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経営者の徹底したこだわりが、人の心に火をつける。

ここまで、こだわるのか。
そう感じられる対象に出会った時、人々は魅了される。

細部にまで、本気が宿っている。
そう感じられる時、ブランドへの信頼が生まれる。

たとえば、スティーブ・ジョブズとAppleです。

ジョブズの神がかったスピーチ、iPhoneなどの製品はもちろん、広告、洗練されたショップのデザインに惚れ込んだ人たちが、喜んで毎年のように長蛇の列を作ることを、みなさんも知っていることと思います。

Appleの齧りかけのリンゴのロゴは、今も「先進テクノロジー」や「革新」という言葉の象徴として世界中の人々に記憶されているでしょう。

そのAppleのコーポレートロゴを制作したデザイナーが、日本で初めて手がけたロゴが、僕がCBOとして働いているCROOZのものです。

「これから世界を代表する企業を目指すんだから、ロゴも世界を代表するデザイナーにお願いするべき」というのが社長の小渕(以下、小渕さん)の考えでした。彼の徹底したこだわりもまた、僕を含め、たくさんの人を魅了しています。

僕は、CROOZで10年働いてきました。

入社以来ずっと、採用やブランディングの責任者として、小渕さんとは秘書のような距離感で仕事をしています。

というわけで、今回は、僕が入社する前後にCROOZで経験したことから、“人々を魅了するこだわりの力”をテーマにお話ししたいと思います。

特に若手起業家の方に向けて、書いてみました。

本気でよくしたいと思っているか?

見せかけの情熱は通用しない

『売れる脳科学』

自覚しているかどうかにかかわらず、経営者やリーダーがどれくらい本気かは、仲間やお客さんに伝わっているもの。

リーダーが何を言うかより、サービスの質、ホームページやオフィスのデザイン、普段の行動など、そういったことにどれだけ細かくこだわるかの方が、遥かに雄弁です。

僕が小渕さんに出会ったのは、2003年。
鋭いまなざしと不敵な笑みが忘れられない出会いでした。

残暑を感じる蒸し暑い夜、当時は企業の採用を手伝う営業マンの僕は、創業3年目、社員数わずか15名のクルーズへ。

迎えてくれた小渕さんは、当時すでに「数年で上場する」「六本木ヒルズに移転する」「売上100億」「世界の名だたる会社にしていく」などと豪語。

実際、クルーズの業績は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

彼の成果への異様なこだわりは、その目にも表れていました。

社員でもない僕に対する視線にすら、すべてを見逃すまいとする力強さがあり、焼け尽くされそうだったのを憶えています。

大風呂敷を広げているだけでないことは、すぐにわかりました。

ミクロからマクロまでこだわっているか?

小さなことに無頓着な人は、大切な問題について信頼ができない
                     ーアインシュタイン

それから1年後、彼は僕を信頼し、新卒採用関連で約3,000万円の仕事をくれたのです。もっとも、すぐに後悔するハメになるのですが。

「これでもうよくないですか?」と何度聞きたくなったことか。

小渕さんから引き受けた巨大案件。

新卒採用、パンフレット作り、ホームページ作成、その他諸々のお手伝いなどがその内容だったのですが、一筋縄ではいきませんでした。

写真のシワ一つ、ホームページの読点ひとつ、改行ひとつに至るまで、徹底的に「なぜこうした?」と問われ、何十回とつき返されたのです。

無限にも思える、No!No!No!…

このようなやりとりは、入社する直前から直後にかけての1年でさらにとことん経験することとなりました。

今でこそ、その価値を理解し、僕自身がこうしたことを若手に求める側になっていますが、最初はうんざりでした。ただ、なんとかやり終えた後の、奇跡みたいな成果と、小渕さんの哲学が覗き見えたのが僕の転向のわけです。

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CROOZは、2001年の創業から、受託、モバイル広告、ソーシャルゲーム、ブログ、検索エンジンと、時代の変化に即応した事業を展開し、ほぼすべてで黒字を出し、成長を続けています。

そして、もっともっと「オモシロカッコイイ」を届けるため、さらなる飛躍を追い求めているところです…。

それは理念通りの行動か?

