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旅ブックスMAGAZINEは、“旅と暮らしの出版社“産業編集センターが運営する、「読む旅」を愉しむためのウェブマガジンです。 旅エッセイや紀行文の連載、旅の新刊の紹介と試し読みなどを発信していきます。

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  • 日本全国写真紀行

    取材で訪れた、日本全国津々浦々の心にしみる風景を紹介します。ページの都合上、書籍では使用できなかった写真も掲載。 日本の原風景に出会う旅をお楽しみいただけます。

  • 全国最中図鑑

    日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

  • 元気の出るカツカレー

    取材で日本全国を飛び回っている編集チームの一員・T郎が、旅先で食べたカツカレーをゆるーく紹介していきます。ご当地ものや地元の名物というわけではありませんが、いつも頼んでしまうのがカツカレー。旅先で食べるカツカレーは、旅の開放感が背中を押す「ちょっとした贅沢」であり、旅の続きを楽しむための活力の源なのです。

  • 旅ブックスMAGAZINE 月間記事まとめ

    公開した記事を月ごとにまとめています。

  • 橋に恋して♡ニッポンめぐり旅

    「橋」を渡れば世界が変わる。 渡った先にどんな風景が待っているのか、なぜここに橋があるのか。 「橋」ほど想像力をかきたてるものはない。 ——世界90か国以上を旅した旅行作家・吉田友和氏による「橋」をめぐる旅エッセイ。渡りたくてウズウズするお気に入りの橋をめざせ!!

最近の記事

【日本全国写真紀行】64 徳島県阿南市椿泊町

徳島県阿南市椿泊町阿波水軍が本拠地とした小さな漁師町 徳島県の東端、紀伊水道に突き出している蒲生田岬。この岬と湾を挟んでちょうど反対側にあるのが椿泊集落である。古くから良好な漁場として知られ、県内でも指折りの漁獲量を誇り、特にハモの漁獲量は四国随一である。  周囲を山で囲まれ、海岸線が深く入り組んだ地形は、椿泊に良好な漁場をもたらしたが、それだけではない。敵に攻められにくい天然の要害として特異な歴史を刻んできた。戦国時代から江戸時代にかけて活躍した阿波水軍の本拠地となったので

    • 「全国最中図鑑」84 元祖 牡蠣最中 (北海道厚岸町)

      釧路の東にある厚岸町は、アイヌ語で「牡蠣の多いところ」という意味の「アッケケシ」が地名の由来だそうで、その名のとおり牡蠣の名産地である。 牡蠣の採れる厚岸湖は、山の養分を含んだ別寒辺牛川の淡水と厚岸湾の太平洋の海水が混ざり合う汽水湖。植物性プランクトンが豊富で、牡蠣はその栄養をたっぷり吸収して育つ。また厚岸は水温が低く通年温度変化が少ないので、牡蠣は長い時間をかけて栄養を蓄え、大きく身もふっくらとし、濃厚な旨味と甘味がある。一般的に牡蠣は水温が高くなると生食はできなくなるが、

      • 【日本全国写真紀行】63 高知県須崎市

        高知県須崎市 昔ながらの漁村集落が残る、江戸時代からの鰹節の名産地 須崎は高知市から西へ40キロ、入り組んだリアス海岸の美しい海岸線を持つ漁業の町である。今はマダイやカンパチの養殖をはじめ、定置網や一本釣りなどさまざまな漁業が行われているが、江戸時代は特にカツオ漁が盛んで、鰹節の産地として名を馳せ、「須崎節」のブランドを持っていた。  須崎という町は江戸期を通じて土佐藩領で、町は大きく村方(農村)と浦方(漁村)に分かれていた。浦方がいつ頃できたのかは明らかではないが、天正年

        • 29皿目 “港を望むテラスで「重ねカツ」” 喫茶ポルク|元気の出るカツカレー

          真夏の北海道を縦横無尽に車で走り回る今回の取材。総走行距離は10日間でなんと2500キロほどでした。 印象的だった場所はいくつもありますが、中でも北西部の増毛はまた個人的に訪れたい街です。 海と山、北の大地ならではの豊かな自然を堪能できるのはもちろんですが、明治や大正時代の古い建物がたくさん残されているのが増毛の特徴です。商家、旅館、倉庫などなど。日本最北の造り酒屋もありました。 ランチはあらかじめ調べてあった喫茶店へ。増毛の町から、車で3〜4分ほど山側に走り、港を見下ろ

        【日本全国写真紀行】64 徳島県阿南市椿泊町

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        • 日本全国写真紀行
          64本
        • 全国最中図鑑
          84本
        • 元気の出るカツカレー
          29本
        • 旅ブックスMAGAZINE 月間記事まとめ
          40本
        • 橋に恋して♡ニッポンめぐり旅
          37本
        • わたしの旅ブックスシリーズ紹介
          9本

