見出し画像

少年院 №30 手紙

 少年院の就寝は夜9時・・・。消灯はされるも監視の為に薄明かりはついている。又、決まった時間に教官が見回りに来る・・・。嫌な教官は寝ているのを確かめるのにワザワザ、顔に懐中電灯を照らしてくる・・・。常に監視されてると意識すると余計に眠れなかった・・・。静まり返った室内は、よりいっそう静寂に包まれる。先に眠った奴の寝息が耳に障る・・・。神経の尖った俺は、1ヶ月が経っても中々慣れる事は出来ず、すぐには眠れなかった。薄暗い明かりの中、シャバにいる仲間の事、そして、愛する麻美の事・・・。

{麻美は俺の事を待っているのだろうか・・・。}{もしも、仲間の誰かと付き合っていたら・・・。}俺は、よくありがちな悲劇を考えると不安でたまらなかった・・・。そして、やり場のない苛立ちをどこに向けていいのかもわからなかった・・・。それでも、麻美を思い信じる事だけが、唯一の心の支えになっていた・・・。

ここから先は

1,170字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ろくでもないおっさんですが障害のある息子のために使わせていただきます。