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優れたリーダーは信頼できる右腕がいないのを偶然のせいにするか?

信頼できる仲間がいないと嘆く起業家は、
一度ワンピースを読め。

アニメ映画「ONE PIECE FILM RED」が猛烈に伸びています。

調べてみると、2022年10月11日の段階で、「興収167.7億円 1208万人動員 動員ランキング10週連続首位」という圧倒的数値。

原作の漫画ワンピースは発行部数世界一で、
今や国民的人気作品と言えるでしょう。

ワンピースを見ていると、最強の一味に憧れます。本物の仲間と熱い冒険をしたい。自分を重ねた起業家も多いのでは?

それはさておき、考えてほしいのですが、

この漫画を読んで

「主人公ルフィは“たまたま”優秀で、信頼できる仲間と出会えたからいいよね。俺もそんな仲間がほしい」

とぼやく起業家がいたら、みなさん、なんと答えますか?

< 「起業するのなんか、やめちまえ」 >

僕の勤めるクルーズで、船長にあたる社長、そして、ゾロやナミにあたる創業期のメンバーは口をそろえてこう答えていました。
「起業するのなんか、やめちまえ」

正確には、ワンピースの話ではなかったんですけどね。

ワンピースの連載開始から4年後に創業、IT業界という大海原へ漕ぎ出すことにちなんだ社名の我が社(クルーズ)にも、ワンピースに負けず劣らずの熱い冒険の歴史があります。僕はそこのCBOなどを務めさせていただいてます。

でですね、この間、とある若手起業家や経営者の集まるイベントで登壇の機会をいただいて、組織論について話をしたんです。

そこで一番熱を込めて話したことの一つが、腹の底から信頼できるコアな仲間を持つことの重要性でした。

クルーズには、創業間もない頃からの幹部が今もいて、彼らは社長のことを300%理解している。いわば分身みたいなもので、彼らの存在があって、社長の声がすみずみまで届くのだということを伝えました。

問題の質問はこのあとです。

僕の話が終わって質疑応答の時間に入ったとき、一人の若手起業家が「クルーズさんには“たまたま”優秀で、信頼できる仲間がいたからいいですよね。でも僕にはそんな仲間はいないです。どうしたらいいですか?」と尋ねてくれたのです。

この質問に僕は困ってしまいました。たしかにそうだなとその場では思ったのです。

<起業家の器と覚悟>

「中途半端な覚悟で海賊を相手にしようとするからそうなるんだ」
「……!! 覚悟って何よ
人を簡単に殺してみせる事がそうなの?それが海賊の覚悟…?」
「違う 自分の命を賭ける覚悟だ!!」

ワンピース第10話「”酒場の一件”」

そんなわけで、社内に戻ってこのイベントでの質問のことを社長に話してみたんです。

そしたら、ニヤリとして即答してくれました。
「それじゃあ、古瀬や仲佐(創業初期のメンバー)に聞いてみな。たぶん、どっちも同じことを言うと思うよ。『そんなことを言っている間は、起業家の器じゃない。無理だからやめておいたほうがいい』って」

で、取締役副社長の古瀬に実際聞いてみたら、ゲラゲラ笑ってまさに同じことを言うのです。

「たまたまと思ってる時点で終わってるよ。起業はやめときな」

彼はこうも述べていました。
「あのな、社長が一番働いて、一番苦労してるんだぞ。会社や仲間のために、寝る間も惜しんで働いて、寝る間も惜しんで仲間探しして、1日20時間以上闘ってんだ。その姿見て、付いていかないわけないだろ? そいつに『寝過ぎだ。早く目ェ覚ませ』って言ってやりな」

本当におっしゃる通り。あぁ、どうしてこの言葉をイベントの時に即答できなかったんだろう、と悔しくなります。

実際、今でも小渕さん以上に働いている経営者を僕は見たことがありません。創業から20年以上経った今でも、ですよ。

これらのうちの面々の言葉でわかるように、
仲間は勝手に集まってくるものではないのです。

足が震えるようなでかい夢を掲げて、命を賭けるような覚悟で毎日を生きる。起業家なら、何がなんでも事業を伸ばす。寝る間を惜しんででも、存続させる。そんな熱量がなければ仲間はついてきません。

古臭いと言われるかもしれません。
でも、やっぱりそうなのです。

時代を塗り替えるのなら、狂っているくらいでちょうどいい。

< 「社長の一番大事な仕事は人事だ」 >

とは、うちの社長が昔からよく繰り返していた言葉です。

特に採用、誰を船に乗せるかについては、少し前までずっと社長が最終決定を行ってきました。

さすがに会社の規模がかなり大きくなって、今は僕が人事の最高責任者を託されていますが、それも10年間ずっと社長の秘書のような距離感で仕事をしてからのことです。

とにかく、それくらい人を選ぶことが組織にとって肝となる活動なのです。

以前、出戻り社員の採用やリファラルを社長が一番やっている、という記事を書きましたが、ここからも社長がどれだけ地道に採用につながる動きをしているかが伝わると思います。

仲間にしたいと思った人間には目を光らせて、連絡を取り続ける。頃合いを見て、「うちに来ないか」と声をかける。他ならぬ僕がそうやって入社したうちの一人です。

<最初から優秀なやつを採れるわけがない>

たったひとりの海賊団であるルフィが最初に引き入れた仲間は、悪評ばかり有名で、海賊になる気なんかまったくなかった、それどころか海賊を狩るのが仕事の男でした。

そんな男に光るものを見つけて、しつこく誘って、仲間に引き入れたのです。

一方20年前、創業当社のクルーズに面接を受けにきたのは、社長に眼を飛ばす高校中退ヤンキーと、日本語もおぼつかない変わった趣味の外国人でした。

とにかく安く使える求人媒体をあれこれ使って、街で声かけて、交流会に参加して、できることは全部やって、その結果がこれです。

本格的にSNSが普及する前、ネット界隈が怪しいと思われていた当時、できて間もない無名のIT会社に来てくれる人なんてのは奇人変人ばかりです。

優秀なやつを、なんて言っていられない。

来てくれた人の中に、かすかに光る原石を見つけて磨く。夢を語り、死に物狂いで働く本気の背中を見せて、惚れさせる。

現に、前述の高校中退ヤンキーとは他でもない、その後クルーズの数々の事業を立ち上げ100億200億の事業に伸ばしてきた今の取締役副社長なのですから。

そういう真剣勝負が人事というものなのです。
採用はまぐれなんかではありません。

<今回のワーク>

前回はイントロダクションだったのでなかったのですが、今回からテーマに合致した若手起業家向けのワークを用意しています。

これらは、内容を体験的に理解してもらうための実践的なものです。ぜひ、いくつかでもチャレンジしてみてください。

・今出会っているメンバーの光る部分を思いつくだけ挙げてみよう
・彼らのその側面が最大限引き出されたらどんなことが起きるかを考えてみよう
・仲間にしたいと思えた人にとことん想いを伝えたか振り返ろう
・周りにいる自分より優秀だと思える人を20人名前上げてみよう(転職ニーズあるなし関係なく)
・その人達に3ヶ月に1回は連絡してみよう

それでは、また次回お会いしましょう!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。


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