見出し画像

【まとめ】購買検討プロセスを前に進める4つのソーシャルナッジ

こんにちは。株式会社スパイスボックスの森竹アルと申します。

広告と人の幸せな共存を目指して、業界の健全な発展に貢献するため日々奮闘しています。
当社では、SNSデータを起点にしたマーケティングソリューションを数多く提供しており、主にSNS領域を主戦場としています。
 
これまで数回に渡り「トラストモードを生むソーシャルナッジデザイン」を題材にした記事を書いてきましたが、本記事はこれまでの内容の「まとめ記事」になります。ポイントをかいつまんで再編集していますので、この記事を読んでいただくだけでも十分ご理解いただける内容になっていますが、全部で4種類あるソーシャルナッジそれぞれの解説記事では「持ち帰りポイント」や事例なども入れていますので、ご興味のある方はぜひ過去の記事も合わせてチェックしてみてください。

トラストモードとはなにか?

はじめに「トラストモード」という言葉を紹介しました。「信用してもらえる状態」という意味です。なぜいま顧客にトラストモードになってもらうことが重要なのか。理由は顧客の買い物の購買検討プロセスと意思決定フローの複雑化にあります。情報があふれかえる現代、1つの買い物をする際に顧客が触れることのできる情報量は膨大です。ただし使える時間は限られているため、顧客は限られた時間で意思決定するための情報を探索することになります。

Google社が提唱する現代の買い物の流れ「バタフライサーキット」

 「ググるよりタグる」などと言われて久しいですが、リアルなクチコミを求めてSNSを軸に情報収集するのは、もはや多くの人に見受けられる一般的な購買検討プロセスです。限られた時間で意思決定をするため、顧客は早く納得できる正解が欲しい、でも買い物で間違いは犯したくない。だからSNSでリアルな情報を探索します。このような購買検討プロセスにおいて、もし信用してもらえる状態(=トラストモード)を生み出せない場合、検討候補から外されてしまうというわけです。

  ソーシャルナッジとはなにか?

次に「ソーシャルナッジ」という言葉を紹介しました。複雑化する購買検討プロセスにおいて、信用に寄与する情報または信用するために顧客が求めている情報は、購買検討における各プロセスに連動して幾つかパターンがあり、それらを総称して「ソーシャルナッジ」と名付けました。

ナッジとは、もともとは行動経済学で使われる用語で意味は「背中をそっと後押しすること」。そのナッジとなる情報をソーシャルメディア上で効果的に供給し、信用してもらえる状態をつくり購買への流れを円滑にするという意味を込めて「ソーシャルナッジ」と呼んでいます。

自社のマーケティングにおいて現段階できちんと機能しているかどうか? をセルフチェックしてみたい方はこちらをご覧ください。

 ここからは、4つのソーシャルナッジを以下の3ポイントに絞って簡潔に紹介していきます。

 一言で言うとどんなものか?
なぜこのソーシャルナッジが重要なのか?
解説記事で学べること。

詳しく知りたいソーシャルナッジがありましたら、それぞれ過去の解説記事へのリンクも貼っていますのでそちらをチェックしてみてください。

ソーシャルナッジ1「強共感」

一言で言うとどんなものか?
「強共感」とは、購買検討プロセスの出会いの段階において強い共感を得ることで、購買意欲を一気に高めたり、突発的なファン化が生じたり、以降の検討プロセスにポジティブな影響を与えることを指します。
 
なぜこのソーシャルナッジが重要なのか?
このソーシャルナッジは、購買検討プロセスの最も左の部分、商品・ブランドを知らなかった人に対して最初の出会いのパート、発見され・認知されるところに位置します。そのため、以降の検討段階において商品・ブランドに対する印象を大きく左右することになります。

ネガティブな印象から入ってしまうと購買してもらうのはなかなかのハードルです。逆に、ポジティブな「共感」の感情から入れると、一気に購買だけでなくファン化まで望めるようになります。

解説記事で学べること。
解説記事では、共感と言っても具体的にどのようにコンテンツ開発すればよいのか、事例と共に紹介しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ソーシャルナッジ2「多面ナラティブ共感」

一言で言うとどんなものか?
「多面ナラティブ共感」とは、複数の人から多面的にブランド語り(ナラティブ)を聞くことで、そのブランド・商品に対する警戒を解き純粋に興味を向けられる状態のことを指します。
 
なぜこのソーシャルナッジが重要なのか?
SNSの発展によって個人もメディアとなり、発信源となっている中、ブランドへの意見やブランド体験のストーリーを顧客の視点で複数の人から伝えられると「よく聞くな」「あの人も言っていたな」と気になるはずです。そして「みんな言っている」「みんな買っている」という状態になります。