        記事

          【新刊試し読み】『辺境、風の旅人』|芦原伸

          編集者、記者として世界70カ国を取材してきた、ノンフィクション、紀行作家、芦原伸さんの著書『辺境、風の旅人』が2024年8月30日(金)に発売されたことを記念して“はじめに”を公開します。 本書について世界中を旅してきたベテラン作家による珠玉の旅エッセイ。これまでの数多くの辺境旅の中から、特に忘れ得ぬ旅を厳選。ケニア、モロッコ、ポルトガル、バスク、北極圏、シベリア、中国など、10の辺境の旅物語を硬質な筆致で書き下ろした。「辺境への旅は私の人生をも変えてくれた」と語る著者渾身

          【新刊試し読み】『辺境、風の旅人』|芦原伸

          「全国最中図鑑」83 こもちめんよう (北海道士別市)

          北海道士別市はサフォークラムの飼育で名高い。サフォークラムとは顔と足が黒い食肉用の羊。味に定評のあるサウスダウン種と寒さに強いノーフォーク種を掛け合わせた羊で、フランスでは最高級ラム肉として知られている。 士別市では昭和42年にオーストラリアから100頭輸入し、市営のめん羊牧場での飼育を開始。その後昭和44年にも100頭輸入し、繁殖体制を整えた。現在では約1200頭のサフォーク種めん羊が飼養されている。 士別の菓子工房・美吉屋では、このサフォークラムを形どったもなかが人気だ。

          「全国最中図鑑」83 こもちめんよう (北海道士別市)

          旅ブックスMAGAZINE|2024年8月記事まとめ

          2024年8月に公開した記事を紹介します。 2024年8月1日(月) 「インド食器屋のインド料理旅」 チャイ【3】 Tea for Oneヨーロッパは中国から茶葉と共に陶磁の茶器も輸入していた。ヨーロッパでは中国製陶磁器特有の美しい乳白色を産み出す粘土が産出せず、それらは一部の特権階級だけが持つことの出来るぜいたく品となった。 2024年8月5日(木) 「全国最中図鑑」81 佐賀えびすもなか (佐賀県佐賀市)七福神とは、大黒天、毘沙門天、恵比寿天、寿老人、福禄寿、弁財天、

          旅ブックスMAGAZINE|2024年8月記事まとめ

          第25橋 甑(こしき)大橋 (鹿児島県) |吉田友和「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」

          辺境の離島をつなぐ 県内一の長さを誇る橋 新幹線の車内アナウンスで、いまさらながら自分が下りる駅が「せんだい」駅であることを知った。漢字では「川内」駅と書いてあったのだが、勝手に「かわうち」と脳内変換していた。まさか「せんだい」と読むとは……つまるところ、それぐらいに土地勘のない場所に来ていたわけだ。  鹿児島中央駅から新幹線で一駅。乗車時間はわずか十一分と短い。ローカル線で移動してもいい距離だが、朝早かったので迷わず楽な方を選択した。  鹿児島中央駅には、黒豚しゃぶしゃ

          第25橋 甑(こしき)大橋 (鹿児島県) |吉田友和「橋に恋して♡ニッポンめぐり旅」

          『わたしの旅ブックス』シリーズ紹介 9

          9回目は、桐島 滋さん『罪深きシリア観光旅行』から、嵐 よういちさん『インド超特急!カオス行き』/丸山ゴンザレスさん『タバコの煙、旅の記憶』/村田 らむさん『にっぽんダークサイド見聞録』/大石 始さん『異界にふれる ニッポンの祭り紀行』/久住 昌之さん『新・佐賀漫遊記』までの6冊を紹介します。 『罪深きシリア観光旅行』著/桐島 滋無数に配置された検問所、瓦礫と化した町並み、そして、現地の人たちとの不確かで曖昧な会話…… 観光旅行者として入国した著者が見た、戦下の国シリアの今

          『わたしの旅ブックス』シリーズ紹介 9

          「全国最中図鑑」82 岩村城最中 (岐阜県恵那市)

          岐阜県恵那市にある岩村城という城をご存知だろうか。日本三大山城の一つに数えられ、戦国の世に翻弄されながら領民を守るために必死で生きた「女城主の城」の逸話で知られる城だ。その逸話とはーー 織田信長の叔母にあたる「おつや」は、信長の戦略により岩村城主の遠山景任(かげとう)に嫁いだ。だが景任は若くして病死し、息子はまだ幼かったため、おつやは城主となって城下をおさめ、善政を敷いた。しかしのちに、信長と敵対する信玄の配下・秋山虎繁が岩村城を攻撃してくる。おつやは自らも武装して戦ったが、

