- 運営しているクリエイター
#言葉
195「詩」誰かのもとに
言葉は 空から降ってきた
誰かを傷つけるためでなく
誰かを温めるために
ひらりと手のひらに
止まった
そっと手のひらを口元に寄せる
いい香りがする
蝋梅に似た言葉の香りだ
香りが消えないように
手のひらを固く閉じる
閉じたまま大急ぎで走り始める
冷たい手足のまま
立ちすくんだままの誰かのもとに
言葉の香りを届けに
173「詩」書いている
誰にも読んでもらえない思いを
ひっそりと書いている
誰かに評価されることなど
どうでもよく
言葉を編んで
ひっそりと
思いを受け取ってくれる
誰かがいる
きっと
その人のために
書いている
わたしの悲しい思いが
その人と響きあうために
ひっそりと書いている
91「詩」なさけない
思いがこんなにたくさんあるのに
言葉にできないでいる
言葉にすると違った色に染まってしまいそうで
言葉にすると
どんなふうに伝わるか
傷つけないか
言葉で伝わる私が本当の私と違ってしまわないか
そんなことが大きく膨れ上がり
恐くて
言葉にできないでいる
どうみられるか
どう思われるか
そんなことどうでもいいと知っているのに
気にする自分が情けない