広告の多重接触もいいですが、SNS時代にブランドを知る段階でより好意的な興味を持ってもらうために重要なのは、顧客による多面的なブランド語り(=ナラティブ)が行われているか、また、いかに発信しやすい状況をブランド側がつくれているかどうかです。

解説記事で学べること。
解説記事では、意図的にこのような状態を生み出すために必要なプロセスを事例と共に紹介しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ソーシャルナッジ3「ストッカブル正直レビュー」

l  一言で言うとどんなものか?
3つ目の「ストッカブル正直レビュー」とは、情報を「探索」している際に
参考としてストックしておきたくなる他者の評価のことを指します。
 
なぜこのソーシャルナッジが重要なのか?
「探索」「確認・決断」といった検討段階においては、レビュー情報が非常に重要になります。私たちは、欲しいものができると、「失敗したくない心理」が働くため信憑性の高い第三者評価(=レビュー)へのニーズが高まるからです。

なかでもストッカブル正直レビューとは、日常的なSNSでの情報接触を通して有益なレビューとしてストック(保存)される情報です。SNSでストックされた商品に対しては後々購買意欲が高まるという調査結果も出ています。つまり、日常的に接触しているSNSで既に「欲しいものリスト」は存在していると言えます。実際に買い物の現場であるECサイトでの絞り込まれた「欲しいものリスト」とは少し用途が異なっているのです。

解説記事で学べること。
解説記事では、どのようなレビュー情報がストックされやすいのか、「ストッカブル正直レビュー」の必要条件のまとめや、具体事例なども紹介しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

ソーシャルナッジ4「確信アシストレビュー」

一言で言うとどんなものか?
「確信アシストレビュー」とは、意思を固める最終局面で欲しい情報となる、自分と商品の相性をチェックする際に参考となる「他人の評価」のことを指します。
 
なぜこのソーシャルナッジが重要なのか?
商品を購入する際、私たちが関心を持っていることは、商品を手にした自分や商品を使った自分です。商品そのものではありません。お金を払って得たいものは、その商品を通して得られる便益です。だから他人の評価(=正確には体験談)が気になるのです。意思決定の最終局面においては「この商品は自分に合うのか」
という点でのチェックをしておきたくなります。

確認したい点は当然商材によって異なってきますが、共通するのは機能面での「自分との相性」です。自分と商品、それぞれの特徴を掛け算して生じる懸念点をクリアにしておきたいと考えます。もしここで参考になるレビュー情報が見つけられない場合、最終的な意思決定がしづらくなるというわけです。

解説記事で学べること。
解説記事では確信アシストとなるようなレビュー情報はどのように見つければよいのか、また見つかったレビュー情報をどのように活かせばよいのかについてもご紹介しています。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

最後に。大事なのは人の行動の動機を想像すること

以上で4つのソーシャルナッジのご紹介は終わりです。

モノと情報が溢れかえる現代、顧客にとって買い物の意思決定1つとっても実はなかなかの労力が必要になります。日々の生活導線において、顧客が欲しい情報に沢山出合うことができ、欲しい物をストレスなく選べるように、企業にとっては自分たちの商品を必要としてくれる顧客との「出会いの面」ができるだけ広がるようになっていって欲しい。そういった願いを込めて、このようなテーマでスパイスボックスが培ってきたメソッドを棚卸しながら解説してきました。ソーシャルナッジは、SNS社会における意思決定の後押しとなる情報という意味を込めていますので、今回ご紹介した4つに限らず、他のパターンも今後見つかるかもしれません。

最後に、私はマーケティングにおいて最も大事なことは「人の行動の動機を想像すること」だと思っています。

人の行動には、本人が意識し切れていないことも含めてすべてに理由=動機があります。(余談ですが、この意識し切れていない行動=無意識の行動とは何かが気になり、私は行動経済学という学問に興味を持ちました。人の脳の研究におけるレポートを組み合わせることで紐解かれている世界は非常に興味深いです!)つまり、オープンにログが残るSNSをはじめ、デジタル上の人々の何らかの行動にも全て動機があります。動機があるということはその裏に何らかの感情があるということです。

似た感情を抱き、似た行動を取る人が多ければ定量的な数値として表れます。こういった事象を逃さずに着目し、その行動を起こした裏にある感情を想像する努力をし続けることで、顧客に対して先回りして顧客が欲するであろう有益な情報を供給し続けることができると考えています。

顧客にとってより良い情報供給が増え、企業・ブランドにとってより良い顧客との出会いの面が広がっていくことを願っています。

最後まで読んでくださりありがとうございました!


この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?