見出し画像

幻実の朝

まるで

死刑台に向かうかの如く

一段、一段、

天空へ近づいていく。

無意識に動き続け

淡々とリズムを刻む

その運歩が

まるで自分とは

切り離されているようで。

もう

のぼるところがないと

その足が止まるから

わたしは目線を

下から

真っ直ぐ前にうつした。

静寂がこのからだを包んで

浅く呼吸をすると

喉の奥に

氷のような冷気が張りついた。

次に

大きく息を吸い込むと

胸いっぱいの粛然が私を満たした。

《 慰撫 》

そう感じた、そのとき

頭上で鼓翼音がして

空を仰ぐと

左から一羽の鳥が現れた。

大きく

ゆっくり

弧を

描きながら

旋回して

消えていった。

刻々とその色彩をかえる空色は

端然とたおやかに

息づいていた。

しばらく、朝陽を

ぼんやり見つめながら

また

はじまる今日。

この美しい水彩画のような空に

もう2度と逢えないことを

胸に刻んで

わたしは

踵をかえした。

ここは死刑台ではなく

わたしだけの

はじまりの聖域なのだと

あの天を舞う使者が

伝え遺していったような気がした。

#朝
#空
#鳥
#朝陽
#雲
#詩
#創作文
#文学
#創作物語
#幻想
#幻実
#ファンタジー
#ポエム #クリエイター #はじまり #天空 #感謝 #冬

いつもありがとうございます(о´∀`о)💕これからもよろしくお願いします🌈✨🙏