大きなことをしようとする人は、細部を深く考えなければならない

ポール・ヴァレリー『芸術論』

2011年9月、入社は決まっていたものの、まだ社員ではなかった僕に、小渕さんから「土日でいいから新たなビジョンを作るのを手伝ってくれ」とのリクエストを受け、快く引き受けました。

そこからの4ヶ月、毎週土日は朝から晩まで、僕と彼と当時の人事の役員の3人でホテルニューオータニに籠るように。

100時間以上。2人が小渕さんをあらゆる角度から取材し、130ページにわたる議事録を残しました。

小渕さんの原体験や、自分を突き動かしてきた価値観が、心の底から望む未来と一直線につながって、強く引っ張られるような、そんなビジョンを策定することが目的でした。

それでたどり着いたのが、今も理念に使われている「オモシロカッコイイ」という言葉。

もちろん、言葉を見つけて終わりではありません。ここから、いつものやりとりが始まりました。

議事録をもとに、理念を浸透させるための本(OKブック)を3冊作るのですが、小渕さんが完全に納得いくまで、何度も何度も細かい修正を行ったのです。

デザインや文章(漢字ひとつまで)はもちろん、文字のフォントや色味、使い続けてもくたびれにくい強度のある素材を使うこと、扱いやすい大きさ・重さにすることなど、細かいところまでこれでもかというほど議論を交わし、意思を持って決定していきました。

「オモシロカッコイイ」「ミクロからマクロまで粋」を掲げるからには、そこまでこだわらなければならない、ということです。

僕は、CROOZのメンバーとなって初の、このプロジェクトを通して、CROOZの文化を体で知り、より熱烈な彼のファンになってしまいました。

掲げている言葉が、どこを見ても嘘になっていないこと。

入社前から、それがどれだけの信頼や情熱を生み出すかを体感できたのは、幸運でした。

電球はその位置でセクシーか?

OKブックの時のようなこだわりは、CROOZのあらゆる面で表れています。

ホームページの作成、見積もり(相見積もりをとったり)、オフィスのデザイン、サービス…キリがないので、事例はあと二つだけにしましょう。

OKブックプロジェクトを進めている時、同時に新オフィスの内装も着々と進んでいました。

「六本木ヒルズにオフィスを構える」という仲間との約束を果たす意味合いもあったからでしょう。

これまた、休憩スペースの椅子一つのために浜松まで行ったり、数万円単位で値切ったりとこだわりがすごかった。

廊下の電球の位置を決めるために3時間ほどかけたことは、鮮明に憶えています。「諸戸、電球をあと10センチずらせ。そのほうが影がセクシーだ」「はい、たしかにセクシーですね!」w。

これだけこだわれば、オフィスのどこを切り取っても、いくらでも物語を語ることができます。僕らは嬉々として語り、結果、たくさんの記事やTV特集が世に送り出されることとなったのです。

試しに「CROOZ オフィス」で検索していてください。

「それではダメだ」と伝えているか?

私はスティーブを、「感じがいい」とか「意地悪だ」とか、「好意的」か「批判的」かという観点から考えなかった。彼は単純に、私に対して率直だったのだ。

『Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学』

徹底したこだわりを実現するためには、何がなんでもこだわりを伝えなくてはなりません。小渕さんの要求は、いつも本気でした。

入社当初の僕は、1日に10回も20回も「全然ダメだ!」「やり直し!」と怒鳴られたし、半べそかいた経験もありますw。

怒りや喜びなどの素直な感情をストレートに表現するのは、CROOZの特徴的な文化のひとつ。

どれくらいのことをしたのか、どれくらい本気で向き合うべきことかを伝えるためにも、本気で怒る。

率直であることを何より大事にしているのです。

率直に伝える文化がなければ、こだわり抜く文化も作れません。つまらないものを「つまらない」と言える場所でなければ、本気で作り込む習慣が失われていく。

幸いなことに、怒りや酷評を率直に伝える代わりに、水に流すのもが早いのもCROOZの特徴です。前したことの評価を引きずって、生み出すものへのこだわりを濁らせるわけにはいきませんからね。

その日のうちに飲みに行って、乾杯して「これっきり」と伝えたり、後日ユーモアを交えてネタにすることでおわりにしたり。

社長と同等の権限を与える「重要プロジェクト」など、信頼を示す仕組みや言動があって、その上で成り立っていることかと思います。

まとめ

今回のテーマは、“人々を魅了するこだわりの力”でした。

その事例として、CROOZの小渕社長のこだわりが伺える事例を僕の入社前後の出来事から紹介。

エピソードから引き出せる重要な教訓をまとめると、次の通りです。

・こだわり尽くされたものが、人々を魅了し、信頼を生む。
・細部までこだわること。ライトひとつ、椅子ひとつ、改行・読点の一つひとつまで。
・本気で聴き、勇気を持って率直に伝えなければ、本当に良いものを追求できない。

厳しい道かもしれませんが、こだわっていきましょう!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。