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ダンボール

毎週金曜日に、お野菜の定期宅配をお願いしている。
京都府から、無農薬の季節のお野菜が届くのだ。

無農薬のお野菜は、身近なところで揃えることがなかなか難しい。
鮮度や色合い、輸送時のリスクなど、さまざまな問題があるようだ。

だから、こうしてまとめて購入できて、さらには自宅にまで配達してもらえるのはほんとうにありがたい。

利用を始めたきっかけは、わたしの趣味の「麹」仲間からの紹介だった。
彼女の作る麹調味料は、なんだかまろやかで、当時わたしが使っていたものよりも圧倒的に甘かった。

そのときに聞いたお店が、現在定期便を利用しているお店。
実店舗もあるようだけれど、関東に居住している我が家からはなかなか遠く、オンラインでの購入ばかりになってしまう。

ちなみに、レストランもあるらしい。
いつか、お店にも行ってみたいなぁ……。


お野菜とともに入っている、お野菜の説明書、というものがある。
お野菜の産地、農家さんのお名前、保存方法、おすすめの調理法、その週の説明書作成者の日記が書かれている。

もちろん、お野菜も楽しみだけれど、この説明書もわたしにとっての楽しみ。

お野菜を受け取ったら、まずは電気ケトルでお湯を沸かす。
そして、冷蔵庫や適切な保管場所へお野菜をしまう。
そうすると、ちょうどお湯が沸く時間。
わたしのコーヒータイムの、はじまりはじまり!

コーヒーを淹れて、お野菜の説明書を見ながら、一週間の献立を考える時間。
これがたまらなく好きで、わたしにとっての癒し時間になる。

お野菜のラインナップは、一週間前からネットで確認できるのだけれど、そこはこの楽しみのためグッと我慢。
お野菜の説明書ではじめて知ることに、わたしなりの意味があるのだ。

お野菜のラインナップを見て季節を感じ、調理法を参考にして献立を考え、編集者の日記を読んでほっこりする。

うん、今思い返すだけでも、最高に幸せな時間。

お野菜たちは、ダンボールに入って配送されてくる。

荷物を出した後のダンボールは、すぐに子ども達のおもちゃになる。
いろんなにおいがするようで、食べ盛りの子ども達にとっては、最高な空間らしい。

遊びの第一段階、とりあえず、中に入ってみる。
おままごとを持参して、お店屋さんごっこをするのだ。
おままごとの鉄則は、バーコード決済を使用すること。
現金で支払おうとすると、「ごめんなさい、〇〇payだけなんです〜」と、お断りされてしまう。

そして次に、ダンボールの外側に絵を描く。
大きな窓、ライト、ドアを描けば、子どもたちオリジナルバスの完成。
でも、なぜかいつもタイヤがない。
どうやら、浮いているらしい。

〇〇payも、空飛ぶ車も、遊びに取り入れるなんて、わたしの幼い頃にはまったく想像もできないことだった。

時代か。
これが時代なのか。

「今週は玉ねぎが入ってる?」
「この土、どのお野菜についてきた?」
においや土、ダンボールの湿り具合から、今週のお野菜を親子で想像する。
この時間も、幸せなひととき。

そして、お野菜が包まれていた新聞紙も、子どもたちと一緒に見てみる。
京都府の新聞を読むことなんて、普段なかなかできないこと。
天気予報の載っている新聞紙が入っていたときは、親子三人で大喜びする。

「こっちは雨が多かったけれど、向こうは晴れが多かったね。」
こんなふうに、一年を通じて考えていくと、お野菜の出来にはお天気も重要なことが、子どもたちにもうっすらとわかってもらえてきた。

これがわたしの自己満足ではなくて、今はやりの、食育になっている……といいな……。


さて、今週のお野菜は、
まるまると美しい色味のミニトマト。
季節のかおりをまとうさつまいも。
艶やかでみずみずしく、葉まで楽しめるかぶ。
大好きな、大きなしいたけも入ってる!

他にも、見て、嗅いで楽しく、食べておいしいお野菜たちがたくさん。

ごろんとかわいい里芋は、土がまだついている。
この土と同じ土が、遠く離れた京都府にあるのか、となんだか不思議な気持ちになる。


農家のみなさん、いつもおいしいお野菜を、ありがとう。

お店のみなさん、いつも心がわくわくする企画や言葉を、ありがとう。

配送業者のみなさん、朝早くから遅くまで、運転お疲れさまです。安全に荷物を届けてくれて、ありがとう。

子どもたち、いつもたくさんお野菜を食べてくれて、ありがとう。

そしてこれを読んでくださったあなた。
こんなにも拙い文章を読んでくださり、ほんとうにありがとう。

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