幻実の朝
まるで
死刑台に向かうかの如く
一段、一段、
天空へ近づいていく。
無意識に動き続け
淡々とリズムを刻む
その運歩が
まるで自分とは
切り離されているようで。
もう
のぼるところがないと
その足が止まるから
わたしは目線を
下から
真っ直ぐ前にうつした。
静寂がこのからだを包んで
浅く呼吸をすると
喉の奥に
氷のような冷気が張りついた。
次に
大きく息を吸い込むと
胸いっぱいの粛然が私を満たした。
《 慰撫 》
そう感じた、そのとき
頭上で鼓翼音がして
空を仰ぐと
左から一羽の鳥が現れた。
大きく
ゆっくり
弧を
描きながら
旋回して
消えていった。
刻々とその色彩をかえる空色は
端然とたおやかに
息づいていた。
しばらく、朝陽を
ぼんやり見つめながら
また
はじまる今日。
この美しい水彩画のような空に
もう2度と逢えないことを
胸に刻んで
わたしは
踵をかえした。
ここは死刑台ではなく
わたしだけの
はじまりの聖域なのだと
あの天を舞う使者が
伝え遺していったような気がした。
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