"小児の摂食障害: 初診から退院後までの対応と注意点"


こんにちは、皆様。今回は小児の摂食障害について、初診から退院後までの対応と注意点を詳しくまとめてみました。なお、診療にあたってはガイドラインなど最新情報を参考にしていただければ幸いです。

初診時の対応

  1. 慢性の脱水症に注意: 血液検査値が正常でも、外来で急速輸液は避けます。特にうっ血性心不全や帰宅後の摂取量の低下の懸念があります。これにより、脱水に関する的確な判断が必要です。

  2. 血液検査の見かけ上の正常値: 摂食障害患者が痩せている場合でも、血液検査値が正常であることがあります。この点を患者と家族に説明し、病気の深刻さを理解させることが大切です。

  3. 超省エネモード: 摂食障害の患者は基礎代謝が低下しており、体温、心拍数、呼吸数が異常に低いことがあります。これにより、体内のエネルギー消費が低下していることを理解し、適切な医療アプローチを行います。

  4. ホルモン異常の治療: 甲状腺機能低下や無月経といったホルモン異常は体重減少を加速させる可能性があります。これらの異常に対する適切な治療を検討し、患者の健康状態を改善します。

  5. 嘔吐の有無と鑑別: 嘔吐がある場合、特に重要な除外診断を行います。脳腫瘍や食道アカラシア、心因性嘔吐などの病態に留意し、適切な検査を行います。

入院適応の判断

  • Red Flag Signの確認: 意識障害や歩行困難、浮腫の急激な増加、肝酵素の上昇など、入院適応を判断するための重要な基準を確認します。

  • リフィーディング症候群の理解: 再栄養症候群は、体内の備蓄が少ない場合に発症しやすい病態です。このメカニズムを理解し、適切な栄養療法を行います。

  • 低リン血症、低カリウム血症の予防: 電解質異常の予防と管理に留意します。特に低リン血症は意識障害や不整脈を引き起こすリスクが高まるため、適切な措置が必要です。

入院後: 直後〜1週間

  1. うっ血性心不全の対処: 急性脱水でない限り、急速輸液は避けます。心臓の容量負荷やVitB1不足による心拍出量低下に留意し、適切な治療を行います。

  2. 低リン血症、低カリウム血症の管理: 血清濃度の低下による合併症の予防のため、リン酸製剤の投与が必要です。特にP<1.0以下では意識障害や不整脈のリスクが高まるため、適切なアプローチが求められます。

  3. 高アミラーゼ血症へのアプローチ: 唾液腺炎と急性膵炎の鑑別を行い、適切な治療を施します。この際、症状や検査結果に基づいてアプローチを選択します。

入院後: 2週間〜3週間

  1. 浮腫の説明と管理: 再栄養の初期に現れる浮腫は一過性であり、尿として排出されることを患者に説明します。また、消化管狭窄による嘔気の増加に留意します。

  2. 低アルブミン血症の対応: 低アルブミン血症による血管内脱水や消費亢進に対する適切なアプローチが求められます。高度浮腫による体重増加に注意し、心タンポナーデや横紋筋融解のリスクを把握します。

  3. 肝障害の管理: 体重減少や脂質欠乏による肝障害へのアプローチが必要です。薬剤性の肝障害にも注意し、適切な措置を講じます。

  4. 高CK血症の理解と管理: 過活動や脱水、脂質の枯渇などが高CK血症を引き起こす可能性があります。これに対する適切なアプローチを行い、患者の健康を保ちます。

経口摂取後の合併症と対策

  1. 浸透圧性下痢: 摂取量の調整や希釈の方法に留意し、合併症の予防に努めます。

  2. 早期飽満感や腹部膨満感、嘔気: クエン酸モサプリドなどの薬剤を適切に使用し、過敏な腸管の症状に対処します。

  3. 低血糖 (ダンピング症候群): 適切な栄養管理とTPNの併用により、食後低血糖の予防を図ります。

  4. 注入の避け方: 適切な栄養管理により、高血糖や腹部膨満に伴う頭痛のリスクを低減します。

定常体重療法

  • 入院時のタイミングや輸液療法、体重管理について詳細に理解し、患者の健康を最適にサポートします。

退院後のアプローチ

  • 学校への復帰や心理的な側面に焦点を当て、患者の主体性を尊重した対応を行います。

診断基準と検査

  • 正確な診断のための基準や検査方法について理解を深め、適切な対応を行います。

この詳細な情報が、小児の摂食障害に関わる医療従事者や患者、そして家族の皆様に役立つことを願っています。

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