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雌雄同体・夜中歌華

ながい。

ながい、ながい。

嗚呼、永い。

ぐにゃりぐにゃりと

繰り返される白濁と暗鬱の明暗意識。

足どりはふらつき、この真っ暗な世界で

どれくらい彷徨っているのだろうか。

遠くのほうに幽かに灯る外灯は

いまにも消えてしまいそうで。

緩やかに栄える易しいはずの

この坂道の

ほんのすこしの傾斜たちが

確実にこの身の生命を削っている。

何処にむかっているのかもわからず

何故こんな風なことになったのかもわからず

なんのため? だれのため?

自分が、選んだ?

自分が、じぶんで、ジブンへ…

もう、歩くのは止めようか…

明暗意識が溢れだし、その場で嗚咽してみると

嘔吐した足元に白濁と暗鬱の溜り場ができた。

それが反射した鏡のように

チラチラひかるもんだから

這いつくばっては

しげしげと覗きこむ。

その途端、鏡の中に一瞬写ったそのまぼろしは

まぼろしなもんか、と散らばった意識を

かき集めるようにハッキリとさせた。

澄んでくる感覚、高速に脈打つ鼓動。

もっとよく見なければ。

集中させて、これでもかと眼を見開く。

呼吸が止まるほどに、その鏡の中を捕らえようと

目玉だけが、ぐりんぐりんと廻りだした。

…きた。

ドォォォーーン…という轟音と共に大気が細かく振動している。

そこに映ったのは、大きな大きな、

とてもおおきな虹色花火。

見上げると、頭上に拡がる溢れんばかり極彩色。

思わず尻もちをついて、

ぽかーんとあいた口をわざと大きくして

そこから思いっきり空気を吸い込んだ。

膨らむ肺と圧迫される心臓が

そのまま吐き出す空気と共に、

この口からまた飛び出してくるような気がして

咄嗟に両手で口を覆った。

夜空が夜空で無くなるのだ。

夜空はもはや昼間よりも明るい。

空間を切り裂いて、

割り続けるとめどない大輪の華々。

両の目玉は左右に分裂したのではと思うほど

その折り重なり繰り返される輻輳と

幾千の色彩が繁吹き消えて行く様を

捕らえようと必死だった。

美を越えた美。

これは、これは、私を通過しては消えていく

ココロのあり様の絢爛を

此処に観ているのだ…!

もう走り出さずには、いられずに

首がもげるほど空を仰いで

呵呵呵呵呵呵呵呵呵呵呵と、笑いだす。

終わらない終わらない喜びの夜中歌華。

渾沌爛漫に こだまするこの歌は

妖艶華麗の圧縮爆裂。

いつしか蹴り上げるこの脚は

空中へと飛翔して縦横無尽を手に入れる。

天と我の累々たる光の饗宴は

この自分の、

そう

この自分の中にあったのだッ…!

最後に胸の奥の奥の最奥から

ぐぐとこみ上げ突き上げる

熱雷と凛冽にこの身を任せ、

渦巻く渦巻く次元の海が

凝縮の果てに迎えいれるは超新星。

一瞬の無音と静寂のその中に

融けて融けて

融けて流れて…

揺れて揺られて

消えて逝く…

瞼をあければ

そのすべてが虹彩と瞳孔に記憶された

この自分自身に宿るべき光として

存在しているのだと知るだろう。

写し出し

うつりこむ輝きは我々なのだ。

我々は、

今日が終焉。

今日が誕生。

おめでとう、おめでとう。

融合よ、ありがとう。

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いつもありがとうございます(о´∀`о)💕これからもよろしくお願いします🌈✨🙏