          「全国最中図鑑」82 岩村城最中 (岐阜県恵那市)

          【日本全国写真紀行】62 香川県観音寺市伊吹町

          香川県観音寺市伊吹町イリコとともに暮らす小さな島 讃岐うどんの味を支えている濃厚でうま味の強い「イリコだし」。イリコとはカタクチイワシなどを乾燥させたもので、このイリコの生産量で香川県は全国でもトップクラスとなっている。なかでも、伊吹島でつくられるイリコは、その品質の良さから「伊吹イリコ」と呼ばれ、高級ブランド品として高値で取引されている。  イリコの島、伊吹島は香川県の西端にある。観音寺港の沖10キロあたりに浮かぶ島で、周囲5.4キロ。明治の頃には800人いた島民も、現在は

          【日本全国写真紀行】62 香川県観音寺市伊吹町

          電子書籍化ニュース Vol.9

          インド超特急!カオス行き広大なバーラトの大地を、飛行機やバスを使わず列車だけでぐるり一周してやる! インドの混沌パワーに辟易し「二度と行きたくない」と言い放っていた旅作家の嵐よういちが、13年ぶりに彼の地を旅した。インド鉄道は過酷か?天国か? 遅延・キャンセル当たり前、過酷な暑さ寒さ、ヒドいトイレや変な乗客に耐え、無事に旅を完遂できるのか……。筋金入りのバックパッカーが挑んだ混沌と憤怒と灼熱の鉄道紀行。 タバコの煙、旅の記憶危険地帯ジャーナリストであり裏社会に迫るYouTu

          電子書籍化ニュース Vol.9

          「全国最中図鑑」81 佐賀えびすもなか (佐賀県佐賀市)

          七福神とは、大黒天、毘沙門天、恵比寿天、寿老人、福禄寿、弁財天、布袋尊の七人の神の総称で、七福神を参拝すると7つの災難が除かれ、7つの幸福が訪れると言われている。七福神信仰は室町時代末期に生まれ、特に農民や漁民の信仰が厚く、今もなお生き続けている。 ところでこの七福神、どこの国の神様なのかはあまり知られていない。実は殆どがインドや中国の神様で、日本の神様はただ一人、恵比寿天だけなのである。恵比寿天、通称えびす様はイザナギ・イザナミの二神の第3子といわれ、右手に釣竿、左手に鯛と

          「全国最中図鑑」81 佐賀えびすもなか (佐賀県佐賀市)

          チャイ【3】 Tea for One

          ヨーロッパは中国から茶葉と共に陶磁の茶器も輸入していた。ヨーロッパでは中国製陶磁器特有の美しい乳白色を産み出す粘土が産出せず、それらは一部の特権階級だけが持つことの出来るぜいたく品となった。 後代、この乳白色の中国製陶磁器をヨーロッパ各地でも真似て作る動きが現れた。イギリスでは牛骨を陶土に混ぜた「ボーンチャイナ」が発明され、現在のドイツのマイセンでも王によって製造を命じられた技術者が開発した、カオリンを原料とした陶磁器が誕生した。今やボーンチャイナやマイセンの陶磁器は世界的

          チャイ【3】 Tea for One

          旅ブックスMAGAZINE|2024年7月記事まとめ

          2024年7月に公開した記事を紹介します。 2024年7月1日(月) 「全国最中図鑑」79 トイレの最中(愛知県常滑市)全国に数あるもなかの中で、ユニークさ、面白さ共に間違いなくベスト3に入るもなか。昭和26年創業の老舗餅菓子専門店「大蔵餅」と総合住生活企業「LIXIL(旧INAX)」榎戸工場のコラボにより誕生した超人気商品だ。読み方は「トイレのさいちゅう」でもいいし「トイレのもなか」でもいいそうだ。 2024年7月4日(木) 「インド食器屋のインド料理旅」マクドウエ

          旅ブックスMAGAZINE|2024年7月記事まとめ

          チャイ【2】 甘くないチャイ

          「甘くて熱い濃厚な一杯」 われわれはチャイをそのようなものだと認識している。イギリスがインドにミルクティーを伝えた頃、すでにイギリス本国では紅茶にミルクと砂糖を入れて飲むのが当たり前だった。インドのチャイの祖型はこのイギリスのミルクティーである。 とはいえチャイの源流となったイギリスでも、最初から紅茶はミルクと砂糖入りで飲まれていたわけではなかった。茶の発祥地の中国や、隣国のため世界的にかなり早い段階で伝わった日本においても茶に甘味を付けたり、ミルクを入れて飲むことは今でも

          チャイ【2】 甘くないチャイ