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「トラストモード」をつくれているか? SNSマーケティングを総点検して欲しい。

こんにちは。株式会社スパイスボックスの森竹アル(@aru_moritake)と申します。

広告と人の幸せな共存を目指して、業界の健全な発展に貢献するため日々奮闘しています。当社では、SNSデータを起点にしたマーケティングソリューションを数多く提供しており、主にSNS領域を主戦場としています。

今回のnoteから数回に渡り「トラストモードを生むソーシャルナッジデザイン」を題材にした記事を書いていこうと思います。皆さんの日々のマーケティング活動の一助になると幸いです。毎回「持ち帰りポイント」を入れるようにしていきますので、ぜひお役立てください。


「トラストモード」とは何か? 今求められる理由

私はSNSマーケティングを通して生活者に「トラストモード」を生み出すことを重要視しています。普段聞きなれない言葉だと思いますが「信用してもらえる状態」という意味です。

生活者の買い物の仕方は大きく2種類。今まで買ったことのない商品に出会い魅力を感じて購入する「発見買い」と、明確に欲しいものが決まっているまたは過去に使ったことのある商品を再度購入する「目的買い」です。

「発見買い」にスムーズに至るには、顧客の信用を獲得する必要があるためトラストモードを生み出すが必要あります。逆に「目的買い」は既に目的とする商品を選んでいる状態なのでトラストモードを生み出す必要はありません。後者は機会創出や利便性を追求すればよく、広告コミュニケーション領域においては、主に前者が課題になってきます。

生活者の買い物の仕方とモード


では、なぜいまトラストモードが求められるのか? 理由は生活者の買い物の行動プロセスと意思決定フローの複雑化にあります。情報が溢れかえる現代、1つの買い物をする際に生活者が触れることのできる情報量は膨大です。ただし使える時間は限られているため、生活者は限られた時間で意思決定するための情報を探索することになります。

「ググるよりタグる」などと言われて久しいですが、リアルなクチコミを求めてSNSを軸に情報収集するのは、もはや多くの人に見受けられる一般的な行動プロセスです。限られた時間で意思決定をするため、生活者は早く納得できる正解が欲しい、でも買い物で間違いは犯したくない。だからSNSでリアルな情報を探索します。このような行動プロセスにおいて、もし信用してもらえる状態(=トラストモード)を生み出せない場合、検討候補から外されてしまうというわけです。

これまでのマーケティング活動
これからのマーケティング活動


よくある間違い。目的買いに偏っても顧客は増えない。

よくある落とし穴が、直接的な売上貢献を意識しすぎて目的買いの顧客に向けたマーケティング施策に偏ってしまうケースです。目的買いの顧客は直線的な導線を辿るため、施策の売上貢献が可視化されやすい。そのため、予算傾斜もされがちです。ですが、もしかしたらマーケティング施策が無くても買ってくれた人たちが多く含まれているかもしれません。

対して、発見買いの顧客は先ほどの通り、行動プロセスは導線が複雑です。

商材によっては数週間~数か月間にわたって検討する場合もありタイムラグもあるかもしれません。その間接的な売上貢献をダイレクトに可視化し切るのは不可能です。そのため、発見買いに対して取り組む施策は予算を割り当てる根拠を作りづらいのが実情です。ですが、目的買いの顧客に向けた取り組みに偏ってばかりいては新たな顧客との出会いは広がっていきません。新規顧客に発見買いをしてもらうためにもマーケティング施策が偏りすぎないよう注意が必要です。


カスタマージャーニーv2

(SNSをきっかけにした発見買いにおいて、顧客は時に複雑な導線を辿る。検討期間もさまざま)


「ソーシャルナッジ」をデザインしよう。

では、発見買いの顧客に向けた取り組みにおいて、まず目指すべき中間ゴールとなるトラストモードはどうしたら生み出せるのか?

信用に寄与する情報または信用するために顧客が求めている情報は、行動プロセスに連動して幾つかのパターンがあり、それらを総称して「ソーシャルナッジ」と名付けました。ナッジとは、もともとは行動経済学で使われる用語で意味は「背中をそっと後押しすること」。そのナッジとなる情報をソーシャルメディア上で効果的に供給し、信用してもらえる状態をつくり購買への流れを円滑にするという意味を込めてソーシャルナッジと呼んでいます。

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(行動経済学では親ゾウが子ゾウを鼻でやさしく押しながら歩く様子に例えられる)


SNSデータ解析を駆使して人々の傾向やニーズを理解し、実アクションにつなげていくことが得意な我々スパイスボックスの提供価値はトラストモードをつくることに他なりません。そしてそのノウハウは「4つのソーシャルナッジ」というかたちで顧客の行動プロセスに合わせて整理・分類しています。

ソーシャルナッジマップv3

「4つのソーシャルナッジ」

ナッジ1)強共感 

ナッジ2)多面ナラティブ共感

ナッジ3)ストッカブル正直レビュー

ナッジ4)確信アシストレビュー

これら4つのソーシャルナッジの詳細な解説は今後のnoteで取り上げていきます。(4つに限らず、ソーシャルナッジの種類は今後もっと増やしていけるかもしれません!)


SNSマーケティングを総点検して欲しい。

今回の記事における「持ち帰りポイント」は、以下のチェックポイントにしたいと思います。取り扱う商材の種類にもよりますが、一般的にSNSマーケティングと相性の良い商材ですと、4つのソーシャルナッジが機能しているかどうかを判断する際の「問い」として機能させられるかと思います。


<チェックポイント>

🔲 ブランド・商品に対する共感ポイントはあるか?
  (また、その共感ポイントは生活者も関心のあるポイントか?)

🔲 狙いたいターゲット層で複数のUGCが発生しているか?
  (また、そのターゲット層に複数パターン届いていそうか?)

🔲 多くの人に参考になる詳しいレビューコンテンツは存在するか?
  (また、それらは複数のSNSプラットフォームに存在するか?)

🔲 売場に近い場所(オウンド~EC)でUGCを配備できているか?
  (また、どういったUGCが参考にされるか把握できているか?)

※UGC:User Generated Contentsの略。一般生活者によって生成・制作されたコンテンツのこと。商品の感想について言及しているクチコミ投稿など。


良いソーシャルナッジを!

行動経済学でノーベル賞を受賞したリチャード・セイラー教授は著書「Nudge(ナッジ)」にサインを求められた際、「良いナッジを!」と書くそうです。彼ら行動経済学者は人の行動を科学したうえで人を強制的にコントロールするようなナッジの悪用を求めていません。あくまで最終的な意思決定は本人にしてもらうことを前提とし、できるだけより良い選択ができるよう、ナッジする(=背中を押す)ことを求めています。私たちはその精神は受け継いで「良いソーシャルナッジを」増やしていきたい。

今後、私のnoteでは4つのソーシャルナッジについての事例とその作り方・機能のさせ方を紐解いていきます。ご興味のある方はぜひスキとフォローをお願いします!

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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