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「全国最中図鑑」17 切腹最中(東京都港区)

仕事でミスをした時、客先にこれを持参して土下座すれば、笑って許してくれるかも‥‥という便利なお菓子がある。その名も「切腹最中」。
モナカの皮がパックリ開いて、中からはみ出さんばかりに覗く内臓、じゃなかった、黒々としたたっぷりの餡。結晶の大きい純度の高い砂糖で煮て、大きな求肥が入ったあんは、甘さを抑えたさっぱり味。最初はその量の多さにちょっと驚くが、食べてみると意外にサクサクいける。
製造元は、東京・新橋で大正元年から営業している新正堂。
「忠臣蔵」で知られる、江戸城中で刃傷沙汰を起こした浅野内匠頭が、預けられ、切腹した田村屋敷の跡地に建つ菓子店だ。
こうした由緒ある場所にできた縁から、「忠臣蔵」にまつわる数々の語り草が、この菓子を通して人々の口の端にのぼれば、という思いを込めた商品だという。
これはいい、早速明日にでも買ってきて、客先に謝りに行こうと思っているあなた、これを持っていったからといって必ずしも許してもらえるとは限りませんので、あしからず。

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御菓子司 新正堂しんしょうどう
東京都港区新橋4-27-2


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

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