りなどの各種施策への実践に続きます。獺祭への投資も非常に大きいだろうし、試行錯誤もとんでもない回数されていると思います。杜氏に頼らないデータを活用した醸造であったり、顧客満足度を追及することにおいても全ては、”味わう酒を求めて”の1点のビジョン(目指す姿)に紐づいた施策になっています。

つまり、旭酒造さんのビジョンの凄さは、
1.目指す姿、目指す理由、目指す背景・想いにおいて分かり易い
2.トップが強烈な想いをもって実践している
この2点だと思います。私も自社のビジョンを見直す学びになりました。

5.   全体のまとめ。特に製造業が参考になるところ


前編と今回の後編を通じて、以下のことを書いてきました。

1.どの文献を読んだか?その整理と所感
2.なぜ獺祭まわりの文献を読むのか?クラフトビールとの共通点
3.DXの取り組みと優れているところのまとめ
4.経営の優れているところのまとめ
5.   全体のまとめ。特に製造業が参考になるところ

市場環境としては大変厳しい日本酒業界において、逆に売上を大きく伸ばしている旭酒造さんは参考になるところが沢山ありましたが、その中でも特に製造業に参考になるのは以下の2点でないかと考えます。
①.ビジョン(目指す将来像)の設定
②.投資箇所の明確化 

まず、①.ビジョン(目指す将来像)の設定 については、前述した通りです。分かり易いビジョンを掲げて、それをトップが強烈な想いをもって実践することは経営的に効果的で、かつ効率的です。

そして、そのビジョン(目指す将来像)に向けての投資になるわけですが、まずは杜氏さんにお金を掛ける。つまり一流の杜氏を呼んでお酒を創るという従来当たり前だった投資をやらない判断をしています。その代わりにデータ活用した杜氏を超える日本酒づくりに投資をしています。その中でも、人でやる作業と機械やシステムがやる作業を明確にすることが、投資効果を非常に高めていると言えると思います。

旭酒造さんは従来差別化出来る技術やノウハウをもった会社でなかったと言えます。加えて厳しい市場環境の中でもビジョンを設定して、投資箇所を明確にして飛躍的に成長出来ています。この事例は、製造業のみならず全ての経営に参考になる事例だと感じました。

最後まで読んでくれて有り難う御座います🦍



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