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「全国最中図鑑」78 しっぺい太郎最中(静岡県磐田市)

磐田市の見付神社には「しっぺい(悉平)太郎」の伝説が昔から伝えられてきた。
その昔、毎年家の棟に白羽の矢が立った家の娘は、8月10日の見付天神の祭りに人身御供として神に捧げられる、というしきたりがあった。村人たちは祭りのたびに泣いて悲しんでいた。
ある時、村を訪れた旅の僧がこの話を聞いて不審に思い、それが神ではなく怪物の仕業であることを突き止めた。そして怪物たちが信濃国の「しっぺい太郎」という人物を恐れていることを知る。僧が信濃で調べたところ、しっぺい太郎は人ではなく、駒ヶ根に住む犬の名前だということがわかり、この犬を借りてきた。
村人たちは翌年の祭りの日、娘の代わりにしっぺい太郎を柩に入れて供えた。そして怪物が柩を開けた途端、太郎は怪物に襲いかかり、長い格闘の末、怪物を退治した。しかし闘いで傷ついた太郎は、信濃に帰る途中で息絶えたと伝えられている。
井口製菓は見付宿の中程にある店。店の人によると、本物のしっぺい太郎は大きくて豪傑のような犬だったそうだ、とのこと。だが最中の太郎は、耳がツンと立って愛くるしい姿で行儀よく座っている。

井口製菓
磐田市見付2663


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。


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